トンデモない一行知識の世界 OLD - 唐沢俊一の「雑学」とは -

一部で有名な唐沢俊一の一行知識に、ツッコミを入れたり派生トリビアを書いたり。
「愚かで分別のない人と思われたいなら、唐沢俊一のトリビアを引用しなさい。」

 
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2008/9/8  2:53

天の光はすべて星、彼の雑学はすべて嘘  『トンデモ一行知識の逆襲』間違い探し編

『トンデモ一行知識の逆襲』 P.101
 そもそも誕生石の起源は、古代バビロニアの昔にさかのぼる。当時の
バビロニア人は天の星からは霊液が流れでて地上に降りそそぎ、それが
人間の行動や運命に影響をおよぼす、と考えた。そして宝石というものは、
その霊液が地上で固まったものだ、と考えたのだ。ロマンチックだねえ。
〈略〉やがてその伝承がイスラエルに伝わったとき、イスラエルの十二支族
やキリストの十二使徒、天使や悪魔の十二階級など、イスラエルの神秘
思想において聖なる数であった十二という数にちなんで、十二種類にまと
められた。
 この宝石の分類の十二という数が、さらに後になって、イスラエル神秘
思想を取り入れた星占い師たちによって占星術の方に移入され、彼らは
それにしたがって天の星を分類し、黄道十二宮という今の形を創り上げた。
よく知られている牡羊座、牡牛座、双子座、魚座というあれである。
 変な話だが、最初、星からの影響を形にしてイメージした宝石の分類が、
後に逆ルートで占星術の方に移入され、黄道十二宮という考え方を生んだ
のである。蛇が自分の尻尾をくわえて飲み込もうとしているような、そんな
イメージのあるエピソードだ。

まとめるとこういう感じだろうか。
(1) 古代バビロニアでは、星の霊液が人間の運命に影響をおよぼし、地上に固まって
  宝石となると考えられていた。
(2) イスラエルにそれが伝わったとき、イスラエルの神秘思想では 12 が聖なる数の
  ため、運命に影響をおよぼす宝石の数は 12 種類にしぼられるようになった。
(3) その後、イスラエル神秘思想を取り入れた星占い師が、「この宝石の分類の十二
  という数」を占星術に移入して、黄道十二宮を創り上げた。

イスラエルの神秘思想を取り入れ黄道十二宮を創り上げたという星占い師が、「イスラ
エルの神秘思想において聖なる数であった十二
」にちなんだのではなく、「宝石の分類
の十二という数
」を取り入れたと判断した根拠が、何度読み返してもわからないのだが。
ウロボロスの蛇というより、ゴルディアスの結び目という感じの文章である。(しかも、
とけたからといって大したご利益はなさそうな……)。

だいたい、現代の誕生石もそうだけど (「フランスではパールは 10 月の誕生石」参照)、
人の運命に影響をおよぼすとされる宝石が、きっかり 12 種類に限定された時期があっ
たとは考えにくい。実際、唐沢俊一はその 12 種類を列挙してもいないし。

また、「十二使徒」をあげているくらいだから、唐沢俊一は、イスラエルで宝石の分類が
十二種類にまとめられた」のを 1 世紀頃と想定していると思われる。さらにその後、
それを元に占星術の黄道十二宮が創り出されたと。

しかし、以下に列挙する資料にあるように、そもそも星占いも黄道十二宮も、古代バビロ
ニアが発祥とされているのだ。それも紀元前の頃の。つまり、「星からの影響を形にして
イメージした宝石の分類が、後に逆ルートで占星術の方に移入され
」たといった、やや
こしい経緯のものではない。

http://www.istone.org/birth2.html
>紀元前6世紀頃、メソポタミア地方では、バベルの塔で有名なバビロニア帝国が栄え
>ていました。バビロニア人は数学や天文学に長けていました。12星座を選び、占星術
>の基礎を築きました。そして、宝石と12星座を関連づけたと言われています。初めは
>多数の宝石が選定されていましたが、次第に数が絞られて行き、月に数個程度になっ
>たそうです。


http://www.amazon.co.jp/dp/4480085734
>占星術の起源 (ちくま学芸文庫)
>(文庫)矢島 文夫 (著)
>十二宮占星術の起源はギリシャ・ローマからさらにオリエントにまでさかのぼる。エジ
>プトやメソポタミアの神話は天体神を尊崇の対象とし、特定の星の出入りから暦を作り
>上げ、吉凶を読み取り、各月に意味を与えた。紀元前2世紀のバビロニアでは、すで
>に49の星座と1080の星が楔形文字で記され、占星術師は時の王朝に仕え重んじら
>れた。


http://www.muse-genkou.fuyu.gs/Gallery/Gallery4/gallery4_3.html
>サイン(英語 sign)またはアストロロジカル・サイン(astrological sign)とは、西洋占星
>術などのホロスコープを用いる占星術において、獣帯を黄経で12等分したそれぞれの
>領域。獣帯 (zodiac) とは、天球上の黄道を中心とした、惑星(太陽・月などを含む)が
>運行する帯状の領域である。サインは古くは宮(きゅう)と呼ばれていた。12のサイン
>を合わせて十二宮や黄道十二宮と言う。
〈略〉
> 黄道十二宮の起源は大変に古く、古代バビロニア時代の境界石にも、現在のものに
>かなり近い十二宮の意匠が認めらます。
> やがて2世紀頃、ギリシャの天文学者プトレマイオス(トレミー)が、それまでのギリ
>シャ天文学の成果を大著『テトラビブロス』にまとめ上げました。恐らく黄道十二宮の
>由来をギリシャ神話に求める考えは、この頃からヨーロッパに定着したものと思われ
>ます。


http://ja.wikipedia.org/wiki/十二宮
>サインは、古代バビロニア時代に設定されたと考えられている。ただし、順や名前は、
>現代のものとは若干異なる。バビロニアから西に伝わったものはギリシア神話の体系
>に組み込まれ、インドにはギリシアから紀元前後に伝えられた。古代中国にも十二次
>というサインと類似したものがあるが、伝播によって成立したものかは定かではない。


その他参考 URL (天の星の霊液):
- http://www.hotdocs.jp/file/66963



   
 
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