トンデモない一行知識の世界 OLD - 唐沢俊一の「雑学」とは -

一部で有名な唐沢俊一の一行知識に、ツッコミを入れたり派生トリビアを書いたり。
「愚かで分別のない人と思われたいなら、唐沢俊一のトリビアを引用しなさい。」

 
旧 URL は、http://diary.aol.com/yzuc9ww/470.html
文字列の一括置換をかけた都合上、旧ブログのコメント欄および2ちゃんねるのスレからの引用の中の URL も全部新 URL に置き換わっていますことを、あらかじめご了承ください
http://tondemonai2.blog114.fc2.com/ で続きの Blog をやっています
   
 

2008/5/28  2:14

その聖バレンタイン、違う人のことです  その他の雑学本 間違い探し編

『裏モノの神様』 P.72
 そもそも、聖バレンタインという人は、て×か×患者の守護聖人であり、
男女の愛とはナンの関係もない人である。ポケモン関係者はこれをあがめ
なくてはいけないかもしれないが(いくら裏モノとはいえ、あぶない発言だな)
愛の成就を祈るのはスジが違うのである。この聖人の日がなんで男女の
愛の告白日になったかというと、ヨーロッパではこの日、小鳥やリスなどの
小動物が発情する日とされているからだそうであり(すごい日を決めている
なあ)それに浮かされて人間も、ということになったためだという。

×男女の愛とはナンの関係もない ○その殉教のエピソードから愛の守護聖人となった
×小鳥やリスなどの小動物が発情する日 ○豊穣神のためのルペルカーリア祭の日

聖バレンタインが愛の守護聖人とされた殉教のエピソードは、多くの人が聞き覚えの
あるものだと思うのだけれど……。皇帝の禁令に背いて恋人たちの結婚式を執り行い、
カップルには花を贈り、獄中では奇跡を起こした等など [1]。

てんかん者、ライ病人、身体障害者、痛風病人、動物の疫病」の守護聖人である
聖バレンタインの方は、愛の守護聖人のバレンタンとは別の人で、レティアの聖バレン
タインと呼ばれる。病人や障害者のために献身した人で、こちらの聖日は 1 月 7 日 [2]。

2 月 14 日は、「小鳥やリスなどの小動物が発情する日とされて」もいたのかもしれない
が、「なんで男女の愛の告白日になったかというと」、ルペルカーリア祭の日だったため。
その祭りでは、若い男女がくじを引いて付き合う相手を決めていたが、それは風紀上
好ましくないと憂えた教皇が、愛の守護聖人のバレンタインを祭りの守護聖人に立て、
女性の代わりに聖人の名前をくじで引く別の行事に変貌させたとのこと [3]。

[1] - http://ja.wikipedia.org/wiki/ウァレンティヌス
>一説によれば、269年2月14日キリスト教の信仰を捨てなかったために絞首刑に処せ
>られたという。彼についてのエピソードには、次のようなものが伝えられている。
>・ローマ皇帝クラウディウス2世は戦士の士気の低下をおそれて兵士たちの結婚を
> した。ワレンティヌスはこの禁令に背いて恋人たちの結婚式を執り行ったために
> 捉えられ処刑された。
>・また彼は、結婚したばかりのカップルに自分の庭から摘んできたばかりの花を贈った。
>・監獄に居たとき、看守の召使の娘は目が見えなかったが、監獄の彼を訪れては説教
> を聞いていた。あるとき娘の目が見えるようになった。この奇跡を信じた彼女の家族
> がキリスト教に転向したため、皇帝は怒って彼を処刑した。処刑の前日に彼がこの娘
> に宛てた手紙は「あなたのヴァレンタインより」と署名されていた。


[2] - http://www.geocities.jp/tomoching2/valentine.html
>日本ではテルニの聖バレンタインの聖日には女性が男性にチョコレートを渡す日と
>なっていますが、それだとちょっと1月7日が聖日のレティアの聖バレンタインがお気
>の毒なので、ならば日本で1月7日には不治の病に苦しんでいる方々の為に募金
>(1人500円寄付)をするイベントを企画しても良いのではないでしょうか?


[3] - http://www.family.gr.jp/valentine/valentine.htm
>A)ローマではルペルクスという豊穣(ほうじょう)の神のためにルペルカーリアという
>祭が何百年ものあいだ行われていました。
>  毎年2月14日の夕方になると、若い未婚女性たちの名前が書かれた紙が入れ物に
>入れられ、祭が始まる翌15日には男性たちがその紙を引いて、あたった娘と祭の間、
>時には1年間も付き合いをするというものです。翌年になると、また同じようにくじ引きを
>します。
>  496年になって、若者たちの風紀の乱れを憂えた当時の教皇ゲラシウス一世は、
>ルペルカーリア祭を禁じました。代わりに、違った方法のくじ引きを始めたのです。
>それは、女性の代わりに聖人の名前を引かせ、1年間のあいだその聖人の人生に
>ならった生き方をするように励ますものです。
>  そして、200年ほど前のちょうどこのお祭りの頃に殉教していた聖バレンチノを、
>新しい行事の守護聖人としたのです。
>  次第に、この日に恋人たちが贈り物やカードを交換するようになっていきました。


