トンデモない一行知識の世界 OLD - 唐沢俊一の「雑学」とは -

一部で有名な唐沢俊一の一行知識に、ツッコミを入れたり派生トリビアを書いたり。
「愚かで分別のない人と思われたいなら、唐沢俊一のトリビアを引用しなさい。」

 
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2009/1/4  18:20

チベットもウガンダも似たようなもんという大胆な使い回し  『トンデモ一行知識の逆襲』間違い探し編

『トンデモ一行知識の逆襲』 P.178
処刑方法もユニークで、ふたりの囚人を並んで座らせ、それぞれに大きな
ハンマーを持たせて互いを殴り合わせる。最初は拒否している囚人も、
おどされて殴り合い、血を見ると次第に興奮してきて、しまいには兄弟や
親子であっても血みどろになって絶命するまで殴り合った、という。まさに、
人間性を極限まで踏みにじる処刑法だ。処刑室の壁は、犠牲者の血と脳漿
でべっとり濡れていたという。

前エントリー同様、ウガンダで独裁政治を敷いていたイディ・アミン (Idi Amin) について。

唐沢俊一の書いているアミンの拷問方法は、以下の 2 つの文章を混ぜたような感じだ。

[1] - http://ryoshida.web.infoseek.co.jp/kaiki/23amin.htm
>アミンは自分の政権に反論を唱える者に対しては容赦がなかった。ウガンダにある
>マッキンディエ刑務所では、アミンみずからが考案した拷問方法により、多くの囚人
>たちがその命を断たれた。
>刑務所の中では、囚人たちはびっしりと釘の打ち込まれた床の上をハダシで歩かされ
>る。そして夜になると独房に入れられる。だが、頻繁に突然呼び出しがかかる。全員、
>ある部屋に集合しろというのだ。
>囚人たちが呼ばれた部屋に入ってみると、そこには、丸太にくくりつけられて逆さ吊り
>にされ、ほとんど死にかけている別の囚人の姿があった。性器の部分には針金まで
>巻かれている。
>看守が別の囚人に「こいつの頭をハンマーで殴って殺せ。」と命じる。嫌だと言えば
>自分自身が殺されるから、その囚人も言われた通り、拷問にかかっている囚人の頭を
>ハンマーでうち砕く。室内に異様な音が響く・・。


[2] - 『トンデモ一行知識の世界』 P.148
>次に、ふたりに小さいペンチのようなものが手渡され、それで、お互いに、お互いの
>歯を、一本残らず抜き取るように命令される。
>  最初は涙を流して、なかなかできずにいる親子や兄弟も、一本抜き、二本抜いてい
>るうちに興奮し、最後には仇同士のように、口を血だらけにして相手の歯を抜こうと
>して懸命になる、という。


唐沢俊一が別の本に書いた [2] の方がより似ているというか、ハンマーで叩くか小さい
ペンチで歯を抜くかの違いくらいで、ほぼそのまま使い回し状態である。

問題は、なぜ、アミンの拷問について書いている [1] などよりも、唐沢俊一がチベットの
拷問方法について書いたはずの [2] にそっくりでなければいけないのかということだが。

[2] の文章は、「久生十蘭の小説だけでチベットを語る?」のエントリーにも引用したもの。
そちらは、唐沢俊一が久生十蘭の小説の記述だけを元に、「歴史上、もっとも拷問方法を
発達させた国はチベットだった
」などと書いている件についてのエントリー。

唐沢俊一はまた、チベットの拷問について『社会派くん』で、こう語っている。

http://www.shakaihakun.com/vol075/04.html
>唐沢 〈略〉 さらに昔だと、久生十蘭の『新西遊記』って小説に、門外不出の秘教で
>あるチベット仏典を国外に持ち出そうとした者たちの拷問・処刑法が微に入り細を穿っ
>て書いてあるから読んでみるといい。このオレがこれまで読んだり聞いたりした中で一
>番の残酷さだと言えば度合いがわかるだろうと思うが(笑)。


そう語った唐沢俊一本人だけが、チベットと同じような拷問を、アミンも実行していたかの
ように書いているのは皮肉なことだ。「歴史上、もっとも拷問方法を発達させた国はチベッ
トだった
」と語ったそのときには、自分が『トンデモ一行知識の逆襲』に何をどう書いたか、
すっかり忘れていたのだろうけど。



   
 
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