トンデモない一行知識の世界 OLD - 唐沢俊一の「雑学」とは -

一部で有名な唐沢俊一の一行知識に、ツッコミを入れたり派生トリビアを書いたり。
「愚かで分別のない人と思われたいなら、唐沢俊一のトリビアを引用しなさい。」

 
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2008/12/??  ??:??

早漏防止なんて試していないんでしょう、唐沢俊一先生?  『トンデモ一行知識の逆襲』間違い探し編

『トンデモ一行知識の逆襲』 P.184
 医療用薬品としてセンソは作用時間の短さが問題とされ、あまり用いら
れないが、中毒作用も大きいジギタリス製剤と比べ、安心して投与できる
という点で、大きく見直されるべき成分だろう。

『トンデモ一行知識の逆襲』 P.185
 なお、センソは救心の原型である六神丸の成分であるほか、局所麻酔
作用も持ち、男性の早漏防止薬としての「長命丸」などに江戸時代から
配合されてきた。現在でも、救心を噛み砕いたものを、外用としてその
目的に使う人が多いと聞く。
 この件に関して、以前救心製薬の人に直に質問したところ、
「そういう使い方をする人もいらっしゃるようです」
と、肯定的だった。そういうところ、鷹揚になれるのも、体に優しい生薬
成分のみで製造されている、という品質への信頼があるためか。


以前に「確かに瞑眩は『めんけん』とも読むけど『面験』とは違うのでは」のエントリーで
取り上げた『唐沢俊一のカルト王』の件では、瞑眩と副作用の区別がつかないばかり
か、瞑眩と面験の区別も怪しいというのを露呈してくれていたが。

あちらでは、漢方薬にだって副作用はあるぞ (それはそれで正しい) と主張していたかと
思えば、こちらでは、センソなら安心して投与できる、生薬ならば体にやさしいから安心と
妙に持ち上げている。救心の会社でさえ、こんな無邪気な宣伝はしていないのだが。

救心は安心して服用できると救心製薬株式会社がいっているのは、一般用医薬品として
そのようにつくっているから。センソ(蟾酥)が生薬だからではない。

http://www.kyushin.co.jp/about/shitumon.html
>“『救心』は心臓の薬だから強い薬”と思われている方がいらっしゃいますが、『救心』
>は医師の処方箋のいらない一般用医薬品(大衆薬)であって、作用の穏やかな生薬
>で出来たおクスリです。心臓の薬というより全身の血流を改善するおクスリで、滋養
>強壮生薬も多く配合されておりますので、普段からお身体をいたわる意味で保健薬と
>して多くの方に服用して頂いております。

そもそも、「中毒作用も大きいジギタリス製剤と比べ」と、唐沢俊一が比較の対象にして
いるジギタリス。「今日では化学的に合成される」が、もともとは植物のジギタリスを温風
乾燥して使っていた西洋生薬。化学的に合成されるようになったとたん、安全に投与でき
なくなったわけでは、もちろんない。

http://dic.yahoo.co.jp/dsearch?enc=UTF-8&p=生薬&dtype=0&stype=1&dname=0ss&pagenum=1&index=109641600000
>しょうやく[しやう?] 1 【生薬】
>植物・動物・鉱物などを、そのままで、あるいは性質を変えない程度に切断・破砕・乾
>燥するなどの簡単な加工・調製をして、薬用に供するもの。漢方薬・民間薬のほか、
>医薬品原料・香辛料・香粧料などに広く用いられる。草根木皮や犀角(さいかく)・熊胆
>(くまのい)・牡蠣(ぼれい)などの類。きぐすり。

http://ja.wikipedia.org/wiki/ジギタリス
>ジギタリス (digitalis) とは、ゴマノハグサ科の2年草、多年草。全体にジギトキシン、
>ジゴキシンなどの強心配糖体を含み、これらはジギタリスの葉を温風乾燥したものを
>原料としていたが、今日では化学的に合成される。 別名 キツネノテブクロ

そして、センソにもジギタリスにも、構造が類似した強心ステロイドが含まれる。救心
に含まれるセンソの方が「代謝や排泄のスピードが早い」という利点はあるとしても、
「中毒作用も大きいジギタリス製剤と比べ、安心して投与できる」といえるかどうか。
救心との併用をお勧めできないのは、ジギタリス製剤も、センソが配合されている他の
製剤 (六神丸など) も同じなのだ。

http://www.kyushin.co.jp/about/shitumon.html
>ジギタリス類は入っていませんが、成分中のセンソ(蟾酥)にはジギタリス類と化学
>構造が類似した強心ステロイドが含まれるため、同様な作用を示します。ですから、
>ジギタリス類のお薬を服用中の方は『救心』の服用を控えてください。ただし、センソ
>中の強心ステロイドはジギタリス類とは異なり、代謝や排泄のスピードが早いので、
>身体におクスリが蓄積するようなこともなく、中国、日本を含めた東アジアで長い間
>利用されてきた歴史があります。

http://www.kyushin.co.jp/about/shitumon.html
>『救心』中の蟾酥(センソ)には医療用のジギタリス製剤と類似作用を持つ強心ステ
>ロイドが含まれており、作用増強の可能性がありますのでジギタリス製剤との併用は
>避けてください。また、一般用の六神丸製剤には蟾酥(センソ)が配合されております
>ので同様に併用はお薦めできません。これら以外の薬との併用に関しては、まず問題
>ないと考えますが、念のため服用間隔を2時間以上あけてください。

さらに、唐沢俊一が主張する「早漏防止薬」としての使用。確かに、「局所麻酔作用」の
せいで、「口の中で溶かすようにして服用すると、舌や口中がシビレたように」なるとの
こと。そのため、「口中に長くとどめないようにしてお飲みください」と注意している。

http://www.kyushin.co.jp/about/shitumon.html
>『救心』をなめたり、口の中で溶かすようにして服用すると、舌や口中がシビレたよう
>になります。このシビレ感は、成分中のセンソ(蟾酥)に局所麻酔作用があるために
>生じるものです。個人差もありますが、通常、このシビレがなくなるまでには数時間
>以上かかることもありますので、服用する場合は水かお湯で口中に長くとどめない
>ようにしてお飲みください。

救心製薬の人が本当に 「そういう使い方をする人もいらっしゃるようです」かどうかも
疑問だが、たとえそういったとしても、それが唐沢俊一のいうような「肯定的」な回答か、
「そういうところ、鷹揚になれるのも、体に優しい生薬成分のみで製造されている、という
品質への信頼」かどうかは……口や舌をシビレさせるから注意しろといっているものを、
局部なら早漏防止なら使って OK と製造元が鷹揚に構えているなんて、唐沢俊一の
妄想でしかないだろう。いや、唐沢俊一自身、実際に試したらヤバいと思っているから、
自分で試して、その結果を公表したりとかはしていないのだろう。

その他参考 URL:
- http://www2.odn.ne.jp/%7Ehad26900/about_souyaku/about_digitaris.html



   
 
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