トンデモない一行知識の世界 OLD - 唐沢俊一の「雑学」とは -

一部で有名な唐沢俊一の一行知識に、ツッコミを入れたり派生トリビアを書いたり。
「愚かで分別のない人と思われたいなら、唐沢俊一のトリビアを引用しなさい。」

 
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2008/6/1  14:07

「特に変」なのはキャンプソングなんかじゃない  その他の雑学本 間違い探し編

『唐沢先生の雑学授業』 P.40
お●〈略〉あ、キャンプソングなんか特に変です。クイクイマニマニとか、
オーユポーイヤイヤエーとか、頭がどうかしちゃった方の歌みたいな
ものばっかりで……。
唐●いや、まったくだな。「♪サラスポンダ、サラスポンダ、サラスポンダ、
レッセッセ」なんてのはオランダでは糸つむぎ歌として残っているらしいが、
やっぱり意味不明の歌らしい。たぶんオランダがインドネシアを植民地に
していた頃に民謡が伝わったんだろうが、伝わるうちに変化して、どこの
言葉でもない歌になってしまった……。
〈略〉
唐●これは仮説なんだが、日本に本格的なボーイスカウト組織が出来た
のが大正十一年のことだ。ボーイスカウトの主な行事にキャンプがあるが、
そこで歌う歌を決めなくてはいけなかった時代に日本に広まっていたのが
「マヴォ」という運動だった。
お●「マヴォ?」
唐●要するに前衛芸術運動でね。まったく意味のない言葉で歌う歌を
作ったりしていたんだ。
「♪ライリスライリスノーランメッポラポンポラセッポンナ……」とか。
〈略〉
唐●当時はボーイスカウトというのも時代の先端の運動だったし、芸術の
先端のこのマヴォ運動と、教育の先端のボーイスカウトがどこかで接点を
持って、意味不明な東南アジア系の歌をそのまま取り入れたのではないか
と考えるのは不自然ではないだろう。

キャンプソングの多くは、普通の歌詞の歌である [1]。ボーイスカウトの歌でも、たとえば

- http://www.geocities.co.jp/HeartLand-Sumire/8808/cub/BS-Song/bssong-d.html

には、意味不明の歌詞でもない、よく馴染みのある歌が列挙されている。
一方、「クイクイマニマニとか、オーユポーイヤイヤエーとか」は、「E.イエールの歌」、

- http://www.geocities.co.jp/HeartLand-Sumire/8808/cub/BS-Song/bssong-e.html

に含まれているけど、ここにある数曲をもって「頭がどうかしちゃった方の歌みたいな
ものばっかり
」――と「ものばっかり」と表現しているのは、ガセビアに分類してよいだろう。
頭がどうかしちゃった方の歌」というのも不適切。唐沢俊一自身が、サラスボンダは
オランダ民謡だと書いているように、他国語の民謡であるというだけの話なのだ。

以下は、2ちゃんねるのスレに書き込まれた調査結果 (Read More 参照)。
>ズンガリガリ/アラビア民謡
>『アチャ パチャ ノチャ(ノーチャ)/ラップランド民謡
>ヘベヌ シャロム アレヘム/イスラエル民謡
>ローゼン・フラ・フン/デンマーク民謡
>シンシャングリグリ/スコットランド民謡
>サラスボンダ/オランダ民謡


そして、「日本に本格的なボーイスカウト組織が出来たのが大正十一年のこと」だから、
キャンプで「歌う歌を決めなくてはいけなかった時代」というのも疑問。

日本にボーイスカウトが伝わったのは 1908 年で、1916 年には「日本のボーイスカウト
による初野営(キャンプ)
」、1920年 第1回世界ジャンボリーに東京、北海道、横浜の
団体が参加 [2]。ボーイスカウトの日本連盟の設立は「大正十一年」で 1922 年だが、
その頃にはもう、英国ボーイスカウトの情報を参考にしつつ、各地に創設された団体が
既に活動していたのに、日本独自に「歌を決めなくてはいけなかった」とは考えにくい。

