トンデモない一行知識の世界 OLD - 唐沢俊一の「雑学」とは -

一部で有名な唐沢俊一の一行知識に、ツッコミを入れたり派生トリビアを書いたり。
「愚かで分別のない人と思われたいなら、唐沢俊一のトリビアを引用しなさい。」

 
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2008/5/31  18:54

ひっくり返りそうになる電波文章 < ×ン×ン退治の守護聖人  『トンデモ一行知識の逆襲』間違い探し編

『トンデモ一行知識の逆襲』 P.126
 聖バレンタイン(ウァレンチヌス)は本来癲癇患者の守護聖人であり、
男女の恋の告白には何の関連もない。
 しかるにバレンタインデーが男女の恋の告白の日とされたのは、古来
ヨーロッパではこの日が小鳥たちや小動物が発情する日、とされていた
からで、その発情日が人間同士のあいだにも延長された、というだけ
の話。
 もともとこの聖ウァレンチヌス、聖人伝説を集めたヤコブス・デ・ウォラ
ギネの『黄金伝説』の中でも妙に存在感のないエピソード(感心な話で
ローマ皇帝クラウディス・ゴティクスを感心させ、しかるのち“感心させた
のになぜか”首をはねられた、というマヌケな話)しか紹介されていない
し、解説によると、聖バレンタインのモデルになった聖人は三人ほど
伝えられてるらしいが、ひとりは存在せず、ひとりは事蹟未詳という
情けないありさまらしい。
 ところで、なんでこの人がテ×カ×の守護聖人かというと、その存在
しなかった方の聖人のエピソードで、皇帝の責苦にあっても決して信仰
を捨てなかった。つまり“転ばなかった”。転ばなかった→ひっくりかえ
らなかったで、×ン×ン退治の守護聖人となったとか。

男女の恋の告白には何の関連もない」わけではない――というのは、「その聖バレンタ
イン、違う人のことです
」の方で。さらに、そちらのコメント欄と、「唐沢俊一 まとめwiki -
間違い5
」を参照していただきたいんだけど、『黄金伝説』の訳注の独自見解に依拠し過ぎ
なのに加えて、それをさらに劣化コピーさせているせいで、上に引用したような意味不明
の文章になってしまったようだ。

『黄金伝説』の訳注
-------------
この風習は、聖ウァレンティウスとは関係なく、この日から野山の鳥たちがつがいはじ
めるという中世の民間信仰から由来している。

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-------------
古来ヨーロッパではこの日が小鳥たちや小動物が発情する日、とされていたからで、
その発情日が人間同士のあいだにも延長された、というだけの話。

-------------
2 月 14 日のことを、小鳥が巣作りをはじめる日と表現しているところもあった。「~し
はじめる」ならすんなり理解できるものを、「発情する日」などと、その日一日限定の
ような表現にして、わざわざ「発情」と言い換えてもいるのが唐沢俊一流ということか。

『黄金伝説』の訳注
-------------
また、一説によると、道行く人たちに修道院の庭に咲いた花をおくったと言われる、もう
ひとりべつのウァレンティウスという修道士(事績未詳)に由来するとも言う。

-------------
こちらの異説は、唐沢俊一の本や日記には記述がない。怪しげな説の方のみを書いて、
それが定説であるかのように語るのは、いつもの癖ともいえるのだが。


『黄金伝説』
-------------
「キリストおんひとりが、真の神です。あなたがキリストをお信じになれば、 あなたの
たましいは救われ、領土は拡大し、すべての敵にお勝ちになります」
〈略〉
「聞いたか、ローマの諸君。この男の言うことは、なんと立派で賢明なことではないか」

-------------

-------------
感心な話でローマ皇帝クラウディス・ゴティクスを感心させ、
-------------
感心な話で ~ 感心させ」では、何の要約にもなっていない意味不明な文章だし、
そもそも日本語として酷過ぎる。

『黄金伝説』
-------------
「〈略〉もしキリストにそれができたなら、わたしは、なんでもあなたの命令どおりにしよう」
そこでウァレンティヌスは、その娘のために祈った。すると、娘は、たちまち視力を回復し
た。 その後、皇帝は、彼の首をはねるように命じた。二八〇年のことであった。

