トンデモない一行知識の世界 OLD - 唐沢俊一の「雑学」とは -

一部で有名な唐沢俊一の一行知識に、ツッコミを入れたり派生トリビアを書いたり。
「愚かで分別のない人と思われたいなら、唐沢俊一のトリビアを引用しなさい。」

 
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2008/7/20  15:39

お願いだから食物としての羊を大切に使いましょうよ  『トンデモ一行知識の世界』間違い探し編

『トンデモ一行知識の世界』 P.68 ~ P.69
 こないだ北海道でジンギスカン鍋を食べてきたのだが、なぜ羊の焼肉を
ジンギスカン料理と言うか、同行者のうちに知ってる者がいなかった。
 あれは昔、モンゴルで成吉思汗の軍隊が行軍している最中、兵隊の性欲
を解消させるために羊の群れを連れていた(羊のアソコは大変に人間に
アジワイが似ているそうで)。で、使用後の羊は殺して焼いて食った。食欲
と性欲の両方を満足させられる、大変に重宝な存在だったわけである。羊
というのは。それで、羊料理のことをジンギスカンと言うようになったのである。
あの鍋が山型をした独特の形ですが、あれは料理の際に、かぶっていた
カブトを鍋がわりにしたから、と言われている。
 で、あるから、サッポロのビール園も、ただ羊を食わせるだけでなく、そこは
伝統にのっとって、ワキに性欲処理コーナーを設けるべきだと思う。行くと、
カコイに羊がつながれていて、そこで一発やってから、おもむろに食卓に
つく。名物になると思うがいかがだろう。

羊を「焼いて食った」はずはないこと、ジンギスカン鍋が山型なのは「カブトを鍋がわりに
したから
」はガセビアだということについては、「モンゴルの人は焼肉を愛好してません
の方で。

唐沢俊一検証blogの「唐沢俊一は和製ライアン・コネルだった!?」によると、同じような
文章を『世界の猟奇ショー』でも使い回している。よほど好きなネタのひとつなのだろう。
羊のアソコは大変に人間にアジワイが似ている」「伝統にのっとって」は、お気に入りの
言い回しらしくて、そのままコピペ。何の恨みがあるのか、サッポロビール園の名指しも
同じである。

で、まあ、以前から疑問だったのだけれど、性欲処理に使った羊を食べる気になるか、
である。使った本人は情がうつらないかといいたいのではない。他人が使っただろう羊を、
調理 (モンゴル流では蒸したりゆでたり) して、食用にする際の心理的抵抗である。

たとえば、下記に引用するアフリカのグシイの例では、獣姦は「極端に異常な性行動でも
ない
」とされているが、「犯されたヤギは食べてはいけないとされ商品価値を失う」とされ、
他人の家の家畜を獣姦したら買い取りを要求されるという。

http://www.hands.or.jp/pagesj/05_act_develop/past_activities/kenyaproteco/africanotes/notes2.html
>「アフリカ東部の二つの民族には古くから性的慣行として獣姦が行われていて、その一
>つ、グシイ民族社会では獣姦が異性との性行為の代替物とみなされているんです。とく
>に思春期前後の男の子にとって獣姦は性的な能力の自己開発的な行為とされ、もちろ
>ん極端に異常な性行動でもないし、性的倒錯とも考えられていない。この場合、獣姦の
>対象になり得る家畜がいること、人目につかないで獣姦ができるような原野、森が存在
>していること、この二つが物理的な前提です。私が見てきたグシイの社会はこれらの外
>的な条件を備えていますが、ただ一つ問題になるのは、一方的に犯された雌ウシや雌
>ヤギに対する補償です」(松園1996年、238頁)。

>男の子が他家のヤギを犯したことがヤギの所有者に見つかった場合、長老裁判「バラ
>ザ」にかけられる。キシイ、ケリチョーに限らず、ケニアでは民族内で処理できる犯罪は
>慣習法で裁かれる法制度になっている。

>裁判では、犯されたヤギの所有者が、犯した少年と彼の父親にヤギの買い取りを要求
>する。犯されたヤギは食べてはいけないとされ商品価値を失うからだ。1980年の裁判
>では、一頭のヤギの買い取り価格は当時の200シリング(約5000円)だった。
>(参考:松園万亀雄編著『性と出会う 人類学者の見る、聞く、語る』講談社、1996年)


羊を軍糧にするなら、むしろ不届きものが獣姦したりしないように監視してもよいくらいだ
と思うし、サッポロビール園のような場所に生きている羊といられる個室を完備するくらい
なら、「アジワイが似ている」人造物の開発に努力するか、本物の女性の導入を検討する
方が、まだコスト的には折り合いがつくであろう。

なお、チンギス・ハーンが、遠征の際に羊に荷を負わせて行軍し、目的地に到着したら
食用にしたという話は故事として残っているが、性欲処理もさせたという話は聞かないし、
ググってひっかかるのも、いかにものヨタ話が一桁程度である。

http://tseiso.hp.infoseek.co.jp/sensou/inparlu.html
>そこで牟田口中将は、動物に荷物を担がせ、ついでに殺して食糧にすると言うジンギス
>カンの遠征の故知にならって、牛・馬・羊・象などの動物に頼る作戦を採用した。


関連ガセビア:
「妊娠しなければヨシ」とか、蛇足が多過ぎの獣姦蘊蓄
ジンジンジンギスカーン♪

その他参考 URL:
- http://ja.wikipedia.org/wiki/ジンギスカン鍋
- http://www.kotoni.net/kadowaki/kado/hanadokei/hana95.htm




   
 
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