トンデモない一行知識の世界 OLD - 唐沢俊一の「雑学」とは -

一部で有名な唐沢俊一の一行知識に、ツッコミを入れたり派生トリビアを書いたり。
「愚かで分別のない人と思われたいなら、唐沢俊一のトリビアを引用しなさい。」

 
旧 URL は、http://diary.aol.com/yzuc9ww/483.html
文字列の一括置換をかけた都合上、旧ブログのコメント欄および2ちゃんねるのスレからの引用の中の URL も全部新 URL に置き換わっていますことを、あらかじめご了承ください
http://tondemonai2.blog114.fc2.com/ で続きの Blog をやっています
   
 

2008/6/1  16:41

ボディビルで精神崩壊したのは三島由紀夫の方じゃない  その他の雑学本 間違い探し編

『笑うクスリ指』 P.88
「健全な精神は健全な肉体に宿る」という考えが誤りであることは
三島由紀夫を見れば分かる。彼の精神が病み始めたのは(それ
以前に原因があったにせよ)、ボディビルなどで肉体を鍛えはじめて
からである。

FLASH の袋とじ記事では「三島由紀夫がゲイということを知らないやつなんて誰一人
いない
」と断言した ( 「しかし本当に三島由紀夫が好きなんですね唐沢先生」 を参照)
かと思えば、こちらでは三島由紀夫の精神が病んでいたことにしてしまっている。

そして、三島が死の 2 年前に書いたエッセイ――この『笑うクスリ指』には何のエッセイか
書いていないが、『古本マニア雑学ノート 2冊目』 によると「All Japanese are perverse」
のこと――にある恋愛行為の分類の記述が詳細かつ執拗だとして、以下のように述べる。
こういう、精神のあきらかな崩壊の兆候は、普通の場合、後から
思えばアレが、というようなものとしてしか他人には認識できない。

澁澤龍彦責任編集『血と薔薇』に掲載の「All Japanese are perverse」については、
これと『美しい星』以外の三島ネタはあまり語らない人」と、このエッセイの詳細な
分析を含む2ちゃんねるの過去ログ (Read More 参照) も参照していただくとして。

唐沢俊一のいう「妙に病的に細かな羅列組み合わせ風の分類表」は、過去ログで
これを分析した人のいうような「タルホ流の論証スタイルに倣ったもの」とか「知的な
屁理屈遊び
」のようにも思える。解釈は人それぞれだろうが、唐沢俊一が執拗に
主張するような「精神のあきらかな崩壊の兆候」と決めつけられるような代物ではない。

だいたい、死の 2 年前のエッセイに「精神のあきらかな崩壊の兆候」が、もし本当に
あったとするのならば、それ以降の作品にはより色濃い精神の崩壊の痕がなければ
辻褄があわない。しかし、三島由紀夫発狂説をとらない唐沢俊一以外の者たちは
もちろんのこと、唐沢俊一本人でさえ、死の直前の「天人五衰」にも精神崩壊の証拠
など見出してはいない様子。

http://www.tobunken.com/diary/diary20010114000000.html
> サウナの後、休息室に寝転がって三島由紀夫を読む(天人五衰)。原稿チェックの
>参考資料に書庫から引き出したものだが、文章の古風な美しさに感心はするものの、
>それほどのものとは(三島の作品全般にわたって)私にはどうしても思えず。昔から
>三島作品は一部のエッセイなどを除いて、小説的にはどうも性にあわなかった。


で、冒頭の引用に戻って、どうして唐沢俊一が、「精神が病み始めたのは」「ボディビル
などで肉体を鍛えはじめてから
」と、三島が精神を病んでいて、しかもそれはボディビル
をはじめてからだということにしたがっているかというと、これは単に、唐沢俊一自身の
体験を、勝手に三島に投影しているだけであろうと思われる。