て×か×」は原文ママだけど、「てんかん」って、その言葉自体を伏せ字にしなければ
いけないものだっけという疑問が……筒井の断筆宣言の頃でさえ、そこまで自主規制
する風潮はなかったように記憶しているんだけど。

その他参考 URL:
- http://www.morozoff.co.jp/quality/chocolate03.html
- http://www.geocities.jp/tomoching2/valentine.html
- http://dug.main.jp/blog/archives/2005/02/post_67.html
- http://www.actv.ne.jp/%7eyappi/tanosii-sekaisi/10_theme/10_07yurai/10_07yurai08.html
- http://ja.wikipedia.org/wiki/ルペルカリア祭

で、2ちゃんねるでこのネタを指摘した書き込み (Read More 参照) の勧めに従って、
下記のURL も参照してみると……。

http://www.tobunken.com/diary/diary20000629000000.html
>聖バレンタインの伝説、これはキリスト教々会が後でバレンタイン・デーにあわせて
>創り上げたオハナシであり、そのような事蹟のある聖人は記録にない筈。人文書院の
>『黄金伝説』の訳注によればバレンタイン・デーが男女の恋の告白の日とされたのは、
>古代ヨーロッパの民間信仰で、この日が小鳥たちや小動物が発情する日、とされて
>いたからで、その発情日が人間同士の間にも延長された、というだけの話とのこと。






http://love6.2ch.net/test/read.cgi/books/1211615504/189-

189 :無名草子さん:2008/05/27(火) 11:22:54
「裏モノの神様」P.72
>そもそも、聖バレンタインという人は、て×か×患者の守護聖人であり、
>男女の愛とはナンの関係もない人である。
>ポケモン関係者はこれをあがめなくてはいけないかもしれないが(いくら裏モノとはいえ、あぶない発言だな)
>愛の成就を祈るのはスジが違うのである。
>この聖人の日がなんで男女の愛の告白日になったかというと、ヨーロッパではこの日、
>小鳥やリスなどの小動物が発情する日とされているからでそうであり(すごい日を決めているなあ)
>それに浮かされて人間も、ということになったためだという。

伏せ字は原文ママ。
ガセその1。聖バレンタインは男女の愛と関係がある。
聖バレンタインは、愛の守護聖人なのである。彼の殉教のエピソードを見てもそれは明らか。
>かつてのローマ皇帝クラウディウス2世は、強兵策の一つとして兵士たちの結婚を禁止していました。
>これに反対した聖バレンチノ教会のバレンタイン司祭は、皇帝の命に反し多くの兵士たちを結婚させました。このため皇帝の怒りをかい、
>ついに殺されたということです。
ttp://www.morozoff.co.jp/quality/chocolate03.html
ttp://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A6%E3%82%A1%E3%83%AC%E3%83%B3%E3%83%86%E3%82%A3%E3%83%8C%E3%82%B9
聖バレンタインは数人の聖者のイメージが重なっているとされ、てんかんの守護聖人となったのは、
古代ローマのバレンタインではなく、レティアのバレンタインに拠るものと思われる。
ttp://www.geocities.jp/tomoching2/valentine.html
ttp://dug.main.jp/blog/archives/2005/02/post_67.html
ガセその2。バレンタインデーは古代ローマのルペルカリア祭が元になっているとされる。
>キリスト教以前の古代ローマでは、多くの土着的な信仰や風習がありました。
>その一つが、毎年2月15日に始まり、その年の豊作を祈願するルペルカリア祭です。
ttp://www.actv.ne.jp/~yappi/tanosii-sekaisi/10_theme/10_07yurai/10_07yurai08.html
ttp://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AB%E3%83%9A%E3%83%AB%E3%82%AB%E3%83%AA%E3%82%A2%E7%A5%AD
「小鳥やリスなどの小動物が発情する日」で疑問に感じるべきだったのでは。
なお、以下も参照。
ttp://www.tobunken.com/diary/diary20000629000000.html



2008/5/29  7:25

投稿者:唐沢スレガセ検証班

聖バレンタインについてのガセは『トンデモ一行知識の逆襲』でもあったということですね(『裏モノの神様』とほぼ同時期ですが)。
なお、『逆襲』で唐沢が紹介している『黄金伝説』の中の聖バレンタインのエピソードについて、だいぶ問題があることに気づいたので、まとめwikiで指摘しておきました。
http://www13.atwiki.jp/tondemo/pages/69.html


