トンデモない一行知識の世界 OLD - 唐沢俊一の「雑学」とは -

一部で有名な唐沢俊一の一行知識に、ツッコミを入れたり派生トリビアを書いたり。
「愚かで分別のない人と思われたいなら、唐沢俊一のトリビアを引用しなさい。」

 
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2009/1/8  2:45

大きなヤットコでやっとこさ歯を抜くことができる場合もある  『トンデモ一行知識の世界』間違い探し編

『トンデモ一行知識の世界』 P.148
久生十蘭の小説に、その処刑・拷問シーンが描かれているが、それによる
と、まず、親子、または兄弟同士が向かい合って座らせられ、髪を刈られて
坊主あたまにされる。次に、ふたりに小さいペンチのようなものが手渡され、
それで、お互いに、お互いの歯を、一本残らず抜き取るように命令される。

×ふたりに小さいペンチのようなものが手渡され、 
○受刑者の一人にヤットコが手渡され、

久生十蘭の小説だけでチベットを語る?」のエントリーに書いたネタに関連する小ネタ。

久生十蘭の『新西遊記』には、「小さいペンチのようなもの」ではなく、「ヤットコ」が渡され
ると書いてある。また、唐沢俊一は「ふたりに〈略〉手渡され」と書いているが、久生十蘭
の書いたところによると、ヤットコが渡されるのは「受刑者の一人」。その一つのヤットコ
を使って交互に歯を抜かせればよいのだから、二人に一つずつ渡す必要もないという
ところか。

久生十蘭 『海難記』 P.69 (『新西遊記』の記述)
>頭を剃り終ると、刑僧がヤットコを受刑者の一人に渡し、父に子の歯を、子に父の
>歯を、といふぐあひに交互に抜かせる。


まあ、ヤットコもペンチも似たようなものだから――というつもりだったのかもしれないが、
わざわざ「ペンチのようなもの」と言い換えた理由は不明。

http://dic.yahoo.co.jp/dsearch?enc=UTF-8&p=やっとこ&stype=1&dtype=0
>やっとこ【×鋏】
>鉄製の工具の一。先の合わせが平たくなっていて、針金・板金、また、熱した鉄などを
>はさんで持つようにしたもの。


http://dic.yahoo.co.jp/dsearch?enc=UTF-8&p=ペンチ&stype=1&dtype=0
>ペンチ
>《pinchersから》針金を切ったり曲げたりする手工具。はさみに似た形で、先が厚く、
>内側にぎざぎざがある。


http://ja.wikipedia.org/wiki/やっとこ
>取っ手側は長く、てこの原理で人の力より強い力で物をつかむことができる。ペンチや
>プライヤーと構造や目的が似ているが基本的にはさむだけであり、物を切断する能力
>はない。


また、「小さいペンチのようなもの」の「小さい」がどこからきたのかも謎で、久生十蘭は
ヤットコ」の大きさについて、特に言及していない。

歯を抜くときに使用されるヤットコ (?) は、決して小さなものではないようだけど。

http://tuka2tt2222.at.webry.info/200704/article_6.html
>しばらく待った後、ヤットコのでかいのを持ってきて引っ張りだしたが、なかなか抜け
>ない。(ヤットコの歯医者の専門用語は知らない・・・・)


小さいものだと、「てこの原理で」歯を抜こうにも、なかなか抜くことができないのでは。



   
 
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