トンデモない一行知識の世界 OLD - 唐沢俊一の「雑学」とは -

一部で有名な唐沢俊一の一行知識に、ツッコミを入れたり派生トリビアを書いたり。
「愚かで分別のない人と思われたいなら、唐沢俊一のトリビアを引用しなさい。」

 
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2009/1/17  12:13

『トンデモ創世記2000』で唐沢俊一の語る『星を喰った男』とY  資料編 (引用元明記の雑学等も含む)

『唐沢俊一編著』なんてことにした、あなたの方がゴロなのでは」の続きのようなもの。
そのときは、あまりチェックできていなかった、『トンデモ創世記2000』の記述について。

『トンデモ創世記2000』 P.86
唐沢● あれだけオカルト業界で悪逆非道を尽くしたYなんか、のこのこ
戻ってきて、皇室にゆかりがあるとかなんとかいって本出したり、最近の
『ムー』に載ったりしているわけじゃないですか。
志水● そうだよね(笑)。『噂の真相』に実名で出ちゃったのにね。イン
チキ対談でね。
唐沢● 覆面座談会で実名使われたんだよね。
志水● 記事のつもりで取材受けたんだけど、本が出てみたら匿名座談
会の一部になっていたという。

『噂の真相』に実名で出ちゃった」というのは、以前にも引用した、これ↓のことだろう。

『噂の眞相』 94年4月号
特集7「有名人やメディアが持ち上げるインチキ占い師の"正体"を暴く!」
>D 私も一人知ってるよ。山上智っていう業界ゴロ。もともと暴走族上がりの不良で、
>占いに興味をもったのも、シンナー中毒でトリップしたときの体験がきっかけ、という
>笑えるヤツ。まず、昔仮面ライダーなんかに出てた潮健児に取り入って、そのルート
>で清川虹子、京本政樹に近づいていったんだけど、清川虹子の息子の葬式のときに
>は、ここぞとばかりにマメに働いていたけどね。一度京本に会っただけで、周りの人間
>には「いやあ、京本はすっかり俺になついちゃって、会いたければいつでも言ってよ」
>だって(笑)。結局京本にはあんまり相手にされなかったみたいだけど。


志水一夫のいう「記事のつもりで取材受けたんだけど、本が出てみたら匿名座談会の
一部になっていたという」で、実際に誰が「取材受けた」のかは『トンデモ創世記2000』
の文章だけを読むと、志水なのか、それともYなのかというようにもとれる気がする。
しかし、上に引用した文章の内容からして、Y本人というのはまずない。『噂の眞相』の
編集者とつきあいのあったらしい志水が、唐沢俊一などから聞いた話を吹聴した可能性
は一応ある。

『トンデモ創世記2000』 P.87
志水● 以前、『噂の真相』にいた岩崎さんって人から、『宝島30』という
雑誌が出るんでって話を持ちかけられたんだけど、お互いに競合しちゃう
という結論になって実現しなかった。

ただし、匿名座談会の内容は、題名の「有名人やメディアが持ち上げるインチキ占い師
の"正体"を暴く!
」が示す通りで、いろいろな占い師の話。志水よりも、占い師のプロ (?)
である唐沢俊一に取材がいきそうな話ではある。

『トンデモ創世記2000』 P.87
唐沢● そう、「トイレットペーパー占い」のヒミコだとか、そういう人間を
集めたことがある。うちに来ればレディース・コミックの占いコーナーでも
何でも、いくらでも仕事あったから。で、占い師を集めたことがあるんで
すよ。そのときに、「俺が声をかければ占い師の五十人でも、百人でも
集まるよ」って近づいてきたのが、Yという奴でしてね。

『唐沢俊一編著』なんてことにした、あなたの方がゴロなのでは」では、唐沢俊一が
『カルト王』に書いた方の内容を引用しているけど、Yという人の話は『トンデモ創世記
2000』の中でも、かなりの紙数をさいて語られている。

『トンデモ創世記2000』 P.87 ~ P.88
唐沢● いい加減な男だな、もー! そのところでさ、志水さんが泣き
ついて来たって。そうなのか……と思ってたんですけど。で、彼が僕に
くっついてくればテレビ局とか出入りできると思っていてね。その頃、
僕は潮健児さんの自伝、『星を喰った男』というのを三年越しで本に
しようと企画を立てていて、で、潮健児さんを連れてテレビ局に行くと、
やっぱり現場のADクラスは『仮面ライダー』世代ですわ。直立不動に
なるんですよね。
志水● イーッ!(と、ショッカーの戦闘員のポーズをする志水氏)
唐沢● やっぱり「イーッ!」の世代ですよ。で、これは俺の方で、と
横取りしようと思ったんだろうな。うまいこと潮健児さんに吹き込んで、
「唐沢ってのは俺から借金して、金貸してくれって、うるせえんスよ」
みたいな話をして、「女は犯しまくるわ、金は持ち出すわ」って、それは
自分のことだろうが!

