2008/4/20 14:14
タコもクラゲも区別しないのはトンデモさんだけ その他の雑学本 間違い探し編
『キッチュワールド案内』 P.9
「クラゲ」については、2ちゃんねるのスレでの議論 (Read More 参照) では、ドイツ語の
Qualle には「意気地なし」「腰抜け」「弱虫」の意味もあるのに「クラゲ」と直訳した翻訳者
にも問題があるではないかという指摘もされたが、クラゲから連想される様々なイメージ
(ユダヤ人→放浪民族→漂流するクラゲとか) を読者に想像させたいという意図をもって、
「クラゲ」のままにするというのも悪い選択ではないと思う。
「意気地なし」その他は http://www.geocities.jp/abelinternational/xJ/GJJr_4.htm 独自
の定義で、他の独和辞書や独英辞書には定義されていないというのもあるけど……。
- http://www5.mediagalaxy.co.jp/sanshushadj/top.html
- http://dict.leo.org/ende?lang=en&lp=ende&search=
どちらにしても、クラゲからタコ型火星人を連想したあげく、 ヒトラーはウェルズの『宇宙
戦争』を読んでいたから「クラゲ」なんだ――とまで妄想を爆発させる読者(唐沢俊一)の
出現については、翻訳者にもヒトラーにも責任はないだろう。
そもそも、ウェルズの『宇宙戦争』の火星人がタコ型とされるのは、表紙のイラストのせい
というのが大きくて (本文でも octopus は 2 箇所あるけど)、そのイラストの「タコ」の形状、
2 つの大きな目をちらっとでもみていたら、クラゲと混同することはまずありえない。まして
ヒトラーは、芽が出なかったとはいえ画家だったのだし。
http://ja.wikipedia.org/wiki/宇宙戦争_(H・G・ウェルズ)
>その後も何度か映像化されていること、またタコの姿をしたイラストが有名であること
>から、「タコ型宇宙人が、強力な機動兵器を持ち込んで地球(主に合衆国)で侵略行動
>をする」という一般的認識がある作品でもある。
- http://ja.wikipedia.org/wiki/画像:War_of_the_Worlds_original_cover_bw.jpg
それと謎なのが「“地球を落とし込もうとしているクラゲ”」の「落とし込もう」。「話し合った
結果を議事録に落とし込む」「仕様を C のコードに落とし込む」のように使う「落とし込む」
では意味が通らない。「陥れる」か何かとの混同ではないか。
http://www.1101.com/otona/2003-06-11.html
>■オトナはつねに落とし込む。紙などに落とし込む。
>話し合った結果を落とし込む。落とし込みどころを探す。
これが原文ママならば翻訳者の責任だろうが (引用する者の責任がないとはいえない)、
同じ主旨のことを書いている唐沢俊一の日記では「“地球を篭絡しようとしているクラゲ
ども”」になっているので、正確な引用である可能性は低い。
http://www.tobunken.com/diary/diary20010815184459.html
> ちなみに、ヒトラーはこの著書の中でユダヤ人のことを“地球を篭絡しようとしている
>クラゲども”という、奇妙な比喩を使ってののしっている。クラゲという表現も唐突だし、
>いきなり “地球”という単位で世界が表されるのにもとまどわせられる。ひょっとして、
>ヒトラーは若いころにウェルズの『宇宙戦争』を読んでいて、そのイラストの中の火星人
>をタコではなくクラゲとみなし、そのイメージがこの原稿を書いている最中にフイと出て
>きたのでは、などという妄想をふくらませてみる。
それにしても『キッチュワールド案内』の中では「ウェルズ」ではなく「ウエルズ」か――と
思ったら、ハヤカワ文庫 SF では、「H・G・ウエルズ」の『宇宙戦争』なのね (創元 SF 文庫
では「H・G・ウェルズ」)。
( http://www.amazon.co.jp/dp/4150115133、http://www.amazon.co.jp/dp/448860708X )
参考 URL (原作が読める):
- http://www.sf-fantasy.com/magazine/special/wells/index.shtml
- http://www.fourmilab.ch/etexts/www/warworlds/warw.html
追記: 2ちゃんねるのスレでの嘆き書き込み (?) を含め、Read More に追加。
唐沢俊一には珍しい、せっかくの SF ネタだったことでもあるし、作品論寄りのことでも
何でも、遠慮なくコメント欄に書き込んでくれて OK。
http://love6.2ch.net/test/read.cgi/books/1208355813/24-
24 :無名草子さん:2008/04/17(木) 07:15:37
『キッチュワールド案内』P9
>彼の著作『わが闘争』の中で、たぶん、もっともユニークな表現なのが、ユダヤ人のことを“地球を落とし込もうとしているクラゲ”とののしっている部分である。
>ヒトラーはクラゲが嫌いだったのだろうか。それにしても、クラゲが地球をねらうイメージというのは何か?
