トンデモない一行知識の世界 OLD - 唐沢俊一の「雑学」とは -

一部で有名な唐沢俊一の一行知識に、ツッコミを入れたり派生トリビアを書いたり。
「愚かで分別のない人と思われたいなら、唐沢俊一のトリビアを引用しなさい。」

 
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2008/11/2  18:53

聖トマスってのも何人もいるんだよなあ  その他の雑学本 間違い探し編

『唐沢俊一のB級裏モノ探偵団』 P.184
例えば、カンタベリーの大司教として有名な聖トマス。ピーター・オトゥール
主演で映画化された有名人ですが、彼はあるとき、聖母マリアのためにミサ
をあげた司祭を
「そういう無知で無学なことでは困る」
 と言って免職にした(これのどこがいけないんだか、まずわかりませんよね)。
 ところが、そこで聖母マリアが奇跡を示し、聖トマスが脱いでベッドの下に
つっこんでおいたシャツのほころびをつくろってくれた。聖トマスは仰天して、
司祭を復職させ、このことは内密にしておくように、と命じたという話がありが
たく語られています。
×ピーター・オトゥール ○リチャード・バートン

カンタベリーの大司教、聖トマスを主人公とした映画で、ピーター・オトゥールが出演して
いるのは、1964 年公開の『ベケット』。この映画でトマス・ベケットを演じているのは、
リチャード・バートンであり、ピーター・オトゥールはヘンリー二世の役。

2ちゃんねるのスレへの指摘書き込みにあるように (Read More 参照)、この『ベケット』
でリチャード・バートンとピーター・オトゥールは、どちらもアカデミー主演男優賞候補に
なっているので、ピーター・オトゥールも主演男優だとはいえる。しかし、「カンタベリーの
大司教として有名な聖トマス
」の話をしているのだから、ここは「リチャード・バートン」に
するべきだっただろう。

http://movie.goo.ne.jp/movies/PMVWKPD8150/
>キャスト(役名) - ベケット
>Richard Burton リチャード・バートン (Becket(Close friend of Henry 2))
>Peter O'Toole ピーター・オトゥール (King Henry 2(Reigned 1154 1189))


http://ja.wikipedia.org/wiki/第37回アカデミー賞
>主演男優賞
〈略〉
>ピーター・オトゥール - ベケット
>リチャード・バートン - ベケット


で、聖トマスが有名なのは、大法官時代はヘンリー二世の忠実な腹心で友人だったが、
カンタベリー大司教になってから教会裁判権の問題などで王と対立、ヘンリー二世の
部下の 4 人の騎士にカンタベリー大聖堂で暗殺され、殉教者として聖人に列せられた
ことによる。カンタベリー大聖堂は聖トマスに巡礼する信者が後を絶たないという。

http://keyaki.blog.so-net.ne.jp/2005-12-19
>トマス・ベケット(1118-1170)
>1155年ヘンリー2世の大法官、王に協力して内政、戦争の実績をあげ、1162年カンタ
>ベリー大司教、64年教会裁判権の制限を意図したクラレンドン法に反対して王と対
>立、フランスに亡命。ローマに行き、教皇アレクサンデル3世を動かし争いを続行、
>1170年帰任したが、王の側近の4人の騎士により、カンタベリー聖堂内で殺害され
>た。1173年列聖。


http://ameblo.jp/robpapa/entry-10127481754.html
>その後、トマス・ベケットはローマ教皇によって聖人に列せられ、以後、カンタベリー
>大聖堂は、聖トマス・ベケット殉教の地として、沢山の巡礼者を集めたそうです。
>(ちなみに、そんな巡礼者達が退屈しのぎに会話している所を描いたのが、かの有名
>なチョーサーの「カンタベリー物語」です。)


http://www.canterbury.co.uk/thedms.asp?dms=13&ShowChannels=&venue=3030160
> In 1170 Archbishop Thomas Becket was murdered in the Cathedral and ever
> since, the Cathedral has attracted thousands of pilgrims, as told famously in
> Geoffrey Chaucer's Canterbury Tales.


しかし、唐沢俊一は、そのようなことにはいっさいふれない。……まあ、この章の副題が
『黄金伝説』における聖人たちのマヌケ話」なんだから、しょうがないのかもしれないが。

この『黄金伝説』とは、「十三世紀のドミニコ会士ヤコブス・デ・ウォラギネの『黄金伝説』
(『唐沢俊一のB級裏モノ探偵団』 P.182)。後年、唐沢俊一は『トンデモ一行知識の逆襲』
の中で、この『黄金伝説』をおそろしく劣化コピーして生成した電波文章を発表している
(「ひっくり返りそうになる電波文章 < ×ン×ン退治の守護聖人」を参照のこと)。

というように『黄金伝説』絡みでは前科 (?) もあるし、「聖母マリア」が関係すると何かと
微妙な話になるかなと思って、以前も使った http://saints.sqpn.com/ で調べてみた。