『星を喰った男』というのを三年越しで本にしようと企画を立てていて」……。

唐沢俊一自身が、出版を企画してから「丸二年」と単行本には書いていたのが、文庫本
では「四年の間」と、2 倍に延長していることについては「『星を喰った男』でも時空を歪ま
せた唐沢俊一であった
」に書いたけど、2000 年に出したこの本では、間をとったのか
三年越し」である。

『トンデモ創世記2000』 P.88 ~ P.89
唐沢● そんな話をあっちこっちで吹かれてたんですよ。潮健児さん
はコロリと騙されるタイプで、ある日突然、「本の企画をYさんに頼めば、
電通出版というところから出してくれるらしい」と言ってきたんだよね。
「悪いけどそれは信じられないな」という話をしてドタバタした。すんでの
ところでYがインチキだということがバレてですね、やっと潮さんも戻って
きたという次第です。
 逆にYがいなければ、潮健児さんは本を出した後もお元気に全国を
サイン会で回れたと思うんだよね。実際にそういう企画があったから。
全国のバンダイの支店のあるところで、札幌から縦断でサイン会をやり
ましょうって話をしてたんですよ。それがなんだかんだで一年くらい延び
ちゃって。そのうち病が重くなって、本が出たのに出版記念パーティー
の翌日に亡くなられた。あれはYの責任だと僕は思っている。僕が別冊
宝島に『オカルト業界の危険な奴ら』という原稿で彼のことを書いたところ
(編注:大和書房刊『カルト王』に収録)、潮健児さんの友人、知人、それ
からオカルト関係、ヒーリング、拳法とかの関係者までが、「よくぞ書いて
くれました」って電話をかけてきた。

『唐沢俊一編著』なんてことにした、あなたの方がゴロなのでは」の方では、以下の
2ちゃんねるの書き込みを、「電通出版」などと他に書かれてない情報があるので怪しい
みたいな書き方をしちゃったけど、『トンデモ創世記2000』の方に書かれていたのね。
お詫びのうえ訂正したい。

>644 :無名草子さん:2007/11/14(水) 18:42:10
>問題人物Y(オカルト業界で悪逆非道だったそうな)が潮氏に近づいてきて
> 「本の企画をYさんに頼めば電通出版というところから出してくれるらしい」
> と言いだした事があり、唐沢が「それはありえない話だ」と言いだし、潮氏と
>の間がギクシャクした事もあったらしいね(唐沢談だけど)。

>その事もあって、本の出版が一年ぐらい伸びてしまい、その間に潮氏の体調が
>思わしくなくなり、出版後にサイン会を日本各地で行う話も流れてしまい、
>本の出版記念パーティの翌日に亡くなったとの事。


もっとも、 http://tondemonai2.web.fc2.com/782.html にあるように、本人降臨説が出た
のは、下に引用する書き込みの「潮さんには内縁みたいに付き合っていた女性がいて
などが、「全部『星を喰った男』や裏モノ日記に出てくる話」ではなかったせいだけど。

>646 :無名草子さん:2007/11/14(水) 18:51:40
>>>642
>「詳しい」というか、全部「星を喰った男」や裏モノ日記に出てくる話だけどな。

>>潮氏の遺族と唐沢がその後モメた

>これも裏モノ日記に出てくるネタで、潮さんの実弟が弁護士を立てて土地の権利問題で潮
>さんと揉めていて、唐沢氏が潮さんの代わりに収めてあげたという話。
>潮さんには内縁みたいに付き合っていた女性がいて、彼女も死後に潮さんの葬式の
仕切りや
>お金のことであ~だこ~だ言ったらしいよ。

>唐沢俊一がやっていた芸能事務所って何のことかと思っていたが、古いコメディアン
>の小野栄一経営のオノプロのことだったんだな。妙な親戚がいるもんだ。


で、まあ、上記 646 の書き込みは誰が書いたにしても、内容は結局、(「星を喰った男」
や裏モノ日記ではなく) 唐沢俊一が『トンデモ創世記2000』で語ったことの要約みたいな
ものになっている。『トンデモ創世記2000』には、Yのせいで「本の出版が一年ぐらい伸び
てしまい
」とまでは明言されていないけど。

とにかく唐沢俊一によれば、「Yがいなければ、潮健児さんは本を出した後もお元気に
全国をサイン会で回れ
」るだけの時間が残されていたはずで、それが実現できなかった
のは、電通出版から本を出せるとか潮健児にいって出版を遅らせた「Yの責任だと僕は
思っている
」ということだ。

