トンデモない一行知識の世界 OLD - 唐沢俊一の「雑学」とは -

一部で有名な唐沢俊一の一行知識に、ツッコミを入れたり派生トリビアを書いたり。
「愚かで分別のない人と思われたいなら、唐沢俊一のトリビアを引用しなさい。」

 
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2008/3/29  23:57

本能に組み込まれている、ならアリかなあ  『トンデモ一行知識の世界』間違い探し編

『トンデモ一行知識の世界』 P.58
なんで、噛みつきもしない、毒を持っているわけでもないゴキブリがこんなに
怖いのだろう。 生物としての人間の本能に、何かゴキブリに対する恐怖が
インプリンティング(刷り込み)されているのだろうか。

本能に 〈略〉 恐怖がインプリンティング(刷り込み)されている」という言い方はおかしい。

この現象を発見して名づけたコンラット・ローレンツの報告した例では、孵化したばかりの
雛が、最初に目にした人間 (ローレンツ) を親と認識してしまい、常に後を追って行動する
ようになった。 雛が親の後をついて回るのは本能的行動であるが、その親を覚えるのは
後天的に変更可能な部分。その学習に時間も繰り返しも必要とせず、一瞬で記憶した
ことを、ローレンツは印刷にたとえて imprinting と命名した。

「刷り込み」だけならばまだ、印刷用語などからきた比喩のように使い、生物学的な用語
の imprinting と厳密に同じ意味ではない用法も間違いとは言いきれないかもしれないが、
唐沢俊一のように「インプリンティング(刷り込み)されている」という表現では逃げもきき
にくい。いっしょに使っている「本能」についても同様。

http://ja.wikipedia.org/wiki/刷り込み
>刷り込み(すりこみ)とは、動物の生活史のある時期に、特定の物事がごく短時間で
>覚え込まれ、それが長時間持続する現象をさす。

>ガンの仲間の雛は、親の後ろを追いかけて移動する習性がある。この行動は生まれ
>ついてのもの、つまり本能行動である。ところが、雛は親の顔を生まれた時には知ら
>ず、生まれた後にそれを覚えるのである。具体的には、生まれた直後に目の前に
>あった、動いて声を出すものを親だと覚え込んでしまう事が分かった。

>通常、後天的にものを覚える、つまり学習が成立するためには、特に知能がさほど発達
>していない動物では、繰り返しと一定の時間の持続が必要である。しかし、この例では
>ほんの一瞬でその記憶が成立している。しかも、それがその後にも引き続いて長時間
>にわたって持ち越される。彼はこの現象が、まるで雛の頭の中に一瞬の出来事が印刷
>されたかのようだとの意味で刷り込み(imprinting)と名付けた。
>刷り込みにかかわる行動は、その基本的な部分は先天的に持っているものであり、
>したがって本能行動の範疇であるが、そこに後天的に変更可能な部分が含まれている
>例でもある。鳥類の場合、繁殖期のさえずりは本能行動的であるが、その鳴き方は
>学習による部分があるなど、類似の例も多い。



で、まあ、人間は本能的にゴキブリに恐怖を感じるようにできている (アダルト・ウルフガイ
の主人公がいっていたようなことだなあ) かどうかについては、最初に2ちゃんのスレで
このネタを指摘した書き込み (Read More 参照) にもあるが、全人類がゴキブリを本能的
に毛嫌いしているわけではない。

http://ja.wikipedia.org/wiki/ゴキブリ
>古代ギリシャ時代から記録があるほどで、古来から身近な昆虫の一つとして認識され
>ている。地球全体で見てみると、この昆虫を害虫扱いする国は意外と少ない。


何より、唐沢俊一本人も、同じ『トンデモ一行知識の世界』の P.61 で、「東南アジアなんか
ではゴキブリをスナックがわりにポリポリと食うというし
」と書いているのだが。

http://love6.2ch.net/test/read.cgi/books/1206236626/746

746 :無名草子さん:2008/03/27(木) 13:09:03
『トンデモ一行知識の世界』P58

>なんで、噛みつきもしない、毒を持っているわけでもないゴキブリがこんなに怖いのだろう。
>生物としての人間の本能に、何かゴキブリに対する恐怖がインプリンティング(刷り込み)
>されているのだろうか。


