トンデモない一行知識の世界 OLD - 唐沢俊一の「雑学」とは -

一部で有名な唐沢俊一の一行知識に、ツッコミを入れたり派生トリビアを書いたり。
「愚かで分別のない人と思われたいなら、唐沢俊一のトリビアを引用しなさい。」

 
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2008/9/13  12:01

エンタテインメントだって 30 年間も放置していなかった進化論  本以外の媒体 間違い探し編

EAJ、Will Wrightのライフワーク「SPORE」発売記念イベントを開催
唐沢俊一さんが語る「エンタテインメントとしての“進化”の歴史」とは!?
http://www.watch.impress.co.jp/game/docs/20080905/sporeconf.htm
 唐沢氏は、“進化”を娯楽にした始まりは、19世紀に書かれたH・G
ウェルズの「宇宙戦争」だという。「宇宙戦争」に登場する火星人は、
現代にいたるまで宇宙人のイメージのひとつとして知られるようになった、
いわゆる“タコ型星人”である。頭脳ばかりが大きく、大気が薄く、重力も
少ない火星で活動するために、手足が長細くなっている。唐沢氏によれば、
これは未来における人類の進化を予測した姿だという。
 同じくH・G ウェルズの作品「タイムマシン」は、「宇宙戦争」と反対に、
人類の“退化”を娯楽にしたものだという。この物語では、環境が悪化し、
原始人のように退化してしまっている人類が描かれる。唐沢さんは「この
頃(19世紀末)から、“進化”というテーマは知的なエンターテインメントと
して受け入れられていたのではないか」と結んだ。

ウェルズの火星人は、ウェルズが「人類の進化を予測した姿」だというのは間違って
いないけど、「大気が薄く、重力も少ない火星で活動するために、手足が長細くなっ
ている
」というのを前段にもってきてしまうと、話がわかりにくくなるような気が。
あれは地球の大気が薄くなり重力も少なくなると予想したうえでの「人類の進化を
予測した姿
」ではないのだから。
(「タコもクラゲも区別しないのはトンデモさんだけ」の Read More も参照)。

まあ「ウエルズの『宇宙戦争』を若き日のヒトラーが読んでいて、あの火星人の姿形
をタコでなくクラゲと見て、それをユダヤ人にあてはめ
」――などとはいわなかった
だけマシともいえる。

http://www.tsogen.co.jp/wadai/0505_06.html
>その点、火星人を徹底的に異質な存在として描きだしたウェルズは、非凡という
>ほかない。
> だが、そのウェルズの火星人は、じつは地球人の未来の姿でもあった。文筆家と
>しては駆け出しだったころ、ウェルズは〈ペル・メル・ガゼット〉という雑誌の1893年
>11月9日号に "The Man of the Year Million" と題された科学エッセイを発表し、
>ダーウィン流進化論に基づいて、はるか未来における人類の姿を想像した(この記
>事については、作者自身が本書第2部第2章で触れている)。ウェルズによれば、
>脳が高度に発達し、手以外の器官が退化した人類は、頭ばかりが大きい蛸のよう
>な姿になるという。つまり、ウェルズにとって、火星人は未来の地球人にほかなら
>なかったわけだ。



で、2ちゃんねるのスレでツッコミが入れられまくっていた「“進化”を娯楽にした
始まりは、19世紀に書かれたH・G ウェルズの『宇宙戦争』
」 (Read More 参照)。

http://ja.wikipedia.org/wiki/進化論
>1858年にアルフレッド・ウォレスがダーウィンに送った手紙に自然選択説が書か
>れていたことに驚き、自然選択(自然淘汰)による進化学説を共同で発表したのは
>1858年である。
>ダーウィンは、1859年11月24日に進化についての考えをまとめ、『種の起源』と
>して出版した。


http://www.tsogen.co.jp/wadai/0505_06.html
> ウェルズの回想によれば、この小説の構想が芽生えたのは1895年の夏だったと
>いう。当時のウェルズは、科学伝奇物語(ロマンス)第1作「タイム・マシン」(1895)
>の成功で長い下積み生活からぬけだし、一躍時代の寵児となった新進作家だった。


1859 年に『種の起源』が発表されてから、ウェルズの『タイム・マシン』 (1895)、
『宇宙戦争』The War of the Worlds (1898) までの 30 年以上、進化論というおいしい
ネタが放置されていたとは考えにくいし、実際、そうではなかった。というか、ウェルズ
についてのみ考えても、『タイム・マシン』 の方が先で、唐沢俊一のいう「“進化”を
娯楽にした始まり
」が『宇宙戦争』というのはガセということに。前者は“進化”で、
後者は“退化”を娯楽にしているから別とか、今時それをいうかという類いのことを
強弁すれば別だけど。