>無責任に想像をめぐらせれば、ウエルズの『宇宙戦争』を若き日のヒトラーが読んでいて、あの火星人の姿形をタコでなくクラゲと見て、それをユダヤ人にあてはめ、
>“地球を落とし込もうとしている”というイメージを言葉にした、とも思える。
無責任に想像をめぐらせるのは勝手だが、ヒトラーは“地球を落とし込む”と言っているのであって、“地球を征服する”とは言っていない。さらにドイツ語の Qualleには「意気地なし」「腰抜け」「弱虫」という
意味があるから、そうした罵りの意味で使ったのではないのか。なにより“Eine Qualle”“Mein Kampf”でweb全体で検索しても20件しかヒットしないから、さほど有名な言葉でもないようだ。
ヒトラーは馬鹿ではないから、もしも『宇宙戦争』を読んでいたとしても「タコ型宇宙人」をクラゲに見間違えることはあるまい。
30 :無名草子さん:2008/04/17(木) 09:23:06
>>24
同じことを日記でも書いている。
http://www.tobunken.com/diary/diary20010815184459.html
珍説を展開する前に翻訳者が直訳してしまった結果だとは考えないもんかね?
『ユリシーズ』の誤訳問題とか知らないんだろうか?
34 :無名草子さん:2008/04/17(木) 09:40:37
ユダヤ人をクラゲに喩えるのって、単に「漂っている」「漂流している」ってことからでは?
35 :無名草子さん:2008/04/17(木) 09:46:46
そういうニュアンスもあるだろうね。
ユダヤ人は地球をおとしめる、腰の据わらぬ腑抜けだ!
といったような。
36 :無名草子さん:2008/04/17(木) 10:03:02
>>35
・・・というか、ユダヤ人は放浪民族だから・・・
↓を見ると、やはり翻訳者の直訳に問題があるんでは?
英語のスラング“chicken”を「鶏」と訳してしまうようなものかと。
日本語ードイツ語辞書データ 4
http://www.geocities.jp/abelinternational/xJ/GJJr_4.htm
クラゲ:KURAGE#Qualle
意気地なし:ikuzi nashi#Qualle
腰抜け:koshinuke#Qualle
根性なし:konjou nashi#Qualle
弱虫:yowamushi#Qualle
『わが闘争』の複数の邦訳をチェックしてみるのが一番なんだが、
現在読める版は限られているだろうし。
37 :36:2008/04/17(木) 10:19:24
>・・・というか、ユダヤ人は放浪民族だから・・・
↑は、蛇足でしたm(-_-)m
>>35さんは、そういう意味で言ってるんだね。
399 :無名草子さん:2008/04/19(土) 00:14:21
>>30
翻訳者が「クラゲ」と直訳した件については、誤訳扱いにするのは
ちょっと気の毒かもしれないと思いました。
クラゲから連想される様々なイメージを読者に想像させたいという
意図があれば、「クラゲ」のままというのもアリなのでは。
……まさか、クラゲからタコ型火星人を連想し、連想しただけならいいけど、
ヒトラーはウェルズの『宇宙戦争』を読んでいたから「クラゲ」なんだ
――とまで妄想を爆発させる読者(唐沢俊一)が出てくるとまでは、
翻訳者も予想できなくて当然でしょう。
だいたい、ウェルズの『宇宙戦争』の火星人がタコ型とされるのは、
表紙のイラスト↓のせいというのが大きくて
http://ja.wikipedia.org/wiki/%e7%94%bb%e5%83%8f:War_of_the_Worlds_original_cover_bw.jpg
このギョロ目の生き物を見て、クラゲと混同する奴がいるなんて妄想爆発させる方がおかしい。
ヒトラーって、一応画家志望だったのだし。
590 :無名草子さん:2008/04/20(日) 10:59:15
引用と言えば……
>>24
>>彼の著作『わが闘争』の中で、たぶん、もっともユニークな表現なのが、ユダヤ人のことを
>>“地球を落とし込もうとしているクラゲ”とののしっている部分である。
この“地球を落とし込もうとしているクラゲ”は、『わが闘争』の本からの引用と思うんだけど、でも
>>30
>同じことを日記でも書いている。
>http://www.tobunken.com/diary/diary20010815184459.html
この日記の中では、
> ちなみに、ヒトラーはこの著書の中でユダヤ人のことを“地球を篭絡しようとしているクラゲ
>ども”という、奇妙な比喩を使ってののしっている。クラゲという表現も唐突だし、いきなり
>“地球”という単位で世界が表されるのにもとまどわせられる。
“地球を篭絡しようとしているクラゲども”も本からの引用っぽいんだけど。
どちらが正しいのか、両方間違っているのか、どっちなんだろう?