-------------

-------------
しかるのち“感心させたのになぜか”首をはねられた、というマヌケな話)しか紹介されて
いない

-------------
感心な話で「“感心させたのになぜか”首をはねられた」という話ではないことは確かで
あるし、理不尽な話であるかもしれない (これは本文の記述に難があるためかも) が、
マヌケな話」ではないだろう。

『黄金伝説』の訳注
-------------
どんな責苦に会ってもけっして「ころばなかった」というので、<ころび病>、つまりてん
かんの保護の聖人とされる。

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-------------
なんでこの人がテ×カ×の守護聖人かというと、その存在しなかった方の聖人のエピ
ソードで、皇帝の責苦にあっても決して信仰を捨てなかった。つまり“転ばなかった”。
転ばなかった→ひっくりかえらなかったで、×ン×ン退治の守護聖人となったとか。

-------------
その聖バレンタイン、違う人のことです」にも書いた通り、病人や障害者につくした
てんかん者、ライ病人、身体障害者、痛風病人、動物の疫病」の守護聖人である方の
聖バレンタインは 5 世紀頃の人物で、3 世紀に殉教した古代ローマの聖バレンタイン
(愛の守護聖人) とは別の人物だろう。

- http://saints.sqpn.com/saintv55.htm (1 月 7 日が記念日)
- http://saints.sqpn.com/saintv06.htm (ローマの聖バレンタイン)

それでも訳注の方は、怪しげな説とはいえ、「<ころび病>、つまりてんかん」と説明が
あるので、意味はわかる。唐沢俊一の文章だと、「信仰を捨てなかった。つまり“転ばな
かった”。転ばなかった→ひっくりかえらなかったで、×ン×ン退治の守護聖人となった

で、字数が増えた分、電波度だけが高くなって、まったく意味がわからないものになって
しまっている。

その存在しなかった方の聖人のエピソード」とか書いているのも、下記の日記の記述と
あわせると問題あり。バレンタイン・デーにまつわる話は「キリスト教々会」が「創り上げた
オハナシ
」だといって否定しているのに、てんかんの聖人は「存在しなかった方の聖人
であっても採用するのか……?

http://www.tobunken.com/diary/diary20000629000000.html
>聖バレンタインの伝説、これはキリスト教々会が後でバレンタイン・デーにあわせて
>創り上げたオハナシであり、そのような事蹟のある聖人は記録にない筈。


・追記 : コメント欄の指摘を受けて、本文を修正。



2008/6/1  2:31

投稿者:トンデモない一行知識
http://tondemonai2.web.fc2.com/

ああ、http://tondemonai2.web.fc2.com/476.html の
コメントは書き込めなかったけど、こちらは書き込めた、と。

他にも、投稿できませんとのエラーメッセージを見た人がいるかも。
ごめんなさい、投稿制限の設定などはしていないんですけど……。

2008/6/1  2:27

投稿者:トンデモない一行知識
http://tondemonai2.web.fc2.com/

ありがとうございます (_ _); 本文を修正しておきました。

# 書き込めるかな、これ。

2008/6/1  0:25

投稿者:唐沢スレガセ検証班

>「キリストおんひとりが、真の神です。あなたがキリストをお信じになれば、
>あなたのたましいは救われ、領土は拡大し、すべての敵にお勝ちになります」
>〈略〉
>「聞いたか、ローマの諸君。この男の言うことは、なんと立派で賢明なことではないか」

>「〈略〉もしキリストにそれができたなら、わたしは、なんでもあなたの命令どおりにしよう」
>そこでウァレンティヌスは、その娘のために祈った。
>すると、娘は、たちまち視力を回復した。
>その後、皇帝は、彼の首をはねるように命じた。
>二八〇年のことであった。

このふたつの文章は、『黄金伝説』の本文で書かれたものです(平凡社ライブラリー版P.441~442)。
『黄金伝説』は13世紀に書かれたものなので、現在の目から見ると、説明不足の点があるのはやむをえないのかな、と思います。
訳注がおかしいのはフォローできませんが。


   
 
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