『奇人怪人偏愛記』 P.44 ~ P.45
> 二十代後半の頃、それまでの文弱におぼれた怠惰な生活(演劇関係のプロデュース
>とか、文筆の徒としての活動とか)に一時見切りをつけて、田舎に引っ込み、真面目な
>事務員生活をしばらく続けたことがあった。白壁に囲まれた部屋にパソコンの端末と
>資料保管用のキャビネット、それにロッカーがあるきりの寒々しい部屋で、朝八時から
>夕方六時までここに一人で詰め、せっせと事務仕事をしていたのだが、このとき、どう
>いうものか無性に肉体を鍛錬したい、という欲望が湧いた。その部屋にダンベル、
>エキスパンダー、グリップなどを運び入れ、空き時間を作ってはせっせと鍛錬にはげん
>でいた。〈略〉
> 数ヶ月そういった生活を続けた結果、腹筋に段々がつき、肩が膨張してきて、といっ
>た肉体的な変化の他に、精神的な変化がぐんと出てきたことに自分でも驚いた。
> まず、下着を付けなくなる。自分の肉体の線を、なるべく露出したくなるのである。
>医療事務の会社だったので事務用白衣が支給されていたが、裸の上にそれをはおる
>のである。白衣には長袖と半袖があったが、冬場でも半袖を着るようになる。二の腕を
>剥き出しにしたいのである。さすがにブリーフはつけるが、それも出来るだけ小さく局部
>を覆い隠すだけのようなものを選ぶようになる。弟がこれを見て、キモチ悪いので頼む
>から普通のパンツを履いてくれ、と言った。
> さすがにそのあたりになってくると、自分の意識が変調を来していることが自分でも
>わかるようになった。都落ちして落魄となっている自分の自意識を、どこか別の部分で
>補填しようとする気持ちがわれ知らず働いて、ガラにもない肉体鍛錬に自分を走らせた
>のだろうか。




http://www.23ch.info/test/read.cgi/books/1208837414/

132 :無名草子さん:2008/04/23(水) 12:21:04
『笑うクスリ指』P88

>「健全な精神は健全な肉体に宿る」という考えが誤りであることは三島由紀夫を見れば分かる。
>彼の精神が病み始めたのは(それ以前に原因があったにせよ)、ボディビルなどで肉体を
>鍛えはじめてからである。

 おいおい! 三島由紀夫は精神を病んでいたのか? 幻冬舎も、よくこんなの許したよなあ。しかも、
理論がよじれていて、これではボディビルのせいで気が変になったようではないか。まあ、これには
唐沢俊一という好例があるけどね。
 さらに、三島が死の二年前に書いたエッセイを例に挙げ(なぜかそのエッセイがなんなのか、書名も書かれていない)、
その詳細かつ執拗な分類(恋愛行為の分類)癖を示して

>こういう、精神のあきらかな崩壊の兆候は、普通の場合、後から思えばアレが、というようなものとしてしか
>他人には認識できない。

 としているのだ。「精神のあきらかな崩壊」。三島由紀夫は発狂していたということでOKなんですね、唐沢先生?

138 :無名草子さん:2008/04/23(水) 13:06:02
唐沢俊一にいわせると
「三島由紀夫は誰もが認めるホモで発狂していた」
という事ですね。


700 :無名草子さん:2008/05/01(木) 00:17:22
三島由紀夫『All Japanese are perverse』について

現在おそろしく多忙で、丹念に検証している余裕がない。
以下に記すのは、かなり雑な検証であり、間違いもあるかもしれない。
とりあえず中間報告というところ。

件のエッセイが掲載された『血と薔薇』は、現在では復刻版すら入手困難。
唐沢は大学時代に揃いを入手し、「講議の間もこの雑誌を手放さず、なめる
ように隅々まで読んで、文字通り至福の時間を過ごすことができた」そうだ。
(『古本マニア雑学ノート 2冊目』より)
が、河出書房新社より出ている文庫版の入手は容易なようなので、昼休みに
チラっと立ち読みしてきた。

701 :700:2008/05/01(木) 00:18:11
まずタイトルについて。
エッセイ冒頭のエピソードで、三島とアメリカ在住の英国人作家(だと思った
が、イギリス在住の米国人作家だったかもしれない)との会話が描かれている。
三島がロンドンで観賞したオペラについて語り、R・シュトラウスの音楽を
賞賛。だが相手の態度は、「なんだ、あんなのが好きなのか」というもの。
三島が「日本には彼のファンが大勢いる」と言うと、返ってきた言葉は
「Oh! All Japanese are perverse!」というもの。
ここからタイトルがとられている。
「日本人って変だよ」「日本人って変わってるね」くらいの意味だろう。

702 :無名草子さん:2008/05/01(木) 00:19:07
そこから三島は日本人が自国民俗のセクシャリティの分析が下手なことに
ついて話を進め、だが稲垣足穂の論証は見事だと言う。その後、唐沢の
表現によると「三島は(略)妙に病的に細かな羅列組み合わせ風の分類表を
書き込みはじめる」。
話の流れからすると、この「分類表」は稲垣足穂の文章の引用のようにも
とれるが、出典が記されていないので、なんとも言えない。そうでないに
しても、タルホ流の論証スタイルに倣ったものではないのか?
立ち寄った書店に足穂の著書が見当たらなかったので、参照できなかったが、
『少年愛の美学』や『A感覚とV感覚』を読んだことのある人なら、ピンと
くるだろう。
そのあとで三島は、その「分類表」をさらに複雑にこねまわすのだけれど、
病的というよりは知的な屁理屈遊びのように思えるのだが…本当にチラ読み
しかしていないので、今書けるのはここまで。
しかし、それでも唐沢が三島の文章を読解できているとは思えないんだが…
時間に余裕ができたら、詳しく検証するつもりだが、原文にあたれる人で
先に検証できるようなら試してみてほしい。

