トンデモない一行知識の世界 OLD - 唐沢俊一の「雑学」とは -

一部で有名な唐沢俊一の一行知識に、ツッコミを入れたり派生トリビアを書いたり。
「愚かで分別のない人と思われたいなら、唐沢俊一のトリビアを引用しなさい。」

 
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2008/3/29  23:30

『倫敦千夜一夜』はマトモな本なのに……  『トンデモ一行知識の世界』間違い探し編

『トンデモ一行知識の世界』 P.221
 高名な哲学者にして科学者、フランシス・ベーコン卿はある冬の日、
ポンド・スクウェアでニワトリを使った実験中にひいたカゼが元で死んだ
が、いまでもこの区域には幽霊が出るという。もっとも、ベーコン卿の
ではなくニワトリのだが。

 この『倫敦千夜一夜』の一行知識の魅力は、成田千寿・玉井東助両氏
の達意の翻訳によるところが大きい。

×成田千寿 ○成田成寿

達意の翻訳」と唐沢俊一がほめている割には、上で引用した一行知識の前半部分は、
今ひとつ意味がとりにくいのだが、これは『倫敦千夜一夜』の翻訳者の責任ではないし、
著者のピーター・ブッシェルの落ち度でもない。

唐沢の文章では、ポンド・スクウェアが実験をおこなった場所かベーコンの死んだ場所か
わかりにくいし、ニワトリを使った実験の内容も目的もわからないが、『倫敦千夜一夜』を
読めば、実験の目的は死後の肉体保存の探求、場所はポンド・スクウェアで、ベーコンが
鶏を殺して死体に雪を詰めたということがわかる。これを野外で実施したからカゼをひいた
のだということも。

元の文章には「近年は現れることは稀になり、現れても前ほどはっきり見えなくなった
と書いてあるものを、わざわざ「いまでもこの区域には幽霊が出るという」と微妙に改竄
している理由は不明。

『倫敦千夜一夜』 P.172 ~ P.174
>エリザベス朝の哲学者フランシス・ベーコン卿はその昔にこの地に建っていた教会で
>洗礼を受けた。その六十五年後のある朝、彼は馬車でハイゲイトを走りながら、死後
>どうやって肉体を保存するかという課題を考えて続けていた。その時、ポンド・スクウェア
>で鶏が眼にとまった。彼は馬車から降りてその首をひねり、死体に雪を詰めた。実験は
>成功したが、おかげでベーコンはひどい風邪をひき、翌月に死んでしまった。もしポンド・
>スクウェアに幽霊が出るということにでもなれば、それは彼の幽霊だろうと思われるの
>だが、出るのは鶏であった。大きくて白い、羽毛の抜けた姿で一羽だけ、たびたび
>現れるのであった。時には木の枝に止まっていたり、またある時は、こっこ、こっこと
>鳴きながら、狂ったように翼をばたばたさせて、ぐるぐる輪をかいて走り回っていた。
>近年は現れることは稀になり、現れても前ほどはっきり見えなくなった。なにしろ三百年
>もたって、気の毒な鳥の怒りもそろそろおさまりはじめたのかもしれぬ。



   
 
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