以下は、2ちゃんねるの名無しさんによる、『宇宙戦争』に先行して「“進化”を娯楽に
した
」作品紹介から、ほぼそのままコピペ。

『ふしぎの国のアリス』 (1865年)
http://www.kyoto-seika.ac.jp/yuzuru/archive/aliceinWordsland.html
>たとえば,アリスは,自分が泣いたその涙の洪水で,いつのまにか地下の出にくい
>部屋から出てしまっている。その涙,すなわち塩水は,さいしょの生命が生じた海
>であり,また母親から生まれたときの羊水でもある。個体発生は系統発生をくりか
>えす。気がついてみると,ノアの箱舟をひっくりかえしたように,いろんな鳥獣が水
>からあがって,土手にあつまっている。そのなかにはドードーのような絶滅した巨鳥
>がいたり,挿絵には類人猿の頭が気味わるくえがかれている。そして一同は,ぬ
>れた体をかわかすために,コーカス・レース Caucus Race という競争をはじめる
>が,これがまたヨーイドンもなしに,かってにはしりだして,かってにやめる妙な競
>争で,いつのまにか race が,当時さわがれていた進化論の種族もんだいを暗示
>している。この競争は,弱肉強食の生存競争で,平等主義の反対である。しかし,
>このレッセ・フェールは,さいごには,だれもかれも優勝して,ホービをもらうことに
>なり,極端な平等主義となる。


『水の子』 (1863年)
http://www.hico.jp/ronnbunn/jinguu/douwahenosyoutai/043-051.htm
>作者チャールズ・キングスレイは、十九世紀前半のイギリスをおおった社会不安を
>解決するには、キリスト教を土台に、一種の家父長的社会をつくるべきだと考えて
>いた社会改良家であった。また、宗教家としては、当時話題のまとだったダーウィ
>ンの進化論ととりくみ、進化論が神の存在を否定しないことを立証しようとしてい
>た。『水の子』は、だから、思想家、宗教家であった作家が、子どもにその思想を
>伝えようとした努力の結晶である。


その他参考 URL:
- http://web.sc.itc.keio.ac.jp/%7Efunatoka/pavlov/evolution.html

ところで、「SPORE」というゲームは、そっくりなのが『ドラえもん』に出てきたような
気がするんだけど、今ひとつ記憶に自信がない……。




2008/9/14  0:18

投稿者:トンデモない一行知識
http://tondemonai2.web.fc2.com/

どうもです。(_ _) やはりドラえもんでよかったのですね。藤子不二雄
の場合、単発の短編や他の連載でもやりかねない (?) ので不安になっ
ていたのでした。

“博学王”ってのはまあ、本当は理系の知識人 (SF 系でアカデミ系なら
なお良し) を呼べれば呼びたかった主催者側の気持ちがこもっているん
じゃないかと、勝手に邪推しています。w なんか雑学王では今イチな
イベントのような感じなので。

>無理してそんなレアな話をしなくても

まったく同意です。いやレアな話をしてもいいんですが、他にも火の
鳥とかいろいろ、誰もが思い出すような話を、さらっとでもよいから
ふれてからにして欲しかったなとは思います。

そういえば、銀河鉄道 999 にも、メーテルが超ミニサイズの銀河系を
手のひらでそっと囲むようにして眺めながら、ああだこうだといった
いた場面もあったような。(←うろ覚え)

>こういう人工生命ゲームとかを紹介するのが本筋のような。

をを、ラッカーですか。1996 年、と。この時期にインターネットに
ハマりだして、SF 関係のサイトを熱心に見て回っていたよなあという
感慨もあって懐かしいです。しかし、唐沢俊一が人工生命ネタとか、
その手の話をしていたのは覚えがないですね。いかにもそういう話が
好きそうな人を呼べばよかったのに主催者。『時空ドーナツ』の書評
を書いていたような人とか、たくさんいたんだし。

2008/9/13  16:58

投稿者:岡田K一

水木しげる「宇宙虫」も、結局「フェッセンデンの宇宙」が元ネタなんですから(水木先生は初期のSFとかすごく読んでるので)、無理してそんなレアな話をしなくても、「ドラえもん」でいいような。

「こんなレアな漫画知っているんだよ、オレは」という唐沢の自慢にすぎないような。

それに「エンタテイメントとしての進化」なら、こういう人工生命ゲームとかを紹介するのが本筋のような。まあ、唐沢、知らないんでしょうが・・。
http://www.amazon.co.jp/%E3%83%AB%E3%83%BC%E3%83%87%E3%82%A3%E3%83%BB%E3%83%A9%E3%83%83%E3%82%AB%E3%83%BC%E3%81%AE%E4%BA%BA%E5%B7%A5%E7%94%9F%E5%91%BD%E7%A0%94%E7%A9%B6%E5%AE%A4on-Windows-%E3%83%AB%E3%83%BC%E3%83%87%E3%82%A3-%E3%83%A9%E3%83%83%E3%82%AB%E3%83%BC/dp/4756116361

2008/9/13  13:01

投稿者:岡田K一

>スペシャルゲストとして芸能界を代表する“博学王”として知られる唐沢俊一氏

というのも、エライ紹介ですね。唐沢は芸能人でもないし、「博学王」とは、さすがに自分でも名乗っていないと思いますし・・。

>そっくりなのが『ドラえもん』に出てきたような
気がするんだけど、
「フェッセンデンの宇宙」の影響をうけた、ドラえもんが出したミニ宇宙で、のびたが生命を育てる話がありましたね。数日で知的生命まで成長しまうという。

   
 
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