710 :無名草子さん:2008/05/01(木) 08:54:36
>>702
原文にはあたってないので、そこからの検証はできないが、
ふと思ったんだけど、死の2年前に書いた文章が異常だったというなら、
じゃあ1年前に書いたものはどうなんだ?直前に書いたものはないのか?という疑問も。
『血と薔薇』についてだけ、2冊以上で使い回ししているくせに、他の三島の文章に
ついては書かないのが唐沢……。

723 :無名草子さん:2008/05/01(木) 15:24:57
>>710
『天人五衰』の最終話って、割腹自殺の朝に脱稿したんだろ。

735 :無名草子さん:2008/05/01(木) 18:12:48
>>723

「裏モノ日記」2001年 01月 14日(日曜日)
http://love6.2ch.net/test/read.cgi/books/1208837414/l50

>サウナの後、休息室に寝転がって三島由紀夫を読む(天人五衰)。
>原稿チェックの参考資料に書庫から引き出したものだが、文章の古風な美しさに
>感心はするものの、それほどのものとは(三島の作品全般にわたって)私には
>どうしても思えず。昔から三島作品は一部のエッセイなどを除いて、小説的には
>どうも性にあわなかった。

779 :無名草子さん:2008/05/03(土) 13:49:27
●三島由紀夫『All Japanese are perverse』について。

『血と薔薇 コレクション1』(河出文庫)を買ってきた。
手始めに一部を引用してみる。

>性愛における表象の優位はフェティシズムにつながるが、ほとんど
>男にしか見られぬこのperverseは、あらゆるperverseのうちで
>もっとも「文化的」なものであり、芸術や哲学や宗教に近接し、
>それらの象徴体系の隠れた基礎をなしている。表象固執と現実離脱の、
>これ以上みごとな結合は考へられぬであらう。

どうです?
ここだけ読んでも、三島が「perverse」を「性倒錯」という意味で
使っているのは明らかだと思うのだが・・・

更なる検証は後ほど・・・


906 :779:2008/05/06(火) 12:10:30
●三島由紀夫『All Japanese are perverse』について
冒頭部分(タイトルは冒頭に描かれたエピソードに由来)を引用してみる。

 ある若いアメリカ人の作家で、ロンドンに住んでゐた男がゐたが、小説家としては
必ずしも巧くないが、座談の光彩陸離たること、私のあらゆる外国人の友達のなかで
一番である。すでに二度離婚して、三度結婚、それぞれの前妻に四、五人の子供を
押しつけて、又自由の世界へ船出する生活の天才であるが、まあ、そんなことは
どうでもよろしい。
 私がたまたまロンドンのコヴエント・ガーデンで、リヒアルト・シユトラウスの
オペラ「エレクトラ」を見た話をして、
「実にすばらしかつた」
と云ふのを、聞きとがめた彼が、
「何がすばらしかつた?」
ときく。

〈続く〉

907 :906:2008/05/06(火) 12:11:43
〈続き〉

「何が、つて、音楽がさ」
「あのR・シユトラウスの音楽がかい」
「さうさ」
「君はあんなものが好きなのかい」
「ああ、好きさ。日本にはR・シユトラウスのフアンは沢山ゐる」
「Oh! All Japanese are perverse!」
とそのとき彼が言つたのである。

 私の耳にはこの言葉がいつまでも残つてゐる。なるほど日本の伝統文化には、官能の
多様性はみごとに纏められてゐる。しかし、それを分析するとなると、日本人はいつも
間違ふ。日本人ぐらゐ性の自己分析の不得手な国民はなからう。それは又一般的自己
分析のあいまいさといふ国民性と相俟つてゐる。

『血と薔薇 コレクション 1 』(河出文庫)p.33~34

908 :無名草子さん:2008/05/06(火) 12:40:45
タイトル・『All Japanese are perverse』が、このアメリカ人作家の言葉に由来
するのは一目瞭然である。
『血と薔薇』を「大学の講議の間もこの雑誌を手放さず、なめるように隅々まで読んで、
文字通り至福の時間を過ごすことができた」(『古本マニア雑学ノート 2冊目』)
という唐沢が、冒頭のエピソードを読み落としていたとは、さすがに思えない。
では、タイトルについて唐沢の言う「いやに直接なもの」という表現は、これを踏まえた
うえで書いているのだろうか?