(複数の版を持っているという可能性は除外w)
591 :無名草子さん:2008/04/20(日) 11:20:12
「落とし込む」の用語解説
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q107316750
http://www.1101.com/otona/2003-06-11.html
何か読んでいると、うぐっと胸が痛くなる……。
592 :無名草子さん:2008/04/20(日) 12:46:48
「陥(おとしい)れる」とか「陥(おちい)らせる」とか書きたかったのかも。
659 :無名草子さん:2008/04/21(月) 13:30:37
『宇宙戦争』について・・・
↓ウェルズ自身が描いた火星人。
http://www.english.hawaii.edu/faculty/rieder/rieder.html
660 :659:2008/04/21(月) 13:43:30
日本のサイトにも掲載されていた。
http://www.tsogen.co.jp/wadai/0505_06.html
>文筆家としては駆け出しだったころ、ウェルズは〈ペル・メル・ガゼット〉
>という雑誌の1893年11月9日号に "The Man of the Year Million" と題された
>科学エッセイを発表し、ダーウィン流進化論に基づいて、はるか未来における
>人類の姿を想像した(この記事については、作者自身が本書第2部第2章で
>触れている)。ウェルズによれば、脳が高度に発達し、手以外の器官が退化した
>人類は、頭ばかりが大きい蛸のような姿になるという。つまり、ウェルズに
>とって、火星人は未来の地球人にほかならなかったわけだ。ちなみに、ウェルズの
>描いた火星人の絵が公になっている(図版参照)。ラルフ・ストラウスという
>ジャーナリストの求めに応じて、ウェルズが『宇宙戦争』の扉にスケッチした
>ものだそうだが、この絵を見れば、「火星人=未来の地球人」ということが
>納得できるのではないだろうか。
661 :無名草子さん:2008/04/21(月) 14:12:55
(図) ‐''' ´  ̄`''‐- 、
/ ヽ
/ ヽ
/ '''''' '''''' 「i「i}i、
l (●), 、(●) ,{ ノ
l l ,,ノ(、_, )ヽ、,, ーゝ
', `-=ニ=- ' /
ヾ,、 `ニニ´ /
` ー- 、___,ォュ'´
┃ ┃
┛ ┗
662 :無名草子さん:2008/04/21(月) 14:35:51
そもそも唐沢の言う「あの火星人の姿形をタコでなくクラゲと見て、」
という意味がわからない。
『宇宙戦争』に描かれた火星人の姿は、脳が以上発達し手足が退化した結果
蛸のような外見になった(火星の重力の問題もあるだろうが)のであって、
蛸から進化した人類でもなければ、蛸と合体したわけでもないのだから。
966 :無名草子さん:2008/04/22(火) 12:04:58
『宇宙戦争』初版の表紙画像について、一応指摘。
http://www.samizdat.com.ar/samizdat21/war%20of%20the%20worlds.jpg
この絵はラスト近く…火星人達が、地球人には無害な微生物に免疫がない為
全滅していたシーンを描いたもの。(表紙でいきなりネタバレというのもすごい)
周囲に転倒しているのは火星人の操縦する三本脚歩行の戦闘機械。
火星人は、重力の強い地球では這いつくばってるが(尤も、この画像では
死亡している)、火星本星では触手で立ち上がっていたと思われ。
http://love6.2ch.net/test/read.cgi/books/1208837414/103n-
103 :無名草子さん:2008/04/22(火) 23:18:50
『宇宙戦争』の火星人の話、結局「タコかクラゲか」みたいな変な方向にいっちゃったなorz
あの火星人の姿は、脳の異常な発達と使わなくなった手足の退化→人類の進化の行き着く果て→
「地球人の未来の姿」を風刺的に表現してるんであって、タコでもクラゲでもないよ。
その外見からタコに喩えられるだけ。
112 :無名草子さん:2008/04/23(水) 00:27:24
>>103
何かスマソ……。(←タコとクラゲにこだわりまくった奴)
タコタコいわれるのはたぶんウェルズの本意ではなく、
表紙のイラストのせいというのはわかっているつもりなんだけど、
まあ「SFとは絵だ」ともいうからしょうがない、ということで勘弁を。
でも、半透明なせいで、脳みそつまっていないのが丸わかりのクラゲというのは
やっぱりナシともいえなくない? (←まだ言うか)
115 :103:2008/04/23(水) 01:16:24
いやいや、こちらこそ(焦)・・・
なにも分らずに書かれてたわけじゃないことは理解してますよ。
ただ藤岡さんのサイトとか見ても、イラストに描かれた状況(前スレ>>966参照)を
理解されているのか疑問に感じたりして。
唐沢の解釈がおかしいことに変わりはないのだけれど。
116 :115:2008/04/23(水) 01:26:29
書き忘れたorz
>>115は>>112へのレス。
彼の著書『わが闘争』の中で、たぶん、もっともユニークな表現なのが、
ユダヤ人のことを“地球を落とし込もうとしているクラゲ”とののしっている
部分である。 ヒトラーはクラゲが嫌いだったのだろうか。それにしても、
クラゲが地球をねらうイメージというのは何か?
