トンデモない一行知識の世界 OLD - 唐沢俊一の「雑学」とは -

一部で有名な唐沢俊一の一行知識に、ツッコミを入れたり派生トリビアを書いたり。
「愚かで分別のない人と思われたいなら、唐沢俊一のトリビアを引用しなさい。」

 
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2008/7/18  2:15

「生血を全身にあびた」のは志乃じゃなくてエリザベートでは  『トンデモ一行知識の世界』間違い探し編

『トンデモ一行知識の世界』 P.86
この作品(南総里見八犬伝)、医事・薬学的な事項をみても、破傷風の
患者には人間の生血を全身にあびせれば完治するだの、ウルシの毒は
蟹肉に溶けて水になるだの、胃腸の邪熱をとるには黄金を煎じた水を
冷やして服用すればよいだのといった奇想天外な記事が満載されていて、
読んでいて実に楽しい。

×破傷風の患者には人間の生血を全身にあびせれば完治する
○破傷風の患者には若い男女の血を五合ずつ合わせ傷口にそそぐことが治療の秘法

『南総里見八犬伝』に出てくる破傷風治療の秘法は、若い男女の血を五合ずつ合わせ、
傷口に注ぐこと。「全身にあびせ」なければいけないわけではない。

また、作中では、斬られて死んだ男女 (山林房八と妻の沼藺) から採取した血で、見事
犬塚志乃の破傷風が完治しているので、「生血」である必要もない。

http://www.mars.dti.ne.jp/%7Eopaku/hakken/09/tips_care.html
>病状:破傷風。原因:許我家中の者と斬りあった際に出来た刀傷。
>患者:犬塚信乃。
>処方:那古家の秘傳。下記材料を合はせて傷口に注ぐ。
>材料:1)若い男の鮮血五合。山林房八が提供。(提供者は死亡)
>    2)若い女の鮮血五合。小文吾の妹、沼藺が提供。(提供者は死亡)
>施者:犬田小文吾。
>効果:完治。


http://ja.wikipedia.org/wiki/南総里見八犬伝の登場人物
>沼藺
>〈略〉夫と兄の喧嘩に巻き込まれて死ぬ。その血は破傷風で瀕死となった犬塚信乃を
>救い(作中では男女の血を傷口にそそぐことが治療の秘法として示されている)、


http://www.agu.ac.jp/%7Ekamiyama/ti.htm
>『南総里見八犬伝』第4輯巻之4第37回 山林房八が、義兄の犬田小文吾と斬り合う。
>争いを止めに入った房八の妻・沼藺(ぬい。小文吾の妹)を、房八は誤って斬り、房八
>自身もまた、小文吾に斬られる(*→〔演技〕4)。折から、犬塚信乃は破傷風で死に
>瀕していた。若い男女の血を五合ずつ合わせたものは破傷風の特効薬になるので、
>小文吾は、房八と沼藺の血をほら貝に受けて信乃の身体にそそぎ、破傷風から回復
>させる。


八犬伝のような小説の場合にも、「記事が満載」というかなあ、という疑問も。

その他参考 URL:
- http://www.j-texts.com/jido/80kenden.html
- http://tondemonai2.web.fc2.com/200.html

追記 : 「蟹がウルシかぶれに効能」については、「薬学でもあり文学でもあり――ガセビア
が混じらない方が不思議
」のエントリ追加。
胃腸の邪熱をとるには黄金を煎じた水を冷やして服用」も怪しいのだけれど未調査。



   
 
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