トンデモない一行知識の世界 OLD - 唐沢俊一の「雑学」とは -

一部で有名な唐沢俊一の一行知識に、ツッコミを入れたり派生トリビアを書いたり。
「愚かで分別のない人と思われたいなら、唐沢俊一のトリビアを引用しなさい。」

 
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2008/1/13  22:54

中国の江東が江戸市民の身近に  『トンデモ一行知識の世界』間違い探し編

『トンデモ一行知識の世界』 P.75
 江戸時代、蚊は江東に住む蚊母鳥という鳥が口から吐き出して
発生する、と考えられていた。

〈中略〉 中でも蚊母鳥の話はなかなかすさまじいイメージで好きで
ある。巨大な鳥で、常に口から一、二升の蚊を吐き出しているそうで
ある。そのくせ住んでいるのが人里離れた山奥、などではなく「江東」
というところがいい。江戸時代はファンタジーが身近にあったのだ。

蚊母鳥=夜鷹=怪鴟というのが「巨大な鳥」かどうかというのがまず疑問。
ヨタカは「全長約29センチ」とか辞書 (大辞泉) にあるので。

>よ‐たか【夜×鷹/蚊=母=鳥/怪=鴟】
>1 ヨタカ目ヨタカ科の鳥。全長約29センチ。全体に茶褐色の細かい模様があり、
>くちばしは小さいが、口は開くと大きく、周りに長い剛毛をもつ。夜、飛びながら
>昆虫を捕食し、キョキョキョと早口で鳴き、枝に平行に止まる。アジア南部に分布。
>日本では夏鳥。ヨタカ目にはガマグチヨタカなども含まれ、北半球北部・南アメリカ
>最南端・ニュージーランドを除く全世界に約100種が分布。なますたたき。蚊吸い鳥。
>ぶんぼちょう。《季 夏》「靄(もや)こめてきたる―のたたみ鳴く/敏郎」

>2 (夜鷹)江戸で、夜間に道ばたで客を引いた私娼。

>3 (夜鷹)「夜鷹蕎麦(そば)」の略



で、まあ「常に口から一、二升の蚊を吐き出している」のはいいとして。

http://www.iic.tuis.ac.jp/edoc/collection/tori/30.html
>この鳥は飛びながら蚊の羽虫類を吸いこんでたべる。「和漢三才図絵」には、
>吐蚊鳥と註して、蚊を吐きだしている絵が描かれ、毎々蚊を吐くこと一、二升、
>とある。蚊を吐きだすから蚊母鳥とも書かれている。別に、蚊吸鳥ともある。
>この方が当たっている。〈後略〉 (朝日新聞「俳壇」掲載)



問題は「江東」で、唐沢先生はどうも、蚊母鳥は江戸の江東に住んでいると
信じられていた――と言いたいみたいなんだけど、唐國史補ならば中国の江東
じゃないかなあと思う。

http://databook.fhk.gov.tw/activity/fhkbook/hist/hist.asp-sq_no=62.htm
>唐代李肇撰唐國史補敘述曰:
>「江東有蚊母,亦謂吐蚊鳥,夏則夜鳴,吐蚊於叢草間。」



→ 派生トリビア : <a href="蚊の発生は金魚迷惑とは限らない">蚊の発生は金魚迷惑とは限らない</a>



   
 
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