無責任に想像をめぐらせれば、ウエルズの『宇宙戦争』を若き日の
ヒトラーが読んでいて、あの火星人の姿形をタコでなくクラゲと見て、
それをユダヤ人にあてはめ、“地球を落とし込もうとしている”という
イメージで言葉にした、とも思える。
「クラゲ」については、2ちゃんねるのスレでの議論 (Read More 参照) では、ドイツ語の
Qualle には「意気地なし」「腰抜け」「弱虫」の意味もあるのに「クラゲ」と直訳した翻訳者
にも問題があるではないかという指摘もされたが、クラゲから連想される様々なイメージ
(ユダヤ人→放浪民族→漂流するクラゲとか) を読者に想像させたいという意図をもって、
「クラゲ」のままにするというのも悪い選択ではないと思う。
「意気地なし」その他は http://www.geocities.jp/abelinternational/xJ/GJJr_4.htm 独自
の定義で、他の独和辞書や独英辞書には定義されていないというのもあるけど……。
- http://www5.mediagalaxy.co.jp/sanshushadj/top.html
- http://dict.leo.org/ende?lang=en&lp=ende&search=
どちらにしても、クラゲからタコ型火星人を連想したあげく、 ヒトラーはウェルズの『宇宙
戦争』を読んでいたから「クラゲ」なんだ――とまで妄想を爆発させる読者(唐沢俊一)の
出現については、翻訳者にもヒトラーにも責任はないだろう。
そもそも、ウェルズの『宇宙戦争』の火星人がタコ型とされるのは、表紙のイラストのせい
というのが大きくて (本文でも octopus は 2 箇所あるけど)、そのイラストの「タコ」の形状、
2 つの大きな目をちらっとでもみていたら、クラゲと混同することはまずありえない。まして
ヒトラーは、芽が出なかったとはいえ画家だったのだし。
http://ja.wikipedia.org/wiki/宇宙戦争_(H・G・ウェルズ)
>その後も何度か映像化されていること、またタコの姿をしたイラストが有名であること
>から、「タコ型宇宙人が、強力な機動兵器を持ち込んで地球(主に合衆国)で侵略行動
>をする」という一般的認識がある作品でもある。
- http://ja.wikipedia.org/wiki/画像:War_of_the_Worlds_original_cover_bw.jpg
それと謎なのが「“地球を落とし込もうとしているクラゲ”」の「落とし込もう」。「話し合った
結果を議事録に落とし込む」「仕様を C のコードに落とし込む」のように使う「落とし込む」
では意味が通らない。「陥れる」か何かとの混同ではないか。
http://www.1101.com/otona/2003-06-11.html
>■オトナはつねに落とし込む。紙などに落とし込む。
>話し合った結果を落とし込む。落とし込みどころを探す。
これが原文ママならば翻訳者の責任だろうが (引用する者の責任がないとはいえない)、
同じ主旨のことを書いている唐沢俊一の日記では「“地球を篭絡しようとしているクラゲ
ども”」になっているので、正確な引用である可能性は低い。
http://www.tobunken.com/diary/diary20010815184459.html
> ちなみに、ヒトラーはこの著書の中でユダヤ人のことを“地球を篭絡しようとしている
>クラゲども”という、奇妙な比喩を使ってののしっている。クラゲという表現も唐突だし、
>いきなり “地球”という単位で世界が表されるのにもとまどわせられる。ひょっとして、
>ヒトラーは若いころにウェルズの『宇宙戦争』を読んでいて、そのイラストの中の火星人
>をタコではなくクラゲとみなし、そのイメージがこの原稿を書いている最中にフイと出て
>きたのでは、などという妄想をふくらませてみる。
それにしても『キッチュワールド案内』の中では「ウェルズ」ではなく「ウエルズ」か――と
思ったら、ハヤカワ文庫 SF では、「H・G・ウエルズ」の『宇宙戦争』なのね (創元 SF 文庫
では「H・G・ウェルズ」)。
( http://www.amazon.co.jp/dp/4150115133、http://www.amazon.co.jp/dp/448860708X )
参考 URL (原作が読める):
- http://www.sf-fantasy.com/magazine/special/wells/index.shtml
- http://www.fourmilab.ch/etexts/www/warworlds/warw.html
追記: 2ちゃんねるのスレでの嘆き書き込み (?) を含め、Read More に追加。
唐沢俊一には珍しい、せっかくの SF ネタだったことでもあるし、作品論寄りのことでも
何でも、遠慮なくコメント欄に書き込んでくれて OK。
http://love6.2ch.net/test/read.cgi/books/1208355813/24-
24 :無名草子さん:2008/04/17(木) 07:15:37
『キッチュワールド案内』P9
>彼の著作『わが闘争』の中で、たぶん、もっともユニークな表現なのが、ユダヤ人のことを“地球を落とし込もうとしているクラゲ”とののしっている部分である。
>ヒトラーはクラゲが嫌いだったのだろうか。それにしても、クラゲが地球をねらうイメージというのは何か?
