トンデモない一行知識の世界 OLD - 唐沢俊一の「雑学」とは -

一部で有名な唐沢俊一の一行知識に、ツッコミを入れたり派生トリビアを書いたり。
「愚かで分別のない人と思われたいなら、唐沢俊一のトリビアを引用しなさい。」

 
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2008/3/28  2:06

看守のつぶやき、街の歌  『トンデモ一行知識の世界』間違い探し編

『トンデモ一行知識の世界』 P.219
同じイギリス人の書いたものでも、しみじみと味わい深い雑学を山ほど
披露してくれるのは、ピーター・ブッシェル著『倫敦千夜一夜』 (原書房)
である。

『トンデモ一行知識の世界』 P.220 ~ P.221
 ロンドンはまた、犯罪者のメッカでもあった。かの切り裂きジャックが
もっとも有名だが、ニール・クリームという、女性を毒殺することに限りない
愛着を持った男もいた。この男がニューゲイト監獄で絞首刑になったとき、
街ではこういう歌が流行ったという。
「ひもに吊られて
良くなる(長持ちする)ものは
ベーコンだけじゃないんだよ」

トマス・ニール・クリーム (Thomas Neill Cream) は、確かにストリキニーネ入りカプセル
で 4 人の女性を毒殺したけど、他人を人殺しだと非難する手紙を書きまくったり、隣人を
強姦犯だろうと脅迫したり、他にもいろいろ「愛着を持った」ことがあった模様。

最初に2ちゃんねるのスレでの指摘 (Read More 参照) の通り、「ひもに吊られて良くなる
(長持ちする)ものはベーコンだけじゃないんだよ
」は、クリームとの関連が今ひとつ不明
だったし、いくら探してもこのような戯れ歌、流行歌についての情報が見つからなくて、
マザーグースで検索してもダメだった。

……歌が見つからないのも道理で、『倫敦千夜一夜』 P.228 によると、「ひもに吊られて
うんぬんは、クリームの死体を綱を切って降ろしたときの看守のつぶやき。街でそんな歌
が流行ったなどとは書かれていない。

要するに、「街ではこういう歌が流行った」の真偽以前の問題で、『倫敦千夜一夜』に、
こういう歌が流行った」と書かれているかのように紹介したこと自体がガセ。

また、前半で切り裂きジャックに言及しながら、クリームの最後の言葉が "I am Jack..."
だったこととかを無視するのは、興味深いネタに対するいつもの唐沢スルーの法則の
発動ではあるが、元ネタの『倫敦千夜一夜』ではちゃんと言及されていた。

http://www8.ocn.ne.jp/%7Emoonston/saint.htm
> トマス・ニール・クリームはカナダで医師免許を取り、1891年にロンドンへ渡ってきた。
> 斜視で禿げ頭のこの医師は、軽度ではあるが絶えず精神異常に悩まされており、
>男女かまわず奇妙な手紙を書き送る常習者だった。

> 彼はまったく無動機に、若い売春婦を拾ってはストリキニーネの入ったカプセルを
>飲むように薦め、後日、自分の与えた毒薬がどんな効果をおよぼしたかを何とか知ろ
>うとし、かつ、できるだけ騒ぎを大きくすることに悦びを覚えた。
> 彼の動機は強いて言えばサディズムと、自分自身に対する存在確認であった。彼は
>つねに不安と強迫症にさいなまれていた。
> 彼の与えたカプセルで4人の売春婦が命を落とした。クリームは著名人を人殺しと
>糾弾するわけのわからない手紙を書きちらし、スコットランド・ヤードに出頭して「警官
>に尾行されてはなはだ迷惑だ」と文句をつけた(勿論、尾行など誰もしていなかった)。
> 彼は逮捕後も知り合いの売春婦に、手紙で「ある国会議員が私の汚名を晴らして
>くれるはずだ。彼は私のために200人以上の証人を揃えてくれるだろう」 とまったく
>事実無根のことを書き送っている。