まあ、MAVO の活動開始が 1923 年 [3] なので、これに無理にあわせて、「歌を決め
なくてはいけなかった
」ことにしたのだろう (これも Read More 参照)。

で、ダダイズムでプロレタリア運動の MAVO (マヴォ) と、英国軍人向けの斥候手引き書
を青少年向けにアレンジしたボーイスカウトとが、「どこかで接点を持って意味不明な
東南アジア系の歌をそのまま取り入れたのではないかと考えるのは不自然ではない
だろう
」って、ものすごく「不自然」としかいえないのだが。だいたい「東南アジア系の歌
ではなく、ヨーロッパやイスラエルの民謡がボーイスカウトで歌われている歌であって、
これらの歌は紹介ページでも英文表記 (併記) されていることが多く、イギリス経由の
輸入物と考えるのが自然なんだけど。

[1] キャンプソングいろいろ
- http://www.labotama.com/cs/index.php
- http://www.amazon.co.jp/dp/B000A38QDU
- http://columbia.jp/prod-info/COCE-34263/
- http://q.hatena.ne.jp/1092699554
- http://www.geocities.co.jp/HeartLand-Sumire/8808/cub/BS-Song/
- http://www.kobe2.jp/%7E003md5849/song/index_utaidasi.html

[2] - http://ja.wikipedia.org/wiki/ボーイスカウト
>1908年 日本にボーイスカウト運動が伝わる。
〈略〉
>1916年8月 京都少年義勇軍によって日本のボーイスカウトによる初野営(キャンプ)が
>琵琶湖畔の雄松崎(滋賀県志賀町)で行われる(現在、同地には『日本ボーイスカウト
>初野営の地』記念碑が建てられている)。
〈略〉
>1920年 第1回世界ジャンボリー。日本からは「東京少年団」の小柴博、「北海道岩内
>少年団」の下田豊松、「横浜グリフィン隊」の鈴木慎(鈴木リチャード)の3名が参加。


[3] - http://ja.wikipedia.org/wiki/MAVO
>MAVO(マヴォ)とは、日本の戦前のダダ(美術系統)のグループ。日本のダダ運動の
>先駆をなす。〈略〉関東大震災直前の、1923年7月に結成。マニフェストを出して、自ら
>を「マヴォイスト」と称した。同名の雑誌を1924年に創刊し、1925年までに7号を刊行
>した。グループも、1925年にはなくなっている。


[4] - http://ja.wikipedia.org/wiki/ボーイカウト
>1903年、B-P(当時は陸軍中将)が赴任先のアフリカからイギリスに凱旋帰国したと
>き、彼が陸軍大佐だった1899年に書いた『Aids to Scouting for N.-C.Os and Men』
>という軍人向けの斥候の手引き書が、多くの学校で、教育教材として使用され、少年
>たちにも評判が良いことを知った。





http://love6.2ch.net/test/read.cgi/books/1211615504/525-

525 :無名草子さん:2008/05/31(土) 06:00:46
『唐沢先生の雑学授業』P40

>唐●これは仮説なんだが、日本に本格的なボーイスカウト組織が出来たのが大正十一年のことだ。
>ボーイスカウトの主な行事にキャンプがあるが、そこで歌う歌を決めなくてはいけなかった時代に
>日本に広まっていたのが「マヴォ」という運動だった。
>お●「マヴォ?」
>唐●要するに前衛芸術運動でね。まったく意味のない言葉で歌う歌を作ったりしていたんだ。
>「♪ライリスライリスノーランメッポラポンポラセッポンナ……」とか。
                ~中略~
>当時はボーイスカウトというのも時代の先端の運動だったし、芸術の先端のこのマヴォ運動と、
>教育の先端のボーイスカウトがどこかで接点を持って、意味不明な東南アジア系の歌を
>そのまま取り入れたのではないかと考えるのは不自然ではないだろう。

