トンデモない一行知識の世界 OLD - 唐沢俊一の「雑学」とは -

一部で有名な唐沢俊一の一行知識に、ツッコミを入れたり派生トリビアを書いたり。
「愚かで分別のない人と思われたいなら、唐沢俊一のトリビアを引用しなさい。」

 
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2008/3/25  0:38

保存食募集が「ロシア遠征」のためかどうかも不明  『トンデモ一行知識の世界』間違い探し編

『トンデモ一行知識の世界』 P.79
カンヅメの発明者、というか発案者はかのナポレオンで、ロシア遠征を
ひかえて彼は、行軍用の保存食料の開発を命じ、その結果採用された
のが、「ニコラ・アペール (フランソワ・アペールという説もあり)」という
菓子屋が考案した、食品を密閉したカン (初期にはビンが使われた) に
保存するというアイデアだった。さっそくフランス軍はこれを何万と作って
戦地に持っていった。
 ところが当時はまだ密封の技術に難があって、せっかくのナポレオンの
名案も、行軍途中ですべてのカンの中身が腐り、ガスが発生して破裂し、
オジャンとなってしまった。カンヅメに頼って食料補給のルートを確保して
いなかったため、冬将軍にやられて退却中の数万人のフランス軍が飢えで
死亡した。

アペールの発明したのは瓶詰で、金属製容器に食品を入れる缶詰を発明したのは、
イギリスのピーター・デュランドだというのは「根を詰めて缶詰を製作」の方で。

カンの中身」とのことだから、ナポレオンが「冬将軍にやられ」たロシア遠征には、瓶詰
ではなく缶詰をもっていったということになるけど、アペールの考案した「これ」を作ったと
するならば、瓶ではなく缶だというのは変。

ロシア遠征は 1812 年で、金属製容器の発明された 1810 年の翌々年。「何万も作って
戦地に持って
」いけるだけの大量生産体制がそんなに早く整うものかは疑問だし、何万
程度のオーダーでは、60 万人のナポレオン軍の 1 人につき 1 個も行き渡らない計算。
缶詰にしろ瓶詰にしろ、ロシア遠征にどれだけもっていけたか、そもそももっていけたか
どうかも、わからない。

仮に缶詰を大量にもっていけたとして、「カンの中身が腐り、ガスが発生して破裂」した
のだとしたら、夏から秋にあらかた缶詰の中身はダメになっていて、「カンヅメに頼って」は
いられないことは初期に判明していたはずという気もするし。冬将軍到来の頃になると、
密封が不完全だったとしても、カチカチに凍って、腐って破裂どころではないだろうから。

何より、「カンヅメに頼って食料補給のルートを確保していなかった」のではなくて、
ロシアの焦土戦術によって食料確保の道を断たれたと Wikipedia 等には書かれて
いるんだけど。

http://ja.wikipedia.org/wiki/ナポレオン戦争
>ロシア軍の戦略は、退却によってフランス軍をロシア領の奥深く引きずり込み、焦土
>戦術によって食料の補給を断つことであった。8月17日にはスモレンスクが陥落するが、
>町は焼失させられていた。9月7日、モスクワ西方のボロディノで、クトゥーゾフ率いる
>ロシア軍はフランス軍との決戦を試みる。このボロディノの戦いはフランス軍の辛勝に
>終わり、結局ロシア軍は焦土戦術を強化した。
>9月14日、ナポレオンはモスクワに入城した。市民の大部分は町を脱出した後であっ
>た。14日の夜からモスクワの大火が起き、モスクワの町は4日間にわたって燃え続け、
>4分の3が焼失した。フランス軍は住居も食料も失った。ナポレオンはアレクサンドル1世
>との和平交渉を試みるが返事はなかった。冬が近づいていた。10月19日、ナポレオン
>はモスクワからの撤退を決意した。
>撤退するフランス軍に対して、ロシア軍のコサック騎兵や農民のゲリラが襲い掛かっ
>た。11月に入ると冬将軍が到来し、飢えと寒さで死亡する者が続出した。



2008/3/27  8:48

投稿者:トンデモない一行知識
http://tondemonai2.web.fc2.com/

どうもです。なるほど船に乗せている間は重くても大丈夫ですね。
( ・∀・)つ〃∩ へぇ~

缶詰が役に立たなかったからロシア遠征に負けたという説は、唐沢の
ガセビアよりもずっと前、かなり昔にどこかで見聞きした覚えがある
のですが、元ネタがどこかにあるのかも。

缶詰の破裂については、「密封の技術に難があって」でよいんでしょ
うか。Wikipedia の方には殺菌が不完全で破裂とかあって、それなら
わかるんですが、密封が不完全なら、中身が腐っても破裂しにくいん
じゃなかなという気も。

2008/3/25  22:20

投稿者:金平糖

保存食のアイディアを募集したのはロシア遠征のためではなく
ヨーロッパ制覇の段階で船による長期間の遠征が続くと
新鮮な食料の確保が難しく兵士の健康と士気に影響するため

ビン詰めには重くかさばって割れやすいという欠点があったが
船での遠征時には積み込んでしまえばあとは乗せてるだけなんで問題なかった

後、瓶詰めはこれで食料全部をまかなうためのものではなく
一般的な保存食だけでは健康を損なうため新鮮な食料”も”食べれるようにしたもの
兵糧の多くは通常の保存食を携帯していた

初期の缶詰は確かに密閉があまく腐って破裂することがあったらしいが
発明から2年たってもまだ改良されてなかったのかと不思議な気分だし
少なくとも缶詰が腐って破裂することがあるということを
ナポレオンが知らなかったとは考えにくいので
食料を缶詰に頼ってということはない

   
 
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