トンデモない一行知識の世界 OLD - 唐沢俊一の「雑学」とは -

一部で有名な唐沢俊一の一行知識に、ツッコミを入れたり派生トリビアを書いたり。
「愚かで分別のない人と思われたいなら、唐沢俊一のトリビアを引用しなさい。」

 
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文字列の一括置換をかけた都合上、旧ブログのコメント欄および2ちゃんねるのスレからの引用の中の URL も全部新 URL に置き換わっていますことを、あらかじめご了承ください
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2008/3/8  21:31

西洋梨なら ペリカンよりも まずは Pope (?)  『トンデモ一行知識の世界』間違い探し編

『トンデモ一行知識の世界』 P.150
 また、西洋梨をふたつに割って、ねじで留めたような、“ペリカン”と
呼ばれる器具もあった。 これは、囚人の口に入れてねじを調節すると、
次第に開いて、口を開いたままの形で固定される器具である。 さらに
ねじを巻けば、口が裂けるまで開かせることも可能だったが、そこまで
開くことはめったになかった。……しかし、それは慈悲の心のためでは
(もちろん)ない。そうやって開けた口から大量の水を流し込む方が
もっと有効な拷問方法だったからである。

上記の引用は、唐沢俊一いうところの「初代宗教裁判所長、トルケマダ」が発明して、
いまでもスペインの王立博物館に展示されている」「拷問器具」 (P.150) のひとつに
ついての説明なのだが、どうも以下の 2 つが混ざってしまっているように思える。

 1. 梨の形状をした拷問器具: 実際に異端審問官が拷問に使用。囚人の口に入れて、
  ねじで調節すると、西洋梨を縦に (「ふたつ」ではなく) 3 つか 4 つに割ったような
  形に開き、開いたままの状態で固定することが可能。

  身体の内部で開いた状態にするためのもので、囚人を黙らせたり飢え死にさせたり、
  口の中を裂いて命を奪ったりすることはできるが、入り口がふさがったような状態に
  なるため、「開けた口から大量の水を流し込む」のには不向きと思われる。

 2. “ペリカン”という別名をもつクスコ氏膣鏡: フランスの外科医クスコ氏が発明した、
  産婦人科医師が膣内を広げて中を見るための医療器具。形状はペリカンの嘴に
  似ていて、先端を広げて膣の中を観察することが可能。「ふたつに割っ」たような形
  だが、西洋梨にはあまり似ていない。またトルケマダの発明でないことは確か。

  これも身体の内部を開いた状態にするが、内部の観察を可能とするために入り口も
  開いた状態にするため、「大量の水を流し込む」こともまた可能だと思われる。しかし、
  膣ではなく口に使用できるかどうかは不明。


1. の梨の形状をした拷問器具 (Pear of Anguish または The Pope's Pears) について:

- http://www.angelfire.com/darkside/forgottendreams/Analpear.html
>Also known as the poire d'angoisse or "pear of anguish". The pear was a device
>that expanded after being inserted orally,


- http://atheisthaven.blogspot.com/2007/10/missionarys-penultimate-gift-to-mankind_04.html
>1. "The Pope's Pears"
>Lovely name, complete with the blessings of the pope: 〈略〉 The oral pear is good at
>silencing blasphemers, non-Christians and other "invalid" denizens of Christian
>Europe.

(「教皇、ローマ法王」の意味の Pope を名前にするのはスゴいけど……膣用、肛門用、
口用と 3 種のバリエーションがあって、口につかう梨 Pear は、神を冒涜する者や、
非キリスト教徒、その他ヨーロッパのキリスト教徒の「病んだ」(?) 住民を黙らせるのに
よいそうだ)。

2. のクスコ氏膣鏡 (ペリカン) について:

- http://iog.jp/shinsatu/cusuko.htm
>クスコ氏膣鏡
>フランスの外科医クスコ氏が発明した、膣内を見る医療器具です。
>産婦人科医師が一番頻繁に使用する医療器具です。
>内診台上の患者さんの膣の中に挿入し、下の写真のように先端を広げて、膣の中を
>観察します。


- http://www.ohayo-sanspo.net/dic/term2005/ps/1/121016.html
>クスコ フランスの外科医で、膣鏡(クスコ)の発明者。

- http://www.556251.com/dream-shop/tana5028.htm


なお、このネタを2ちゃんで最初に書き込んだ人のコメントRead More にある通りだった
んだけど、「苦悩の梨」をググって画像を探すことに挫折して、海外サイトを検索し使用。

http://love6.2ch.net/test/read.cgi/books/1204420325/640
640 :無名草子さん:2008/03/07(金) 10:58:48
『トンデモ一行知識の世界』P150

>また、西洋梨をふたつに割って、ねじで留めたような“ペリカン”と呼ばれる器具もあった。
>これは、囚人の口に入れてねじを調節すると、次第に開いて、口を開いたままの形で固定される器具である。

これはスペインの異端審問所長官トマス・デ・トルケマダに関するトリビアの一部である。
唐沢は調べるのが面倒なのか「固形料」とか「うつ症」とか勝手な造語を用いるが、
ここでも、「宗教裁判所所長」という言葉を用いている。
“ペリカン”とはクスコという医療器具の別称で、その出自がこの拷問具とは到底思えない。
クスコは産婦人科の医療器具で女性の膣口から差し入れ、広げて膣内や子宮を調べるときに使う。

口に押し込んで、声を出せない食事がとれないようにした拷問具は「苦悩の梨」と呼ばれたもので
形が洋梨に似ているところからこう呼ばれている。取り付け部のネジやバネによって、
先端から縦方向に3つか4つの部分に別れて拡張できる仕組になっている。

唐沢は自分で「西洋梨をふたつに割って、ねじで留めたような」と書きながら、なんでペリカンと
書いたのか。ペリカンは西洋梨には似ても似つかない形をしている(文字通りペリカンの嘴)。

http://www.556251.com/dream-shop/im-iryouki/049-002-05.jpg



   
 
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