>無責任に想像をめぐらせれば、ウエルズの『宇宙戦争』を若き日のヒトラーが読んでいて、あの火星人の姿形をタコでなくクラゲと見て、それをユダヤ人にあてはめ、
>“地球を落とし込もうとしている”というイメージを言葉にした、とも思える。
無責任に想像をめぐらせるのは勝手だが、ヒトラーは“地球を落とし込む”と言っているのであって、“地球を征服する”とは言っていない。さらにドイツ語の Qualleには「意気地なし」「腰抜け」「弱虫」という
意味があるから、そうした罵りの意味で使ったのではないのか。なにより“Eine Qualle”“Mein Kampf”でweb全体で検索しても20件しかヒットしないから、さほど有名な言葉でもないようだ。
ヒトラーは馬鹿ではないから、もしも『宇宙戦争』を読んでいたとしても「タコ型宇宙人」をクラゲに見間違えることはあるまい。
30 :無名草子さん:2008/04/17(木) 09:23:06
>>24
同じことを日記でも書いている。
http://www.tobunken.com/diary/diary20010815184459.html
珍説を展開する前に翻訳者が直訳してしまった結果だとは考えないもんかね?
『ユリシーズ』の誤訳問題とか知らないんだろうか?
34 :無名草子さん:2008/04/17(木) 09:40:37
ユダヤ人をクラゲに喩えるのって、単に「漂っている」「漂流している」ってことからでは?
35 :無名草子さん:2008/04/17(木) 09:46:46
そういうニュアンスもあるだろうね。
ユダヤ人は地球をおとしめる、腰の据わらぬ腑抜けだ!
といったような。
36 :無名草子さん:2008/04/17(木) 10:03:02
>>35
・・・というか、ユダヤ人は放浪民族だから・・・
↓を見ると、やはり翻訳者の直訳に問題があるんでは?
英語のスラング“chicken”を「鶏」と訳してしまうようなものかと。
日本語ードイツ語辞書データ 4
http://www.geocities.jp/abelinternational/xJ/GJJr_4.htm
クラゲ:KURAGE#Qualle
意気地なし:ikuzi nashi#Qualle
腰抜け:koshinuke#Qualle
根性なし:konjou nashi#Qualle
弱虫:yowamushi#Qualle
『わが闘争』の複数の邦訳をチェックしてみるのが一番なんだが、
現在読める版は限られているだろうし。
37 :36:2008/04/17(木) 10:19:24
>・・・というか、ユダヤ人は放浪民族だから・・・
↑は、蛇足でしたm(-_-)m
>>35さんは、そういう意味で言ってるんだね。
399 :無名草子さん:2008/04/19(土) 00:14:21
>>30
翻訳者が「クラゲ」と直訳した件については、誤訳扱いにするのは
ちょっと気の毒かもしれないと思いました。
クラゲから連想される様々なイメージを読者に想像させたいという
意図があれば、「クラゲ」のままというのもアリなのでは。
……まさか、クラゲからタコ型火星人を連想し、連想しただけならいいけど、
ヒトラーはウェルズの『宇宙戦争』を読んでいたから「クラゲ」なんだ
――とまで妄想を爆発させる読者(唐沢俊一)が出てくるとまでは、
翻訳者も予想できなくて当然でしょう。
だいたい、ウェルズの『宇宙戦争』の火星人がタコ型とされるのは、
表紙のイラスト↓のせいというのが大きくて
http://ja.wikipedia.org/wiki/%e7%94%bb%e5%83%8f:War_of_the_Worlds_original_cover_bw.jpg
このギョロ目の生き物を見て、クラゲと混同する奴がいるなんて妄想爆発させる方がおかしい。
ヒトラーって、一応画家志望だったのだし。
590 :無名草子さん:2008/04/20(日) 10:59:15
引用と言えば……
>>24
>>彼の著作『わが闘争』の中で、たぶん、もっともユニークな表現なのが、ユダヤ人のことを
>>“地球を落とし込もうとしているクラゲ”とののしっている部分である。
この“地球を落とし込もうとしているクラゲ”は、『わが闘争』の本からの引用と思うんだけど、でも
>>30
>同じことを日記でも書いている。
>http://www.tobunken.com/diary/diary20010815184459.html
この日記の中では、
> ちなみに、ヒトラーはこの著書の中でユダヤ人のことを“地球を篭絡しようとしているクラゲ
>ども”という、奇妙な比喩を使ってののしっている。クラゲという表現も唐突だし、いきなり
>“地球”という単位で世界が表されるのにもとまどわせられる。
“地球を篭絡しようとしているクラゲども”も本からの引用っぽいんだけど。
どちらが正しいのか、両方間違っているのか、どっちなんだろう?