思いっきり、不自然なんだが。(続く

528 :無名草子さん:2008/05/31(土) 06:23:08
>>525の続き

唐沢は「キャンプソングなんか特にヘンです!」というおぐりの言葉を受けてこの珍説を開陳した。
すなわち、「クイクイマニマニ」とか「サラスポンダ、サラスポンダ、レッセッセ」のような
意味不明の歌詞は、「マヴォ運動」と接点を持ったボーイスカウトが広めたというわけだ。
かなりの「トンデモ」だが、事実関係は。
大正十一年は1922年、日本にボーイスカウトが伝わったのは1908年、1913年には“少年軍”が設立され、
1920年には世界ジャンボリーに参加している。1922年には第一回全国少年大会が開催されているが、

>本格的なボーイスカウト組織が出来た

わけではない。これはマヴォ(MAVO)が1923年に結成されたので、単に辻褄をあわせようとしただけだろう。
ボーイスカウト運動そのものがイギリスから持ち込まれたものなのだから、

>そこで歌う歌を決めなくてはいけなかった

なんてことがあったのだろうか。因みに1924年には連盟歌『花は薫るよ』
(作曲:山田耕筰、作詞:葛原しげる)が採用されている。

(続く

529 :無名草子さん:2008/05/31(土) 06:27:06
>>528
ポンポラセッポンナでググッたら、

7 名前: クリをね。 投稿日: 2000/05/08(月) 01:24
オース キッパスレンソー ブッテーダナー アパステジャーオー
サイヤンカーネー ラサ サイヤンカーネー オンバー
ブッテブッテ オンバラッタ ダーリラーオー
ライリズライリズ ノーアンメッポラ ポンポラセッポンナ
セントルリートルゲートルシャール ミャーラクシャンテ
シャンテンストラカ ノーアンパイタラ ポンポラセッポンナー
タターリナーテ タターリナータ タターリナーテ タターリナータ
チャイレチャイレ チャイレ チャイレチャイレ チャイラ
シャンテンストラカ ノーアンパイタラ ステチニアンチンラーイ
ア テンナラナイ ア テンナラナイ ア テンナラナイ ガ ホ
レヤーレヤーレー レヤーレヤーラー レヤーレヤーレー レヤーレヤーラー

バリ島の民族音楽を巻上公一がカバーしてたやつを、記憶で耳コピ。
間違ってても突っ込まないでくれ。

なんてのが引っかかったが。

530 :無名草子さん:2008/05/31(土) 06:32:26
>>529
それが「MAVOの歌」だよ。ヒカシューではなく、巻上ソロで。

♪雷栗鼠雷栗鼠ノーラン目っ歩等ポン歩等世っ本な

531 :無名草子さん:2008/05/31(土) 06:52:55
偶然MAVOの歌というものを知って、それがキャンプ歌みたいだったので
1923年前後のキャンプを調べて無理矢理ボーイスカウトに結びつけた
トンデモだね。マヴォとボーイスカウトの接点ってなに?それが明らかじゃないのに
なにが「そのまま取り入れたのではないかと考えるのは不自然ではないだろう」だよ。

532 :無名草子さん:2008/05/31(土) 06:57:10
>そのまま取り入れたのではないかと考えるのは不自然ではないだろう。
だったら、「サラスポンダ、サラスポンダ、サラスポンダ、レッセッセ」じゃなくて
そのまま「ライリズライリズ ノーアンメッポラ ポンポラセッポンナ 」になってるはず。
「サラスポンダ、レッセッセ」はどこから持ってきたの。

583 :無名草子さん:2008/06/01(日) 04:15:08
>>526
>唐沢は「キャンプソングなんか特にヘンです!」というおぐりの言葉を受けてこの珍説を開陳した。