http://www5b.biglobe.ne.jp/%7Emadison/murder/text/cream.html
> 以上の4件の殺人の前後にクリームは、愛人と呑気にカナダ旅行をしたりもしてい
>たが、隣人の親を「お前の息子が毒殺魔であることの証拠を握っている」と恐喝したり、
>検死官に「30万ポンドと引き換えに毒殺魔の正体を教えてやる」との手紙を出したり、
>「私は一連の殺人事件の全貌を知っている」と誰彼なく吹聴したりと、とち狂ったと
>しか思えない自己顕示欲を発揮する。そして、当然の如く逮捕されて有罪となり、
>1892年11月15日に処刑された。
> なお、彼が首を吊られた時に 「私がジャック....」と云いかけて死んだことから、ドク
>ター・クリームこそが切り裂きジャックの正体だとする説がある。しかし、切り裂き
>ジャックの犯行時に彼はシカゴで服役しており、この説は成り立たない。おそらく自己
>顕示欲が旺盛な彼は、有名な切り裂きジャックとして死にたいがために嘘をついたの
>だろう。
> この点、「男性は首を吊られた瞬間に勃起する」という説を根拠に、クリームは実は
>「私は射精した(ejaculating)」と云いかけて死んだのだという珍説があることを最後に
>付記しておこう。

『倫敦千夜一夜』 P.228
>一八九二年の十一月、彼はニューゲイト刑務所の絞首台に登った。足元で落とし板が
>開いた時、よく聞き取れぬ声で叫んだ。「我こそジャック、あの…」(訳者注…二二五頁
>にある切り裂きジャック [ジャック・ザ・リッパー] のことだろう) 綱を切って彼の死体が
>降ろされた時、看守の一人がつぶやくのが聞えた。
>ひもに吊られて
>良くなる(長持ちする)ものは
>ベーコンだけじゃないんだよ


- http://ja.wikipedia.org/wiki/切り裂きジャック
- http://en.wikipedia.org/wiki/Thomas_Neill_Cream
- http://www.casebook.org/suspects/cream.html (ハゲ写真あり)
- http://www.crimelibrary.com/serial_killers/history/cream/london_4.html



http://www.23ch.info/test/read.cgi/books/1205573097/

889 :無名草子さん:2008/03/22(土) 10:59:53
『トンデモ一行知識の世界』 P220

>ロンドンはまた、犯罪者のメッカでもあった。かの切り裂きジャックがもっとも有名だが、
>ニール・クリームという、女性を毒殺することに限りない愛着を持った男もいた。
>この男がニューゲイト監獄で絞首刑になったとき、街ではこういう歌が流行ったという。
>「ひもに吊られて
>良くなる(長持ちする)ものは
>ベーコンだけじゃないんだよ」

なんだこの雑学は? まず、歌の意味が分からぬ。ベーコンを紐で吊るすのは燻製にするときだけで
ぶら下げておけば長持ちするわけじゃない(腐る)。だいたいベーコンだけではない「何」が長持ちする
というのだろう。ニール・クリームは死んでしまったわけだし。
(続く)

890 :無名草子さん:2008/03/22(土) 11:00:36
>>889の続き

『殺人博物館』
http://www5b.biglobe.ne.jp/~madison/murder/text/cream.html
ドクター・クリームによると。
トーマス・ニール・クリームは医者。4人をストリキニーネで毒殺し、死刑となったのだが、
首を吊られた時に 「私がジャック....」と云いかけて死んだことから、ドクター・クリームこそが
切り裂きジャックの正体だとする説がある。また、「男性は首を吊られた瞬間に勃起する」という説を根拠に、
クリームは実は「私は射精した(ejaculating)」と云いかけて死んだのだという珍説もある。

切り裂きジャックというネタ振りをしておいて、クリームの最後の言葉には触れず、下ネタ大好きの癖に
珍説も知らず。恐らくガセの戯れ歌で行数稼ぎする、馬鹿ライター。

983 :無名草子さん:2008/03/23(日) 15:56:58
>>889
>「ひもに吊られて
>良くなる(長持ちする)ものは
>ベーコンだけじゃないんだよ」

これは本当に謎。ロンドンの戯れ歌、流行歌で探しても、マザーグースで探しても
該当するものはない。

984 :889:2008/03/23(日) 16:07:59
>>983
これって、多分だけど、その後にフランシス・ベーコンの逸話が出て来るんだが、
「ところで、ベーコンといえば―」と強引に続けるつもりで忘れちまったという
可能性もある。

985 :無名草子さん:2008/03/23(日) 16:16:13
>>984
ああ! ロンドンといえば幽霊だけど、ベーコンに殺されたニワトリの幽霊が出るとか。

986 :無名草子さん:2008/03/23(日) 16:51:47
しかし、毎週1スレッドの割合で、ガセ&パクリネタが尽きない唐沢ってw

987 :無名草子さん:2008/03/23(日) 17:33:59
>>984
 つか、ここら辺の話って全部『倫敦千夜一夜』ピーター・ブッシェル(原書房)
の引用なんよ。だから原典には「ベーコンといえば云々」があったんじゃないのかな。



   
 
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