(複数の版を持っているという可能性は除外w)
591 :無名草子さん:2008/04/20(日) 11:20:12
「落とし込む」の用語解説
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q107316750
http://www.1101.com/otona/2003-06-11.html
何か読んでいると、うぐっと胸が痛くなる……。
592 :無名草子さん:2008/04/20(日) 12:46:48
「陥(おとしい)れる」とか「陥(おちい)らせる」とか書きたかったのかも。
659 :無名草子さん:2008/04/21(月) 13:30:37
『宇宙戦争』について・・・
↓ウェルズ自身が描いた火星人。
http://www.english.hawaii.edu/faculty/rieder/rieder.html
660 :659:2008/04/21(月) 13:43:30
日本のサイトにも掲載されていた。
http://www.tsogen.co.jp/wadai/0505_06.html
>文筆家としては駆け出しだったころ、ウェルズは〈ペル・メル・ガゼット〉
>という雑誌の1893年11月9日号に "The Man of the Year Million" と題された
>科学エッセイを発表し、ダーウィン流進化論に基づいて、はるか未来における
>人類の姿を想像した(この記事については、作者自身が本書第2部第2章で
>触れている)。ウェルズによれば、脳が高度に発達し、手以外の器官が退化した
>人類は、頭ばかりが大きい蛸のような姿になるという。つまり、ウェルズに
>とって、火星人は未来の地球人にほかならなかったわけだ。ちなみに、ウェルズの
>描いた火星人の絵が公になっている(図版参照)。ラルフ・ストラウスという
>ジャーナリストの求めに応じて、ウェルズが『宇宙戦争』の扉にスケッチした
>ものだそうだが、この絵を見れば、「火星人=未来の地球人」ということが
>納得できるのではないだろうか。
661 :無名草子さん:2008/04/21(月) 14:12:55
(図) ‐''' ´  ̄`''‐- 、
/ ヽ
/ ヽ
/ '''''' '''''' 「i「i}i、
l (●), 、(●) ,{ ノ
l l ,,ノ(、_, )ヽ、,, ーゝ
', `-=ニ=- ' /
ヾ,、 `ニニ´ /
` ー- 、___,ォュ'´
┃ ┃
┛ ┗
662 :無名草子さん:2008/04/21(月) 14:35:51
そもそも唐沢の言う「あの火星人の姿形をタコでなくクラゲと見て、」
という意味がわからない。
『宇宙戦争』に描かれた火星人の姿は、脳が以上発達し手足が退化した結果
蛸のような外見になった(火星の重力の問題もあるだろうが)のであって、
蛸から進化した人類でもなければ、蛸と合体したわけでもないのだから。
966 :無名草子さん:2008/04/22(火) 12:04:58
『宇宙戦争』初版の表紙画像について、一応指摘。
http://www.samizdat.com.ar/samizdat21/war%20of%20the%20worlds.jpg
この絵はラスト近く…火星人達が、地球人には無害な微生物に免疫がない為
全滅していたシーンを描いたもの。(表紙でいきなりネタバレというのもすごい)
周囲に転倒しているのは火星人の操縦する三本脚歩行の戦闘機械。
火星人は、重力の強い地球では這いつくばってるが(尤も、この画像では
死亡している)、火星本星では触手で立ち上がっていたと思われ。
http://love6.2ch.net/test/read.cgi/books/1208837414/103n-
103 :無名草子さん:2008/04/22(火) 23:18:50
『宇宙戦争』の火星人の話、結局「タコかクラゲか」みたいな変な方向にいっちゃったなorz
あの火星人の姿は、脳の異常な発達と使わなくなった手足の退化→人類の進化の行き着く果て→
「地球人の未来の姿」を風刺的に表現してるんであって、タコでもクラゲでもないよ。
その外見からタコに喩えられるだけ。
112 :無名草子さん:2008/04/23(水) 00:27:24
>>103
何かスマソ……。(←タコとクラゲにこだわりまくった奴)
