トンデモない一行知識の世界 OLD - 唐沢俊一の「雑学」とは -

一部で有名な唐沢俊一の一行知識に、ツッコミを入れたり派生トリビアを書いたり。
「愚かで分別のない人と思われたいなら、唐沢俊一のトリビアを引用しなさい。」

 
旧 URL は、http://diary.aol.com/yzuc9ww/243.html
文字列の一括置換をかけた都合上、旧ブログのコメント欄および2ちゃんねるのスレからの引用の中の URL も全部新 URL に置き換わっていますことを、あらかじめご了承ください
http://tondemonai2.blog114.fc2.com/ で続きの Blog をやっています
   
 

2008/3/2  13:42

ドーパミンとエンドルフィンでアップダウン  その他の雑学本 間違い探し編

『唐沢俊一の雑学王』 P. 84 災害のトリビア
災害時には人間はみな緊張し、その状態では脳内にアドレナリン、
ノルアドレナリン、ドーパミンという向精神物質が分泌される。これらは
セックスの際に分泌されるものと同じだ。
最近彼女との仲がマンネリだな、とお悩みの貴方、台風シーズンは
ひさびさに燃え上がるチャンスかも。

『唐沢俊一の雑学王』 P.110 火事のトリビア
当然のことながら、火事を見ての興奮はセックスの快感にも通じる。
人間はセックスに臨む際、激しいプレイによる血圧の上昇や心拍数
の増加で人体に危険が及ばないように心理的にリミッターをかけて
いるのだが、ドーパミンが分泌されるとそのリミッターがはずれ、
ことに女性は驚くほど大胆になる。

向精神物質」というのは辞書にないが、まあ「向精神薬」と同義とされていて、
その定義 (大辞林) は:
>こうせいしんやく[かうせいしん―] 5 【向精神薬】
>中枢神経系に作用し、精神機能に影響を及ぼす薬剤の総称。抗精神病薬・
>抗不安薬・抗鬱薬などの精神治療薬のほか、覚醒剤・幻覚剤なども含む。
>麻薬及び向精神薬取締法の対象となる。

しかし「ドーパミン」は、「中枢神経系に作用」というより、Wikipedia (下で引用) にも
ある通り「中枢神経系に存在する神経伝達物質」だし、「ノルアドレナリン」の方も
大辞林に「交感神経末端・中枢神経系などに広く分布し、興奮を伝達する化学伝達
物質
」とあるし……素直に、昔流行った「脳内麻薬」を使った方がよかったのでは。

また、ドーパミンはノルアドレナリンの前駆体で、ノルアドレナリンはアドレナリンの
前駆体だから、「アドレナリン、ノルアドレナリン、ドーパミン」は逆の順で書いて
欲しかったような気が。

ノリアドレナリンの定義 (大辞林) :
>ノルアドレナリン0 【noradrenaline】
>カテコールアミンの一。交感神経末端・中枢神経系などに広く分布し、興奮を
>伝達する化学伝達物質。アドレナリンの前駆物質。昇圧薬として用いられる。
>ノルエピネフリン。


で、ドーパミンは性欲や快感の昂進には寄与するかもしれないが、「セックスの際に
分泌
」されるのはドーパミンではなく、β-エンドルフィン。「人体に危険が及ばない
ように
」かかっているという「リミッター」をはずすのも、ランナーズハイや火事場の
馬鹿力のもとといわれるエンドルフィンの方だろう。ちなみに、同じ脳内麻薬 (?) でも、
ドーパミンが覚醒剤等のアッパー系ドラッグに似ているのに対し、エンドルフィンは
モルヒネと同様の作用だからダウナー系で、両者はだいぶ違う。

それと、「火事を見ての興奮はセックスの快感にも通じる」は、「当然のことながら」と
さらっと言い放つようなことではなく、立派な異常性欲の変態としか。すべての興奮は
セックスに通じるとでも決めつけてしまえば別だけど。


http://ja.wikipedia.org/wiki/ドーパミン
>ドーパミン(英:Dopamine)は中枢神経系に存在する神経伝達物質で、アドレナリン、
>ノルアドレナリンの前駆体でもある。運動調節、ホルモン調節、快の感情、意欲、
>学習などに関わる。セロトニン、ノルアドレナリン、アドレナリン、ヒスタミン、ドーパ
>ミンを総称してモノアミン神経伝達物質と呼ぶ。またドーパミンは、ノルアドレナリン、
>アドレナリンと共にカテコール基をもつためカテコールアミンとも総称される。
>統合失調症の陽性症状(幻覚・妄想など)は基底核や中脳辺縁系ニューロンの
>ドーパミン過剰によって生じるという仮説がある。覚醒剤はドーパミン作動性に
>作用するため、中毒症状は統合失調症に類似する。強迫性障害、トゥレット障害、
>注意欠陥多動性障害(ADHD)においてもドーパミン機能の異常が示唆されている。


http://ja.wikipedia.org/wiki/エンドルフィン
>エンドルフィン (endorphin) は脳内で機能する神経伝達物質のひとつである。内在性
>オピオイドであり、モルヒネ同様の作用を示す。特に、脳内の報酬系に多く分布す
>る。内在性鎮痛系にかかわり、また多幸感をもたらすと考えられている。そのため
>脳内麻薬(のうないまやく)と呼ばれることもある。
>マラソンなどで長時間走り続けると気分が高揚してくる作用、いわゆる「ランナーズ
>ハイ」は、エンドルフィンの分泌によるものとの説がある。また、性行為をすると、
>β-エンドルフィンが分泌される。β-エンドルフィンは脳内麻薬の一種で、モルヒネ
>に比べて6.5倍の鎮痛作用がある。



   
 
HOME

 

 

inserted by FC2 system