トンデモない一行知識の世界 OLD　- 唐沢俊一の「雑学」とは -

『キッチュワールド案内』 P.76

琴奏者の宮城道雄は盲目でも健常者と変わらぬ動作ができるというのが
自慢だったが、夜汽車に乗って、トイレと間違えて乗車口のドアを開け、
転落して死亡した。昭和三十一年のことである。
　鉄ちゃんなら、このエピソードを読んだだけで、宮城道雄の乗った電車の
車種が分かるらしい。
「そういうことなら、それは昭和五年生まれの参宮急行（現近鉄の一部）
2200系でしょう」
　と、彼らは自信満々に言う。

「参宮急行（現近鉄の一部）2200系」というのはガセビアで、実際は国鉄 (現 JR) の
寝台列車、急行「銀河」。

http://ja.wikipedia.org/wiki/宮城道雄
＞昭和31年（1956年）6月25日未明、大阪の公演へ向かう途中、愛知県刈谷市の刈谷
＞駅付近で夜行急行列車「銀河」から転落して亡くなった。当時は寝ぼけてトイレのドア
＞と乗降口を間違えたなどの推測がなされたが、現在でも事故か自殺か、真相は不明
＞のままである。

http://www.jr-odekake.net/train/ginga/index.html
＞寝台列車　急行 銀河 24系
＞大阪～東京間を結ぶ夜行寝台急行列車。

これを踏まえた上で、唐沢俊一が上に引用した文章に続き、2200 系電車の構造だの
「片目の2200系」で有名だのと数行を費やして説明したあげく、以下のような推理を
披露するにいたるのを読むと、なかなか興味深いものがある。

『キッチュワールド案内』 P.76 ～ P.77

　で、この電車、どういうわけか鏡に映したように、床下の装置や部屋の
位置が全く逆の双子車両が存在し、運行していた。
　つまり、宮城氏はいつも乗る電車のドアの位置をきちんと把握したつもり
で、この鏡体電車に乗ってしまい、いつもトイレがある位置のドアを開けて、
運転手席の方に入り込んで（連結車両の場合、運転席は空席のままである）
勝手が違うのにとまどい、つい方向感覚を失って、運転席のホーム側の
ドアをあけて、落下したのだと推理されるのである。

「ドアを開けて」と「ドアをあけて」の表記不統一は原文ママ。

また、最初の引用で唐沢俊一は、「盲目でも健常者と変わらぬ動作ができるというのが
自慢」と書いているが、「自慢」していたという根拠となりそうなものは見つからなかった。
随筆を読むと、盲人には目明きと別の世界、別の楽しみがあるといっているようだが。

http://www.miyagikai.gr.jp/gyoseki/zuihitsu.html
＞このように、私たち盲人は、ただ音の世界にばかり生きているのである。これは、目明
＞きの人から見ると、いかにも不自由な世界のように思われるかもしれないけれど、傍で
＞考えているほど、不自由でも淋しいものでもない。
〈略〉
＞盲人の世界はそれなりに目明きの知らぬ楽しみがある。

２ちゃんねるのスレの書き込みでも指摘されているが (Read More 参照)、とにかく「健常
者と変わらぬ動作ができるというのが自慢」の盲人が、盲人であることが理由の誤りで
死んだことにしたがっているかのようだ。唐沢俊一自身の誤りから始まった「推理」を
成立させる、そのために。



http://love6.2ch.net/test/read.cgi/books/1211202322/113-

113 ：無名草子さん：2008/05/21(水) 09:11:06
『キッチュワールド案内』　Ｐ76

＞琴奏者の宮城道雄は盲目でも健常者と変わらぬ動作ができるというのが自慢だったが
＞夜汽車に乗って、トイレと間違えて乗車口のドアを開け、転落して死亡した。昭和三十一年のことである。
＞鉄ちゃんなら、このエピソードを読んだだけで、宮城道雄の乗った電車の車種が分かるらしい。
＞「そういうことなら、それは昭和五年生まれの参宮急行（現近鉄の一部）2200系でしょう」
＞と、彼らは自信満々に言う。

唐沢の無教養を如実に表しているのに「口の利き方を知らない」ということがある。
「健常者と変わらぬ動作ができるというのが自慢だったが」なんて、これでは、
宮城道雄は思い上がった障害者で、己の間抜けで死んでしまったかのようではないか。
トイレと車外、ドアを開けた時点で誤認するはずがなく（聴覚は人一倍優れていた）、
自殺だったのではという説は今も否定されていないのだ。

宮城が転落死したのは、東海道線苅谷駅付近、急行「銀河」からであった。
どうして「参宮急行」などがでてくるのか。

121 ：無名草子さん：2008/05/21(水) 10:45:33
>>113
息を吸うように自然に、他人を貶したり喧嘩を売ったりする文章を書いてしまうところが、
唐沢俊一がメジャーな売れっ子になれなかった理由の一つでしょうなあ。
そりゃ人間、他人の悪口やうわさ話を好むという側面は確かにあるものだけど、
ここで引き合いに出されている宮城道雄さんのように、大多数の人にとっては
別に悪口を言って楽しむような対象じゃない相手を貶めても、読者に不快感を与えこそすれ、
面白いとは思ってもらえないだろうに。