この唐沢俊一のいっていることは嘘っぽい。そして、嘘っぽく思わせているのは、他の
誰でもない唐沢俊一自身が、『星を喰った男』の巻末で述べている言葉だったりする。
文庫版の『星を喰った男』には載っていないこと」でも引用しているが、「編集・構成を
終えて」には、以下のように書かれているのだ。

『星を喰った男』 「編集・構成を終えて」 (単行本) P.344
>潮健児さんの本を出す出すと宣言してから、早くも丸二年が過ぎてしまった。出版界も
>またバブル崩壊の波をかぶって七転八倒の最中とはいえ、ここまでモタついたのはす
>べて企画・編集・構成者たる僕の責任である。最終的にこの企画を取り上げてくれた
>バンダイ出版課に心から感謝するとともに、潮さんご本人と、刊行を首を長くしてお待
>ちになっていたであろう潮さんファンの方々に改めて深くおわび申し上げたい。


1993 年の時点では「ここまでモタついたのはすべて企画・編集・構成者たる僕の責任で
ある
」と書いていたのに、志水との対談のあった 2000 年頃には、だいぶ意見を変えた
らしい。

それと気になるのが、唐沢俊一が理由としてあげている「出版界もまたバブル崩壊の波
をかぶって七転八倒の最中とはいえ
」というのと、「最終的にこの企画を取り上げてくれ
たバンダイ出版課
」の部分。バンダイという引き取り手がはなから存在していて、何事も
なければすんなり出版にこぎ着けたようには読めない。むしろ、出版界が「バブル崩壊の
波をかぶって七転八倒の最中
」という情勢の中、なかなか本が出せそうもないと思って
いたところに持ち上がった電通出版の話――と考えた方が辻褄があうと思う。

バンダイについて潮健児自身は、あとがきで感謝の気持ちを述べている。「文庫版の
『星を喰った男』には載っていないこと
」に書いたように、「仕事の枠を超えてこの本に
入れ込んでくださったバンダイの加藤智課長
」などの部分は、早川書房の文庫版では
勝手に削除されてしまっているが……。

『星を喰った男』 「あとがき」 (単行本) P.337
>最後になりましたが、出版の企画から編集・構成までお一人ですっかりやっていただ
>いた唐澤俊一さん、仕事の枠を超えてこの本に入れ込んでくださったバンダイの加藤
>智課長、拙い本に対し過分のお言葉をお寄せいただきました清川虹子様、池部良様、
>出版までにいろいろお手数ご迷惑をおかけした大野浩さん、なみきたかしさん、藤井
>敏夫さん、装丁・イラストレーションを引きうけてくれた片山雅博さん、そして、誰よりも、
>銀幕の中の私の姿をお心に留めて下さり、いままたこの本を御購読下さいました皆様
>に、改めて、衷心より熱く御礼申し上げます。


Yという人が話を持ちかけた時点で、「仕事の枠を超えてこの本に入れ込んでくださった
バンダイの加藤智課長
」がいたとしたら、唐沢俊一の悪口を吹き込まれたからといって、
潮健児が電通出版に乗り換えようとしてもめたというのは考えにくい。

『トンデモ創世記2000』で唐沢俊一のいったことのみを考えても、先に引用したように、
ある日突然、『本の企画をYさんに頼めば、電通出版というところから出してくれるらしい』
と言ってきたんだよね。『悪いけどそれは信じられないな』という話をしてドタバタした
」と
いうことになっている。

「いやバンダイということで話が進んでいるから」ではなく、「他の出版社からも話がきて
いるんだから」でもなく、「悪いけどそれは信じられないな」。それだけだ。

これも「『唐沢俊一編著』なんてことにした、あなたの方がゴロなのでは」に書いたけど、
単行本の『星を喰った男』は、潮健児が「脱稿」してからおよそ 1 年も経ってからの出版
であると思われる。

Yという人がたとえどんなにタチの悪い人であったとしても (個人的には、どうせ唐沢俊一
のいうことだし、ゴロでも何でもなかったんじゃないかとも思っているが)、何をどうすれば
出版を 1 年も延期させるほどのトラブルを発生させることができるのかは疑問に思う。
そんなことができたとしたら、逆に大したものである。

まあ、推測するに、「全国のバンダイの支店のあるところで、札幌から縦断でサイン会を
やりましょうって話
」が実現しなかったというのは、唐沢俊一にとってよほど残念なことで
あったのだろう。第三者から見ても、潮健児の体調が許しさえすれば、実現してほしかっ
た企画かなと思えるし、唐沢俊一にとっては生まれ故郷の札幌を皮切りにということに
なるのだからなおさら、惜しい話だったと後々まで思い続けたとしても無理はない。

しかし、それは、自分がかつて「バブル崩壊の波をかぶって」とか、「ここまでモタついた
のはすべて企画・編集・構成者たる僕の責任である
」と書いたことなどを全部なかった
ことにして、ひたすら他人のせいにしてよい理由にはならないとも思う。



   
 
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