トンデモない一行知識の世界 OLD - 唐沢俊一の「雑学」とは -

一部で有名な唐沢俊一の一行知識に、ツッコミを入れたり派生トリビアを書いたり。
「愚かで分別のない人と思われたいなら、唐沢俊一のトリビアを引用しなさい。」

 
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2008/12/15  21:29

『星を喰った男』の「文庫版あとがき」 1 ページ目  資料編 (引用元明記の雑学等も含む)

『星を喰った男』の「文庫版あとがき」 1 ページ目について。

唐沢俊一による前書きにあたる「文庫版読者の皆様へ」については、「『星を喰った男』
の著者が唐沢俊一というのは文庫版の嘘だとしか
」を参照のこと。

『星を喰った男』 (文庫版) P.339
文庫版あとがき

 潮でございます。
 このたびは私の拙い自伝を文庫という形で若いみなさまにお読みいた
だけると聞き、本当にうれしく、ありがたく思っております。
 拙いとは申しましたが、以前この本を単行本として出版していただいた
ときには、驚くほど多くの雑誌等で、型破りの面白い自伝だ、とお褒めの
言葉をいただき、ただでも大きな鼻を、自慢でさらにいささか、ふくらませ
たものでございます……

 と、言うような楽しい言葉を、この文庫化にあたって寄せてくれただろう
潮さんは、残念ながら、もうこの世の人ではない。マスコミ等の報道でご
存じの通り、一九九三年九月十九日(自分の本の出版記念パーティが
開かれた二日後)の未明、潮さんは虎ノ門病院梶ヶ谷分院において、
鬼籍に入ってしまわれた。二日後といっても、午前零時二十九分、まだ
日付が変わってほとんど間もない時間で、パーティのちょうど翌日、と
言ってもいいくらいだった。

潮でございます。〈略〉ふくらませたものでございます……」は、文庫化にあたって潮健
児が「寄せてくれただろう」言葉としては、あまりにちぐはぐだし、唐沢俊一が自画自賛
するような「楽しい言葉」とはほど遠い。

ただでも大きな鼻を、自慢でさらにいささか、ふくらませたものでございます」のあたり
は、いかにも唐沢俊一らしい文章であるが、潮健児らしいと思わせる文章ではないし。
これに相当するようなトーンの文章は、『星を喰った男』の本文の中にはない。

単行本の『星を喰った男』を読んで少々意外だったのは、唐沢俊一の文章のもつ下品
さや悪い意味でのアクの強さや臭み、自慢話の嫌ったらしさが感じられない本だった
ことだ――残念ながら文庫版では、唐沢俊一によるこの「文庫版あとがき」があるせいで、
そうもいってられないけど。潮健児の語ることには下ネタも多いし、まあ自慢話も多いの
だけど、言及する人たちへの気配りのいきとどいた、人間としての品を感じさせる文章
だった。品の良さや格好の良さは、他の唐沢俊一著の本にはない特徴である。

それに、ファンや映画人の反応についてはいっさい言及しないで、「驚くほど多くの雑誌
等で、型破りの面白い自伝だ、とお褒めの言葉をいただき
」などと、雑誌等の評のみを
気にしたようなことを書いて終わりにするのは、潮健児の文章にしてはあまりに不自然
で、唐沢俊一自身の思っていただろうことが全面に出てしまったものにしか見えない。

さらに、すごく気になる「拙い自伝」という表現。潮健児の文体模写もどきの中とはいえ、
拙い自伝」と、故人の作品を貶めるようなことを書くその無神経さが……。

確かに、潮健児は「拙い文ではございますが」 (P.12、「はじめに」の最後の方) とか、
生まれて初めて、つたない文章を書こうという映画バカ」 (P. 20、こちらで引用) とか
謙遜して書いているが、潮健児の物真似をするにあたり、冒頭にこれをもってこなけ
れば始まらないというフレーズでもないのだが。

なお、唐沢俊一の文体模写もどきは、潮健児による「はじめに」の文章が元となって
いて、その最初の部分は以下の通り。興味のある方は、あわせて参照して比較して
みるのもよいかも。

『星を喰った男』 (文庫版) P.11
> 潮健児でございます。名前を聞いてもおわかりにならない方でも、顔をごらんになっ
>ていただければ、ああ、どこかで見た顔だな、と思い出していただけるんではないかと
>思います。俳優生活四十七年、その間に三百五十本以上の映画、百本以上のテレビ
>に出し続けさせていただきました。そのほとんどが脇役、悪役でございまして、若山
>富三郎さんはじめ、鶴田浩二さん、高倉健さんといった大スターの方々の主演なさっ
>ている映画の、銀幕のすみっこに、顔を出してまいりました。


(2 ページ目に続く)



   
 
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