トンデモない一行知識の世界 OLD - 唐沢俊一の「雑学」とは -

一部で有名な唐沢俊一の一行知識に、ツッコミを入れたり派生トリビアを書いたり。
「愚かで分別のない人と思われたいなら、唐沢俊一のトリビアを引用しなさい。」

 
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2008/5/25  22:11

「腸」の読みはひとつじゃない  その他の雑学本 間違い探し編

『笑うクスリ指』 P.175
だが、中には、音読み訓読みどちらか一方だけで、別の読みをもたない
字も多い。奇妙なことに、人体に関する漢字にそういう字が多いことに
お気づきだろうか。ちょっと挙げてみただけでも、「脳」「臓」「腑」「髄」
「肺」「胃」「腸」「腎」「肛」「肢」「腺」など、いづれも読みがひとつしか
ない文字である (「腸」と書いて「はらわた」と読むなどというのは、みな
後世の当て字で正式な読みではない)。

×「腸」と書いて「はらわた」と読むなどというのは、みな後世の当て字で正式な
 読みではない
○「腸」と書いて「はらわた」と読むのは、正式な訓読み

2ちゃんねるのスレへの指摘書き込み (下の方に引用) にもあった通り、訓読みなどと
いうものはみな「当て字」じゃないかというのもあるけど、「腸」については辞書に、正式
な訓読みとして「はらわた」というものが載っている。

http://dic.yahoo.co.jp/dsearch?enc=UTF-8&p=腸&stype=1&dtype=0
>ちょう【腸】
>[音]チョウ(チャウ)(漢) [訓]はらわた わた


面白いのは「腺」。国字なのに音読み「セン」のみをもち、中国でも用いられる。

http://dic.yahoo.co.jp/dsearch?enc=UTF-8&p=腺&stype=1&dtype=0
>せん【×腺】
>[音]セン(慣)
>生物体内で種々の液汁を分泌する器官。「腺病質/汗腺・頸腺(けいせん)・毒腺・
>乳腺・蜜腺(みつせん)・涙腺」
>◆「腺」は国字であるが、中国でも用いられる。


ちなみに、他の漢字の読みは以下の通り。漢音と呉音、どちらかに偏るかとも
思ったけれど、割と均等にばらけている感じ。

http://dic.yahoo.co.jp/dsearch?enc=UTF-8&p=脳&dtype=0&stype=1&dname=0na&pagenum=1&index=15923521071400
>のう【脳〔腦〕】 [音]ノウ(ナウ)(呉)

http://dic.yahoo.co.jp/dsearch?enc=UTF-8&p=臓&stype=1&dtype=0
>ぞう【臓〔臟〕】 [音]ゾウ(ザウ)(呉)

http://dic.yahoo.co.jp/dsearch?enc=UTF-8&p=腑&stype=1&dtype=0
>ふ【×腑】 [音]フ(呉)(漢)

http://dic.yahoo.co.jp/dsearch?enc=UTF-8&p=髄&stype=1&dtype=0
>ずい【髄〔髓〕】 [音]ズイ(慣)

http://dic.yahoo.co.jp/dsearch?enc=UTF-8&p=肺&stype=1&dtype=0
>はい【肺】 [音]ハイ(漢)

http://dic.yahoo.co.jp/dsearch?enc=UTF-8&p=胃&stype=1&dtype=0
>い【胃】[音]イ(ヰ)(呉)(漢)

http://dic.yahoo.co.jp/dsearch?enc=UTF-8&p=腎&stype=1&dtype=0
>じん【×腎】[音]ジン(呉)

http://dic.yahoo.co.jp/dsearch?enc=UTF-8&p=肛&stype=1&dtype=0
>こう【×肛】[音]コウ(カウ)(漢)

http://dic.yahoo.co.jp/dsearch?enc=UTF-8&p=肢&dtype=0&stype=1&dname=0na&pagenum=1&index=08601820939100
>し【肢】 [音]シ(呉)(漢)

おまけ : 漢字に関わる他のガセビア
バクもマクも似たようなもの
生きているからパクるんだとうたわれた人間もいる
「気触れる」は難読漢字とか
字の画像まで作成することのある Yahoo 辞書

http://love6.2ch.net/test/read.cgi/books/1211202322/929
>929 :無名草子さん:2008/05/24(土) 14:16:31
>『笑うクスリ指』 漢字の読み P175

>>だが、中には、音読み訓読みどちらか一方だけで、別の読みをもたない字も多い。
>>奇妙なことに、人体に関する漢字にそういう字が多いことにお気づきだろうか。
>>ちょっと挙げてみただけでも、「脳」「臓」「腑」「髄」「肺」「胃」「腸」
>>「腎」「肛」「肢」「腺」など、いづれも読みがひとつしかない文字である
>>(「腸」と書いて「はらわた」と読むなどというのは、みな後世の当て字で
>>正式な読みではない)。

>ここでも無教養振りを発揮している。漢字は中国の文字であり、訓読みは総て当て字
>なんである。
>「犬」には「ケン」という読みしかないが、日本語の「いぬ」を後から当てたように。



2008/5/26  8:44

投稿者:藤岡真

>「正式な訓読み」というのは、辞書に訓読みとして載っているものと定義しています。
 
 それは間違いではないと思います。と言いますか、「当て字」という言葉の使い方だと思うのです。「幸運」に「超ラッキー!」なんてルビを振るのは論外ですが、唐沢はもともと中国語に「はらわた」に当たるような訓読みがあると考えているのではないでしょうか。だから、「後世の当て字」なんて変な言葉出てくるのだと思います。

2008/5/26  8:26

投稿者:トンデモない一行知識
http://tondemonai2.web.fc2.com/

「正式な訓読み」というのは、辞書に訓読みとして載っているものと
定義しています。正式じゃない読みというのは、たとえば、以前、
http://tondemonai2.web.fc2.com/314.html
に書いた「生」の読みの「表外」(Wikitionary から引っ張ってきた
もの) に挙がっているようなのを想定しています。

で、かぎかっこなしの当て字は、漢字の意味と関係なく当てたものと
いうことで、腸が「はらわた」と読むというのは、辞書上の語義では
当て字とはいわないということになるのではないでしょうか。

>あてじ0 【当て字・▼宛て字】

>漢字の本来の意味とは関係なくその音や訓を借りてあてはめた漢字
>のうち、その語の表記法として慣用のできたもの。また、そのよう
>な用字法。「目出度(めでた)い」「野暮(やぼ)」「呉呉(くれぐれ)」
>の類。借字。

2008/5/26  6:23

投稿者:藤岡真

訓読みには「正式な読み」と「当て字」があるわけではなく、訓読みそのものが中国文字を日本語に当てたものなのです。「犬」に対して「いぬ」と「ケン」がある場合、中国語で「犬」と書き「ケン」と発音するモノが、ワンワン吠える生き物と分かったとき、「犬」を「いぬ」と決めたのです。日本にはそのころ「文字」は存在しませんでした。漢字が伝わった国がアメリカであったら「犬」は「ドッグ」と読まれたわけですから、それが当て字であることは明らかでしょう。

   
 
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