また、アメリカ人作家が「Oh! All Japanese are perverse!」と叫んだのは、R・シュト
ラウスの音楽に性的官能の要素を感じ取ったものと思われるし、三島も即座にそれを理解
したようだ。
だが唐沢は、どうして音楽の話からフェラチオの話にまで飛躍するのかが理解できなかった
のではないか?



2008/6/2  23:17

投稿者:トンデモない一行知識
http://tondemonai2.web.fc2.com/

そもそも、個室を与えられて、そこに「ダンベル、エキスパンダー、
グリップなどを運び入れ、空き時間を作ってはせっせと鍛錬にはげん
でいた」とかいうのが、どこが「真面目な事務員生活」だ?という
ものですからねえ。

>「こないだのあれ、面白かったな」とポツリと言ったとか。

これについては、本当にそうおっしゃったのかなあと、どうしても
疑いの目を向けてしまいます……。唐沢の語る自分史に矛盾が多く、
自分語りにも嘘や記憶違いが多数混入していそうなので……。

2008/6/2  8:41

投稿者:藤岡真

『奇人怪人偏愛記』の記述をそのまま受け取ると、唐沢はこのとき「半袖の白衣で、その下にはビキニブリーフ一枚」という格好で事務員をやっていたのですね。「露出狂」としか申し上げられません。しかも、唐突に弟が登場するので、この事務所が実家の事務所だと分かります。
 長男の癖に店は継がないわ、薬大は中退するわ、挙句に露出狂。父、俊郎氏の心境たるや。ガセとパクリに塗れた息子のエッセイ(笑うクスリ指)を評して「こないだのあれ、面白かったな」とポツリと言ったとか。涙です。

2008/6/2  2:24

投稿者:トンデモない一行知識
http://tondemonai2.web.fc2.com/

投稿できなかったのはシステム不調のせいかも。ご迷惑をかけて
すみません。
-------
670 :無名草子さん:2008/06/02(月) 01:56:56
「トンデモない一行知識」
http://tondemonai2.web.fc2.com/483.html
・・・について。
ブラウザの問題でコメントできないので、こちらに失礼。


2ちゃんで『血と薔薇 コレクション1』からの引用を書き込んだ者で
す。
三島は『Aii Japanese ~』の文中、「この点でみごとな創見を体系化
した人が、
稲垣足穂氏である。」と書いた後に例の分類に入ってはいますが、足
穂の著書を
チェックしたところ、足穂は意外に分析を箇条書きで表現したりはし
ていません。
少なくともあの「分類表」自体は足穂の文章の引用というわけではあ
りません
でした。
三島の「分類表」が、体系化の手法に於いて足穂の影響を受け書かれ
ている
可能性は否定できませんが、誤解を招くといけないので念の為。

2008/6/1  21:27

投稿者:トンデモない一行知識
http://tondemonai2.web.fc2.com/

>「健全な精神は健全な肉体に宿る」と言う格言自体がでっち上げ

そうですねえ。これは、現在ではあまり有効とは見なされない格言で
しかないのではないでしょうか。少なくとも、この言葉を持ち出せば
ツッコミが入る可能性が高いので、取り扱い注意な代物でしかないと
いうか。

おっしゃる通りの、原典を異質にゆがませたものというのもあるし、
じゃあ障害者には健全な精神は宿らないとでも?という反発もくらう
ことが多いだろうし。

何よりこの格言を無効にしてくれたのは、数々の運動部が起こした
強姦事件じゃないかと思ったりもします。

2008/6/1  17:07

投稿者:金平糖

まあ、唐沢の精神が不健康なのは置いておくとして

「健全な精神は健全な肉体に宿る」と言う格言自体がでっち上げなのは確か
こんな使い方をしてるのは世界中でも日本だけではなかろうか?
もともとは「心身ともに健康であることを祈るべき」
さらに極端に訳せば、「心身ともに健康であること以上を祈るべきではない」となる

ここまで異質にゆがんだのは教訓として使いたくてねじまげたのと
日本に神に祈ると言う風習がなかった(土地神に祈るとかは別にして)ため
何を神に祈るべきかと言う問い自体がうまく認識されなかった結果だと思われる

   
 
HOME

 

 

inserted by FC2 system