唐沢俊一はインプリンティング(刷り込み)という言葉の意味が全く分かっていないようだ。
インプリンティングとは「動物の生活史のある時期に、特定の物事がごく短時間で覚え込まれ、
それが長時間持続する現象」をさす。このことを最初に指摘したのはコンラット・ローレンツ。
例えば、孵化したばかりの雛が、近くにいた人間を親と認識してしまうような現象のことである。
唐沢の伝に寄れば、これが“生物としての鶏の本能”にインプリンティングされてしまい。
鶏という生物は人間を親だと認識する本能を持ってしまうことになる。
そもそも、ゴキブリは古代ギリシャ時代から記録があるほどで、古来から身近な昆虫の一つとして認識されているが、
地球全体で見てみると、ゴキブリを害虫扱いする国は意外と少ないのだ。

刷り込みWikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%88%B7%E3%82%8A%E8%BE%BC%E3%81%BF

ゴキブリWikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B4%E3%82%AD%E3%83%96%E3%83%AA




2008/3/30  13:05

投稿者:トンデモない一行知識
http://tondemonai2.web.fc2.com/

何だか「種の記憶」というのが頭に浮かんだのでググってみました
が、「形態発生場」というのもそういえばありました。どれにしても
とってもニューエイジ。

http://homepage3.nifty.com/lifeschool/mag.al.sample2.html 
>代表的なところでは、脳生理学者カール・プリブラムによる「脳の
>ホログラフモデル」に端を発し、ライアル・ワトソンの「百匹目の
>サル」説で有名になったホログラフ理論、生物学者ルパート・シェ
>ルドレイクの形態発生場理論や、物理学者デーヴィッド・ボームの
>提唱する明在系・暗在系の概念などがある。目指すところはいずれ
>も、より全体的、統合的な宇宙観、生命観の構築と言える。

> こうして形態発生場にはその「種の記憶」が累積的に蓄積されて
>いく。そして同じ種の生物はその種の属する形態発生場により影響
>を受け、同時にその「場」の構造に影響を与えていく。こうして
>過去に生きていた生物の存在や経験、記憶が、形態発生場を通して
>同じ種の新たに生まれる生物に影響を与え続けることができるとい
>うわけだ。

マトモな科学のページだけど、挫折しかけているのがこれ↓
http://www.brh.co.jp/seimeishi/journal/38/research_11.html

唐沢俊一語の「インプリンティング」には、これとは別種の難しさが
あって、日記での使い方をみるとわけがわかりません……。

http://www.tobunken.com/diary/diary20000811000000.html
>『忍者ハットリくん』(もちろん実写版)の花岡実太先生が私に
>とってはインプリンティングで、校長に“鼻を齧ったくん!”と呼ば
>れて山形弁で“イエ校長、鼻を齧った、でなくて花岡実太でナイ
>ノ?”と毎度訂正する、そのイントネーションをしょっちゅう真似し
>ては怒られていた。

http://www.tobunken.com/diary/diary20000808000000.html
>骨董家具の店を回るが、60年代調のものにやはりクラッとくるの
>はインプリンティングかねえ。青山ABC冷やかす。

読んでいるこっちが「クラッとくる」のですが。

2008/3/30  7:03

投稿者:藤岡真
http://www.fujiokashin.com/

 唐沢はなにげなく書いていますが、個体が体験したこと(ゴキブリに恐怖の感情を抱かせるような出来事)が人類全体に敷衍されるようなことがある(ご指摘どおり犬神明の言葉でした)と考えているようです。これって「100匹目の猿」ですね。ノストラダムスといい、ライアル・ワトソンといい、唐沢って検証能力がないから、なんの抵抗もなく信じてしまうようです。

   
 
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