その「おぐりの言葉」からして、何だか失礼なガセビアのような。
-------
お●〈略〉あ、キャンプソングなんか特に変です。クイクイマニマニとか、
オーユポーイヤイヤエーとか、頭がどうかしちゃった方の歌みたいな
ものばっかりで……。
-------
クイクイマニマニとか、オーユポーイヤイヤエーって知らなかったんだけど、
実際に「キャンプソング」とかで調べてみても、メジャーな曲でも何でもないような。
普通のキャンプソングって、「燃えろよ燃えろ」とか意味不明じゃない歌詞のものが
多いと思うし、意味不明な歌詞の歌が何割か存在しているとしても、「頭がどうか
しちゃった方の歌みたいなものばっかり」ってのは、いくら何でもナシじゃないかと。

http://q.hatena.ne.jp/1092699554 を経由して、ボーイスカウトの歌のサイト、
http://www.geocities.co.jp/HeartLand-Sumire/8808/cub/BS-Song/
を見てみたけど、
http://www.geocities.co.jp/HeartLand-Sumire/8808/cub/BS-Song/bssong-d.html
は普通のキャンプファイアの歌で、クイクイマニマニとかは「E.イエールの歌」の方にあった↓
http://www.geocities.co.jp/HeartLand-Sumire/8808/cub/BS-Song/bssong-e.html

584 :無名草子さん:2008/06/01(日) 05:38:42
>>583
キャンプソングが意味不明ってのは、単純に「非英語」だからじゃないか?
東欧、北欧・ロシア・トルコ民謡由来のモノが多いだけ。 紹介されたサイトの曲を調べると一目瞭然

ズンガリガリ/アラビア民謡
『アチャ パチャ ノチャ(ノーチャ)/ラップランド民謡
ヘベヌ シャロム アレヘム/イスラエル民謡
ローゼン・フラ・フン/デンマーク民謡
シンシャングリグリ/スコットランド民謡
サラスボンダ/オランダ民謡

585 :無名草子さん:2008/06/01(日) 06:37:24
マイムマイムマイム、マイムベッサンソッ
とかは翻訳ネタとして「水水水、水が出て嬉しいな」みたいな意味
ってのがよく言われているけど、翻訳で意味が分からなかったら
「頭がどうかしちゃった方の歌」にされちゃうんだろうね。

591 :無名草子さん:2008/06/01(日) 09:22:23
そもそもマヴォ(MAVO)はダダイズムとかシュールレアリズムの日本的展開だから
清く正しい軍隊風ボーイスカウトとは対局なものだ。
「でたらめな歌詞で歌う」というだけで、接点があった推測するのは無理がありすぎ。
マヴォの参加者の奇行エピソードだけを聞きかじっているだけで、運動や精神に関して
無知識なんではないか?

本歌が変、というのがまず間違い。非英語圏の民謡だ
変な歌詞だからダダイズムと関係があるに違いないという思いこみ、
ダダイズムとボーイスカウトは同時期だから接点があるかもという、思いこみの3乗へ

ボーイスカウトは世界的な組織だったから、世界中から面白い歌を集めて歌っていたと
言うことのような気がするがなぁ。
わらべ唄とか囃し言葉は翻訳不能だけど、非常に伝播力が強い。
『「ずいずいずっころばし」は電波ソングだ』と指摘するようなもんだな

595 :無名草子さん:2008/06/01(日) 10:18:54
>>584
>サラスボンダ/オランダ民謡

これは唐沢も一応認識していて、>>583 のおぐりの言葉に答えて、
-------
唐●いや、まったくだな。「♪サラスポンダ、サラスポンダ、サラスポンダ、
レッセッセ」なんてのはオランダでは糸つむぎ歌として残っているらしいが、
やっぱり意味不明の歌らしい。たぶんオランダがインドネシアを植民地に
していた頃に民謡が伝わったんだろうが、伝わるうちに変化して、どこの
言葉でもない歌になってしまった……
------
とか書いている。この、植民地だったインドネシアの民謡だうんぬんが、>>525 の

>意味不明な東南アジア系の歌を
>そのまま取り入れたのではないかと考えるのは不自然ではないだろう。

に続くのではないかと。



   
 
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