トンデモない一行知識の世界 OLD - 唐沢俊一の「雑学」とは -

一部で有名な唐沢俊一の一行知識に、ツッコミを入れたり派生トリビアを書いたり。
「愚かで分別のない人と思われたいなら、唐沢俊一のトリビアを引用しなさい。」

 
旧 URL は、http://diary.aol.com/yzuc9ww/223.html
文字列の一括置換をかけた都合上、旧ブログのコメント欄および2ちゃんねるのスレからの引用の中の URL も全部新 URL に置き換わっていますことを、あらかじめご了承ください
http://tondemonai2.blog114.fc2.com/ で続きの Blog をやっています
   
 

2008/2/23  10:20

アナーキストは昆虫記が好きだった  『トンデモ一行知識の世界』間違い探し編

『トンデモ一行知識の世界』 P.21
 ファーブル昆虫記が始めて翻訳されたとき「昆虫社会」と訳されたために、
社会主義の本と誤解され、検閲でもめた。

唐沢以外の雑学本でも見たような覚えがあるトリビアだけど、何か裏が取れない。

http://nichigetusho.ameblo.jp/nichigetusho/entry-10006316388.html
>ファーブル昆虫記の邦訳の最初は大正時代の無政府主義者大杉栄であるが、
>完訳版は岩波版で山田吉彦・林達夫訳が昭和25年(1950)岩波文庫として
>全10巻刊行されている。


昆虫記を最初に翻訳したという大杉栄の本は、現在 Amazon でも売られている
(http://www.amazon.co.jp/dp/4750322458) が、題名は『ファーブル昆虫記』。

この本の題や本文に「昆虫社会」が使われていたから検閲の対象となったという
話は、捜しても出てこない。「原題『昆虫学的回想録』に『昆虫記』の名を贈った
のが大杉栄であるという話ならば、復刻版を出した出版社の紹介文にある。また、
この明石書店のページに載っている章題の一覧にも「昆虫社会」の文字はない。

http://www.akashi.co.jp/menue/books/2245/main.htm
>ファーブルの原題『昆虫学的回想録』に『昆虫記』の名を贈ったのはこのときの
>大杉栄だった。


大杉栄自身は無政府主義者で、他の件では何度か検閲をくらっているようだけど、
さすがに『昆虫記』はその対象とならなかったらしい。

http://members2.jcom.home.ne.jp/anarchism/osugi-1920-1921.html
>1920 6月1日 『労働運動』第6号 指ヶ谷・有楽町 
><広告> 〈略〉 『昆虫記』
>1920 11月23日 6回黒耀会展覧会、警視庁から検閲、撤回命令が出される
>1921 12月24日より3日間 東京市神田区北甲賀町駿河台倶楽部に於て在京
>特別要視察人の開催せる「ロシア」飢餓救済展覧会 2点を出品検閲の結果
>治安に害ありとして撤去を命ぜられる


http://urag.exblog.jp/3026702/
>大杉栄訳ファーブル昆虫記
>ジャン=アンリ・ファーブル著 / 明石書店 / ¥6,300
>●これは親本がずいぶん古い本ですが、当時のベストセラーということもあって
>か、まだ古書市場でさほど高価でもなく手に入ります。



実は最初の完訳版 (山田吉彦・林達夫訳 岩波文庫) の方を指している可能性も
考えてみたが、こちらは 1950 年の出版だから、検閲するとしたら GHQ か? 
しかし、こちらについても、「昆虫社会」だの出版の際にもめただのという話は、
見つからなかった。


おまけ:
http://ja.wikipedia.org/wiki/ジャン・アンリ・ファーブル
>評伝G・V・ルグロ『ファーブルの生涯』(平野威馬雄訳)藤森書店 
>1976年/ちくま文庫 1988年)
>訳者の平野威馬雄は1868年にファーブルが皇帝ナポレオン3世からレジオンド
>ヌール勲章を受けた時、同時に皇帝に拝謁を許された学者、芸術家たちの一人、
>法学者、バイオリン奏者でその後ファーブルと交友をもったヘンリー・パイク・ブイ
>と、日本人の妻との間に産まれた息子。平野自身は父とは違い、ファーブルと
>直接の面識はないが、大杉栄との交流の縁でファーブル関連著書の翻訳を
>いくつか行っている。


この平野威馬雄は『空飛ぶ円盤のすべて』の作者でもあり、唐沢俊一の盗作騒動
で頻繁に名前を目にすることになる人物でもある。

http://mandanatsusin.cocolog-nifty.com/blog/2007/06/post_a49c.html
> 問題部分のひとつは、平野威馬雄『空飛ぶ円盤のすべて』からの要約と引用。

http://www.jarchive.org/temp/copyright2.html



   
 
HOME

 

 

inserted by FC2 system