2008/5/29  1:17

投稿者:トンデモない一行知識
http://tondemonai2.web.fc2.com/

ちなみに、エントリのタイトルを「その聖バレンタイン、違う人のこ
とです」にしたのは、本文にも引用させていただいた
http://www.family.gr.jp/valentine/valentine.htm
の記述によるところが大きいのですが、その他にも、
http://saints.sqpn.com/saintv.htm というのがあります。

http://saints.sqpn.com/saintv55.htm (1 月 7 日が記念日)
http://saints.sqpn.com/saintv06.htm (ローマの聖バレンタイン)
http://saints.sqpn.com/saintv69.htm
http://saints.sqpn.com/saintv41.htm
http://saints.sqpn.com/saintv0k.htm
http://saints.sqpn.com/saintv0z.htm
http://saints.sqpn.com/saintv90.htm

没年からしてバラバラだったり、いろんなプロフィールをもってたり
の Saint Valentine さんたちです。

2008/5/29  1:11

投稿者:金平糖

2月14日が女神ユノの祝日で明けた2月15日からルペルカーリア祭りが始まる
女神ユノは結婚生活と出産を司る神でそこからこの日が森の鳥や動物がつがいとなる日と言われる
「小鳥たちや小動物が発情する日」と言うのは問題ないと思うが
「その発情日が人間同士の間にも延長された」は間違い

(すごい日を決めているなあ)とか言ってるが
原因と結果という概念がよくわかってないとしか思えない

あと、聖バレンチヌスは聖人登録大整理の際に抹消されているが
これは架空の存在だからと言うのではなく
没年が複数伝えられてたり話の食い違いなどから
複数の聖職者の話が混ざったものと判断されたからと言われている

2008/5/29  1:04

投稿者:トンデモない一行知識
http://tondemonai2.web.fc2.com/

『トンデモ一行知識の逆襲』P.126 にこんなのがありました。
-------
 聖バレンタイン(ウァレンチヌス)は本来癲癇患者の守護聖人であ
り、男女の恋の告白には何の関連もない。

 しかるにバレンタインデーが男女の恋の告白の日とされたのは、古
来ヨーロッパではこの日が小鳥たちや小動物が発情する日、とされて
いたからで、その発情日が人間同士のあいだにも延長された、という
だけの話。
 もともとこの聖ウァレンチヌス、聖人伝説を集めたヤコブス・デ・
ウォラギネの『黄金伝説』の中でも妙に存在感のないエピソード(感
心な話でローマ皇帝クラウディス・ゴティクスを感心させ、しかるの
ち“感心させたのになぜか”首をはねられた、というマヌケな話)しか
紹介されていないし、解説によると、聖バレンタインのモデルになっ
た聖人は三人ほど伝えられてるらしいが、ひとりは存在せず、ひとり
は事蹟未詳という情けないありさまらしい。
 ところで、なんでこの人がテ×カ×の守護聖人かというと、その存
在しなかった方の聖人のエピソードで、皇帝の責苦にあっても決して
信仰を捨てなかった。つまり“転ばなかった”。転ばなかった→ひっく
りかえらなかったで、×ン×ン退治の守護聖人となったとか。
-------
……こっちがひっくり返りそうです。昨夜見つけたのですが、あまり
の電波文章に、もうどうしようかと。訳注の方はまだ、真偽はともか
く意味はわかりますが、唐沢俊一の手にかかるとものすごくわかりに
くくなりますね。

>この日から野山の鳥たちがつがいはじめるという中世の民間信仰か
ら由来している。

巣作りを始めるとか表現してるサイトもどこかで見ました。まあ、
「~しはじめる」なら理解可能ですが、「小鳥やリスなどの小動物が
発情する日」とかだと、その日、一日だけ?と奇異な感じが、どうし
てもしてしまいます。

2008/5/28  20:34

投稿者:唐沢スレガセ検証班

サーバー規制中なのでこちらに書き込んでおきます。
ヤコブス・デ・ウォラギネ『黄金伝説1』(平凡社ライブラリー)から問題の部分を引用。
>この風習は、聖ウァレンティウスとは関係なく、
>この日から野山の鳥たちがつがいはじめるという中世の民間信仰から由来している。
「この日から野山の鳥たちがつがいはじめる」→「小鳥やリスなどの小動物が発情する日」
うーん、正確な引用とはいいがたい。それからこの文章に続く、
>また、一説によると、道行く人たちに修道院の庭に咲いた花をおくったと言われる、
>もうひとりべつのウァレンティウスという修道士(事績未詳)に由来するとも言う。
という異説をスルーしているのもどうだろう。
なお、この訳注には古代ローマの聖ウァレンティウスがてんかんの聖人になった理由も記されている。
>どんな責苦に会ってもけっして「ころばなかった」というので、<ころび病>、つまりてんかんの保護の聖人とされる。
これはダジャレみたいだが、他にも実際にてんかんを治した話もあるらしい。
いずれにしろ、訳注を信用しすぎるのはいかがなものか。

2008/5/28  10:50

投稿者:藤岡真

裏モノ日記のエントリは2000年6月29日。一方『裏モノの神様』の初版は2000年1月1日。雑誌に掲載されたのは、1998年~1999年。つまり唐沢は『黄金伝説』からガセをパクリ、そのままアスキーの連載に載せたことが分かったわけですね。


   
 
HOME

 

 

inserted by FC2 system