タコタコいわれるのはたぶんウェルズの本意ではなく、
表紙のイラストのせいというのはわかっているつもりなんだけど、
まあ「SFとは絵だ」ともいうからしょうがない、ということで勘弁を。
でも、半透明なせいで、脳みそつまっていないのが丸わかりのクラゲというのは
やっぱりナシともいえなくない? (←まだ言うか)
115 :103:2008/04/23(水) 01:16:24
いやいや、こちらこそ(焦)・・・
なにも分らずに書かれてたわけじゃないことは理解してますよ。
ただ藤岡さんのサイトとか見ても、イラストに描かれた状況(前スレ>>966参照)を
理解されているのか疑問に感じたりして。
唐沢の解釈がおかしいことに変わりはないのだけれど。
116 :115:2008/04/23(水) 01:26:29
書き忘れたorz
>>115は>>112へのレス。
2008/4/21 22:45
投稿者:トンデモない一行知識
http://tondemonai2.web.fc2.com/
http://tondemonai2.web.fc2.com/
2008/4/21 12:47
投稿者:藤岡真
やっと見つけました。第十三章「戦後のドイツ同盟政策」
の中の一文。
「わが民族および国家が、この血と貨幣に飢えているユダヤ人の民族暴虐者の犠牲に供されれば、全地球はこのクラゲどもにろう絡されてしまうだろう」平野一郎訳
この一文から、なんで唐沢がH・G・ウエルズを連想したのかは、わたしのサイトに近々アップするつもりです。
の中の一文。
「わが民族および国家が、この血と貨幣に飢えているユダヤ人の民族暴虐者の犠牲に供されれば、全地球はこのクラゲどもにろう絡されてしまうだろう」平野一郎訳
この一文から、なんで唐沢がH・G・ウエルズを連想したのかは、わたしのサイトに近々アップするつもりです。
2008/4/20 22:35
投稿者:トンデモない一行知識
http://tondemonai2.web.fc2.com/
http://tondemonai2.web.fc2.com/
失礼しました……。× octpus ○ octopus です。(_ _);
2008/4/20 22:31
投稿者:トンデモない一行知識
http://tondemonai2.web.fc2.com/
http://tondemonai2.web.fc2.com/
そそれは頭が下がります……<細かい活字びっしりのぶ厚い上下二巻
私の方は、せっかくなので
http://www.sf-fantasy.com/magazine/special/wells/index.shtml
経由で、翻訳されている「星間戦争」をぱらぱら読んだり、馬車の
サイトに行ったり。http://www.basha-ya.com/
本文の方では octpus は 2 箇所と書きましたが、やっぱりあんまり
タコのような宇宙人とは文章では明言していないのですよね。まあ
「大きくて黒っぽいふたつの目」とか「V字形の口」とか、絶対
クラゲじゃないだろうということは確かなんですが。
http://www.sf-fantasy.com/magazine/translation/war/
1_04.shtml
>巨大で灰色がかった丸いもの、大きさはおそらく熊ぐらいはあろう
>かという何物かがのろのろと、苦労しながら円筒から出ようとして
>いた。膨れあがったそいつは陽光を受けて濡れた皮革のように光っ
>た。大きくて黒っぽいふたつの目が動くことなく私を見つめてい
>た。
>目を容れている部分、すなわちそいつの頭部は丸っこくて、顔と
>言えそうなものを備えていた。目の下には口があったが唇らしき
>ものはなく、その縁はあえぐように震えてはよだれを垂らしてい
>た。
>その生き物は全体がけいれんするように波打ち脈打っていた。ひょ
>ろ長い触手状の付属器官のひとつが円筒の縁をつかみ、もう一本が
>空中で揺れていた。生きている火星人を見たことのない者には、
>その姿がもたらす一風変わった恐怖を想像することもできまい。
>奇妙なV字形の口は上唇の部分が尖っていて、眉に相当する隆起は
>なく、楔状の下唇の下にはあごがなく、絶えず口を震わせ、ゴルゴ
>ンの髪のような触手をもたげ、その肺は慣れない大気を呼吸するた
>びに騒々しい音を立て、重々しく苦しげな動作はそのすみかよりも
