トンデモない一行知識の世界 OLD - 唐沢俊一の「雑学」とは -

一部で有名な唐沢俊一の一行知識に、ツッコミを入れたり派生トリビアを書いたり。
「愚かで分別のない人と思われたいなら、唐沢俊一のトリビアを引用しなさい。」

 
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2008/6/29  0:11

『水からの伝言』と結局シンクロしている、と  その他の雑学本 間違い探し編

『トンデモ一行知識の世界』 P.108 欄外
量子力学においては、すべての物質は固有の原子の振動数を持っており、
これを振動波としてとらえることができる、という(これは正しい)。

……自信ないけど、まず、量子力学とかを脇においといたときの固有振動数について。
どの物質にも、自由振動させたときの特定の振動数である固有振動数 (共振周波数) が
あって、これは「振動波としてとらえることができる」というより、振動波としての伝わり方
に影響を与える。外部から与えられた刺激 (振動) が固有振動数に近いと、共振が発生
して、振動の振幅は大きくなる。

http://ja.wikipedia.org/wiki/固有振動
>固有振動とは物体を自由に振動させた際に検出される、特定の振動のこと。 どのような
>物体にもそれ固有の振動数が存在するものである。


http://www.city.gifu.lg.jp/c/Files/1/12030039/attach/sinkiso.pdf
>振動が伝わる現象を「振動波」と呼び、振動波は、その方向により縦波、横波、表面波
>などに分けられます。
〈略〉
>なお、地盤は固有の周期の振動を持っています。この振動数に近い振動数を持つ振動
>が加わると共振することにより、距離による減衰量が小さくなります。また、建物の固有
>振動数と似た振動であると、同じく共振することにより振動が大きくなることがあります。

http://ja.wikipedia.org/wiki/共振
>共振 (きょうしん) は、エネルギーを有する系が外部から与えられた刺激により固有振
>動を起こすことである。特に、外部からの刺激が固有振動数に近い状態を表す。共鳴と
>同じ原理に基づく現象であるが、電気や固体については「共振」の語がよく用いられる。
〈略〉
>共振のシステムとして、振動する振り子が単純な例として挙げられる。振り子を押して
>系に振動を励起することにより、振り子はその固有振動数で振動を始める。振り子の
>固有振動に近い周期で振動を与えると、振動の振幅は次第に大きくなる。しかし、固有
>振動と大きく異なる周期で振動を与えると、振幅は大きくならない。


上記の「共振」の引用を踏まえたうえで語るこれ↓が、比喩としてわかりやすいと思う。

http://www.qyen.info/2005/11/post_334.html
>上述の例ではネタ(情報)を振動(波)、各個人を固有振動数(ツボ)を持つ物体として捕ら
>えた時、振動(ネタ)と固有振動数(ツボ)が近い個人だけ笑い(共鳴し)、固有振動数(ツボ)
>と遠い個人は笑わない(共鳴しない)とすれば共鳴現象との類似性を理解できるだろうか。


でも、唐沢俊一の文章では、「量子力学において」とかいっていて、書いてあることは、
『水からの伝言』の公式サイトに書いてあるようなことの、「波動」を「振動波」に置き換え
ただけの内容と考えられる。

http://www.hado.com/LABO/hado-nanika.htm
>量子力学という最先端の物理学により物質の根源が分子-原子から、さらに小さい
>「素粒子」というものであることが説き明かされつつあります。原子や素粒子は微弱
>ながら絶えず振動しています。
> その振動を「波動」と呼び、全ての物質や世の中の現象はこの波動に始まっている
>といえます。


で、これについては、「水商売を斬る」サイトの説明に、そのままおまかせ。振動波とか
波動とかは、この場合は「存在確率の分布」であり、「振動波としてとらえることができる
というのは変。

http://atom11.phys.ocha.ac.jp/wwatch/appendix/app30.html
> まず、原子や素粒子の「振動」は,普段、私たちが日常生活で目にするような、バネ
>の振動のようなものではない。
>〈略〉量子力学の波には、振動する実体もないし媒体もない。ある粒子の存在確率の
>分布の様子をあらわしているだけである。 一方、 普通に水面に立っている波を表す
>方程式を作ると、同じように時間と空間の微分が出てくる方程式になるが、こちらを
>解いた場合は複素数は出てこないし、解いた結果得られる波動関数は、観測できる
>波の運動に結びついている。




2008/6/29  14:01

投稿者:トンデモない一行知識
http://tondemonai2.web.fc2.com/

物理屋さんですか、コメントありがとうございます。

>(複素数関数の波動関数の虚数部はどこいったのか?)

このあたりのお話でしょうか。↓

http://soudan1.biglobe.ne.jp/qa2501039.html
>なぜなら、複素数の絶対値の2乗なら観測できるが、複素数(虚数)
>そのものを反映する観測結果は得られないからです

原子の振動ネタは、
http://tondemonai2.web.fc2.com/213.html
あたりでもやったんですが、

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%B5%B6%E5%AF%BE%E9%9B%B6%
E5%BA%A6
>量子力学では、不確定性原理のため、原子の振動が止まることはな
>く、エネルギーが最低の状態でも零点振動をしている。

このあたりでいう「振動」は、普通にいう、揺れている~という感じ
の振動のように思えて、素人には量子力学における原子の振動という
のは本当に敷居が高いです (汗)。

Wikipedia のリンクを、絶対零度→ 零点振動→ 格子振動→ フォノン
とたどっていくと、頭がパンク状態になるし。でも、この手の難しい
話は、とっくに日常的に身の回りにあるものをつくるのにも使われて
いる理論・技術であったりするんですよね……。

2008/6/29  8:22

投稿者:元物理屋

物体が固有振動数を持つのは確かだが、量子力学とは関係ない。
量子力学において、波動関数の周波数は定義できるけれど、これは物体の固有振動数とは違う。
波動関数を物体の振動波としてとらえることはできない。
(複素数関数の波動関数の虚数部はどこいったのか?)
ていうか、波動関数を直接観測できるのなら、確率解釈とか多世界解釈とか、いらないし。

   
 
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