Saint Thomas a Becket (Thomas Beckett、Thomas of Canterbury) はあっさりと
http://saints.sqpn.com/saintt09.htm に見つかったし、そこには Golden Legend, by
Jacobus de Voragine とのリンクもあったので、『黄金伝説』の中の聖トマスの生涯に
ついてのページ http://saints.sqpn.com/golden144.htm (The Golden Legend /
The Life of Saint Thomas of Canterbury) にも、すんなり行けた。

だが、聖母マリアについての記述はない。「And Saint Thomas said: Thou knowest
well enough that the king and I were accorded on Mary Magdalene day, and that this
curse should go forth on them that had offended the church.
」というのはあったけど、
Mary Magdalene」はマグダラのマリアのはずだし。Wikipedia その他の資料にもない。

- http://en.wikipedia.org/wiki/Thomas_Becket
- http://www.newadvent.org/cathen/14676a.htm

いろいろ探してみていくと、 Golden Legend、Virgin Mary に関わる聖トマスというのは、
カンタベリーの大司教として有名な聖トマス」 (Saint Thomas of Canterbury) ではなく、
聖トマスアクィナス (Saint Thomas Aquinas) のことではないかという気がしてくる。

- http://saints.sqpn.com/golden334.htm
- http://saints.sqpn.com/golden134.htm
- http://saints.sqpn.com/stt03003.htm

ただ、彼だとしても、「ベッドの下につっこんでおいたシャツのほころびをつくろってくれた
聖母マリアとの遭遇エピソードについては発見できなかった。唐沢俊一にいわせると、
聖母マリアも、〈略〉ほころびをつくろう程度というところがまた貧乏臭い」ということに
なってしまっている話ではあるが。



http://www.23ch.info/test/read.cgi/books/1224589375/

>843 :無名草子さん:2008/11/01(土) 11:25:39
>『唐沢俊一のB級ウラ物探偵団』 P.184

>>例えば、カンタベリーの大司教として有名な聖トマス。ピーター・オトゥール主演で
>>映画化された有名人ですが、

>ゾクゾクw 宗教ネタのイギリスネタの映画ネタ。
>カンタベリー大司教、聖トマスとはトマス・ベケットのことである。
>だから映画というのは『ベケット』(1964)のことなんだろう。
>タイトル・ロールはトマス・ベケット役のリチャード・バートンで
>ピーター・オトゥールはヘンリー二世役である。シェイクスピアの
>『ジュリアスシーザー』のように主役はブルータスみたいな例も
>あるが、この作品の主演はリチャード・バートン(とピーター・オトゥール
>だが――二人ともアカデミー主演男優賞候補になった、聖トマスの話を
>しているのだから)。唐沢は映画の内容も知らずにピーター・オトゥールの
>名前を見てタイトル・ロールだと思ったのだろう。
>「カンタベリーの大司教として有名な聖トマス」なんて、聖トマスが
>誰なのかも知らずに書いているくせに。

877 :無名草子さん:2008/11/01(土) 14:46:08
>>843
ていうか、この章、あの『黄金伝説』をネタ本にしているじゃないですか。
http://tondemonai2.web.fc2.com/477.html

そして、聖母マリアとかややこしいことをいってくれているし。

『唐沢俊一のB級裏モノ探偵団』 P.184
-------
例えば、カンタベリーの大司教として有名な聖トマス。ピーター・オトゥール
主演で映画化された有名人ですが、彼はあるとき、聖母マリアのためにミサを
あげた司祭を
「そういう無知で無学なことでは困る」
 と言って免職にした(これのどこがいけないんだか、まずわかりませんよね)。
-------

http://borges.blog118.fc2.com/blog-entry-89.html
http://okwave.jp/qa2304212.html




2008/11/3  0:24

投稿者:トンデモない一行知識
http://tondemonai2.web.fc2.com/

そうなんですよねー。<マリア信仰
それもあって、前スレ 877 (Read More にあるやつ) を書き込んだり
したのですが……。

読者を過小評価しての「まずわかりませんよね」かな? とも一応考え
てみたのですが、『ムー』のようなものだけ読んでいても、「どこが
いけないんだか」にはならないじゃないかと思うのですが。

まあ、唐沢俊一の高校は確かカトリック系だったので、そのせいなの
かなあとも思いました。しかし、青山学院大は、プロテスタント系の
はずなんですが。

2008/11/2  23:56

投稿者:金平糖

>(これのどこがいけないんだか、まずわかりませんよね)。

今でこそマリア信仰はある程度広まってますが
キリスト教というのは唯一神キリストを奉る宗教なわけで
キリスト以外のものを奉るのは異教として排斥されるのは当たり前の話なんだが
そのあたりビックリするほどわかってないんですよね


   
 
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