>大きな地球の重力を反映している。何にもまして恐ろしげなのは
>巨大な目の並はずれた眼光で、鋭くて活力に満ち、非人間的で、
>奇形的かつ化け物じみていた。油じみた褐色の皮膚はどこかしら
>キノコを連想させ、ぶざまで緩慢な動きは言いようもなく嫌らし
>かった。
私の方は、せっかくなので
http://www.sf-fantasy.com/magazine/special/wells/index.shtml
経由で、翻訳されている「星間戦争」をぱらぱら読んだり、馬車の
サイトに行ったり。http://www.basha-ya.com/
本文の方では octpus は 2 箇所と書きましたが、やっぱりあんまり
タコのような宇宙人とは文章では明言していないのですよね。まあ
「大きくて黒っぽいふたつの目」とか「V字形の口」とか、絶対
クラゲじゃないだろうということは確かなんですが。
http://www.sf-fantasy.com/magazine/translation/war/
1_04.shtml
>巨大で灰色がかった丸いもの、大きさはおそらく熊ぐらいはあろう
>かという何物かがのろのろと、苦労しながら円筒から出ようとして
>いた。膨れあがったそいつは陽光を受けて濡れた皮革のように光っ
>た。大きくて黒っぽいふたつの目が動くことなく私を見つめてい
>た。
>目を容れている部分、すなわちそいつの頭部は丸っこくて、顔と
>言えそうなものを備えていた。目の下には口があったが唇らしき
>ものはなく、その縁はあえぐように震えてはよだれを垂らしてい
>た。
>その生き物は全体がけいれんするように波打ち脈打っていた。ひょ
>ろ長い触手状の付属器官のひとつが円筒の縁をつかみ、もう一本が
>空中で揺れていた。生きている火星人を見たことのない者には、
>その姿がもたらす一風変わった恐怖を想像することもできまい。
>奇妙なV字形の口は上唇の部分が尖っていて、眉に相当する隆起は
>なく、楔状の下唇の下にはあごがなく、絶えず口を震わせ、ゴルゴ
>ンの髪のような触手をもたげ、その肺は慣れない大気を呼吸するた
>びに騒々しい音を立て、重々しく苦しげな動作はそのすみかよりも
>大きな地球の重力を反映している。何にもまして恐ろしげなのは
>巨大な目の並はずれた眼光で、鋭くて活力に満ち、非人間的で、
>奇形的かつ化け物じみていた。油じみた褐色の皮膚はどこかしら
>キノコを連想させ、ぶざまで緩慢な動きは言いようもなく嫌らし
>かった。
2008/4/20 15:53
投稿者:藤岡真
「わが闘争」角川文庫版読書中です。これは1961年に出た黎明書房版の改訂版です。
ユダヤ人に関しては「ペスト菌」「吸血虫」「吸血鬼」「寄生虫」「毒蛇」と、あらゆる悪態で誹謗されています。その中の“ユダヤ人の詭弁”と題した文章で、議論に負けそうになると、「くらげのような粘液で手をつかみ、くらげのような粘液が指の間をすべりぬけると、次の瞬間にはふたたび合流して結合する」のだという、よく分からん記述がありますが、これはクラゲそのものを指しているのでしょう。細かい活字びっしりのぶ厚い上下二巻、「地球を落とし込むクラゲ」は未だ見つかりません。
ユダヤ人に関しては「ペスト菌」「吸血虫」「吸血鬼」「寄生虫」「毒蛇」と、あらゆる悪態で誹謗されています。その中の“ユダヤ人の詭弁”と題した文章で、議論に負けそうになると、「くらげのような粘液で手をつかみ、くらげのような粘液が指の間をすべりぬけると、次の瞬間にはふたたび合流して結合する」のだという、よく分からん記述がありますが、これはクラゲそのものを指しているのでしょう。細かい活字びっしりのぶ厚い上下二巻、「地球を落とし込むクラゲ」は未だ見つかりません。
ああ、「地球」はそのままで、やっぱり「ろう絡」だったのですね。
サイトの方も拝見しました。
私は、まあ、ウェルズの本の初版の表紙を見て、クラゲと間違える
なんてなぁ派です。頭が縦長だし、透明感ないし。
漫画で見かけるタコ型宇宙人には、確かに足の長いクラゲと混同して
もおかしくないデフォルメをしているのもよくあるので、唐沢俊一は
そういう線画の、頭も足も特に塗られていたり模様がついていたり
しないものを念頭においてクラゲといったんじゃないかと思っていま
す。ヒトラーの目にしたであろうタコ型宇宙人の絵はどのようなもの
だったかという考証ナシて。