トンデモない一行知識の世界 OLD - 唐沢俊一の「雑学」とは -

一部で有名な唐沢俊一の一行知識に、ツッコミを入れたり派生トリビアを書いたり。
「愚かで分別のない人と思われたいなら、唐沢俊一のトリビアを引用しなさい。」

 
旧 URL は、http://diary.aol.com/yzuc9ww/612.html
文字列の一括置換をかけた都合上、旧ブログのコメント欄および2ちゃんねるのスレからの引用の中の URL も全部新 URL に置き換わっていますことを、あらかじめご了承ください
http://tondemonai2.blog114.fc2.com/ で続きの Blog をやっています
   
 

2008/8/3  19:45

うるさい鉄の桃じゃなくて熱した鉄の三位一体 Trinity  『トンデモ一行知識の世界』間違い探し編

『トンデモ一行知識の世界』 P.150 ~ P.151
また、桃のような形をして、すっぽりと頭の上からかぶせる、鉄製の兜も
あった。この兜は内部が二重になっており、音がよく反響するつくりに
なっている。そのため、かぶせておいて、外側から鉄の棒で軽く叩いた
だけで、中の囚人には鼓膜がやぶれ、気が狂うほどの大音響となって
聞えるのである。

「torture iron peach」等でググっても、該当しそうなものは見つからなかった。で、気分を
変えて、以下のような拷問道具の画像いっぱいのサイトを調べてみたわけだけど。

- http://atheisthaven.blogspot.com/2007/10/missionarys-penultimate-gift-to-mankind_04.html
- http://www.jesusneverexisted.com/murderers.htm
- http://torture.justsickshit.com/torture-in-the-medieval-timessickly/
- http://www.francesfarmersrevenge.com/stuff/archive/torture/devices.htm

すっぽりと頭の上からかぶせる、鉄製の兜」にかろうじて該当しそうなのは、The Holy
Trinity という鉄の仮面 と、The Headcrusher とよばれる器具の、頭にかぶせる半球の
部分くらいしかなかった。

The Holy Trinity は熱して使用し、The Headcrusher はネジを回して頭蓋を締めつける。
どちらも形状は桃とは似ても似つかないし、音の反響はいっさい利用しない。

http://atheisthaven.blogspot.com/2007/10/missionarys-penultimate-gift-to-mankind_04.html
> Cue the Holy Trinity: The iron mask is heated, and after it is red hot, the mask is
> then applied to the face of the unfortunate victim. The iron mask is then allowed
> to simmer, to the chagrin of the poor victim, and then removed, along with the
> victim's eyeballs and skin, now etched firmly onto the dreaded mask.
> To add an exquisite touch to an otherwise awful treatment, red hot pincers are
> used to remove the victim's tongue.
> A wonderful invention for torturers who do not wish to kill their victims, but
> would rather maim the victim so as to kill two birds with one stone: The victim's
> permanent handicap becomes a burdensome liability to the family, and the
> permanent damage serves as a permanent remainder to others of the lethal
> consequences of a loose tongue.


http://www.francesfarmersrevenge.com/stuff/archive/torture/devices.htm
> Headcrushers exerted tremendous force on the head by means of a screw.
> This could be used to force a confession or as a means of execution. Some
> headcrushers had a sharp point at the tip of the screw which would drive into
> the skull, anchoring it for the pressure of the skull plate.


なお、The Branks、Dame's Bridle、Scold's Bridle とよばれる器具もあるが、こちらは、
どちらかというと後述の”魔女のくつばみ”に対応しそうなもので、中にボールを入れて
猿ぐつわのようにして使うことがある。

で、鉄の桃の兜って、まさか以下に引用されている山田風太郎の『銀河忍法帖』からの
コピペではないだろうなと思っていたら、どうも本当にそうみたいで……。

http://www5a.biglobe.ne.jp/%7Eyoion/henmi/ginga.htm
> 「これは大きな鉄の桃のようじゃが、兜(かぶと)じゃ。これをかぶせて、上から槌で
>たたく。かるくたたくだけで、歯もことごとく抜けおちんばかりの震動をを与える」


これだけならまだしも、『銀河忍法帖』からの引用には、以下の文章もあって……。

http://www5a.biglobe.ne.jp/%7Eyoion/henmi/ginga.htm
> 「この仮面の内側には、見るがよい、まるい棒がつき出しておる。……ふふ、男根の
>かたちをしておるが……仮面をつければその棒が口に入って舌を押えつける。”魔女の
>くつばみ”というものじゃ。いかなる責め苦にあわされようと、わめき声一つたてられぬ」
> それから、こんどは鉄の西洋梨みたいなものをとった。
> 「閉じればこのようなかたちをしておるが、口におし込んでここのねじをひねると、それ
>は開いて、同時に口も開かせる。顎の裂けるまで開かせるが、それ以外に罪人を仰の
>かせて、上から腹のはち切れるまで水を注ぐのに便じゃ。称して”ペリカン”という。


西洋梨の形の拷問道具は「ペリカン」といわないよというのは、「西洋梨なら ペリカンより
も まずは Pope (?)
」のエントリでやったのだけど、このガセビアのネタ元は山田風太郎の
小説だったのかと……パクリについては後で別エントリでやる予定だけど、とりあえずは
リンク先の唐沢俊一の文章と内容を比較してみていただきたい。

”魔女のくつばみ”の説明も、唐沢俊一の書いたこの章に同じような文章がある。ボールで
なくて男根の形の棒を突っ込むというのも同じ。多分、山田風太郎の創作なんだけど。

追記 : “魔女のくつばみ”もガセビアだろうという問題については、「聖職者がわざわざ男根の
形のものがついた仮面を用意するかね?
」のエントリに書いた。



   
 
HOME

 

 

inserted by FC2 system