トンデモない一行知識の世界 OLD - 唐沢俊一の「雑学」とは -

一部で有名な唐沢俊一の一行知識に、ツッコミを入れたり派生トリビアを書いたり。
「愚かで分別のない人と思われたいなら、唐沢俊一のトリビアを引用しなさい。」

 
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2008/11/15  14:52

美食と悪食の境界に悩まずどちらもいっしょくたに?  その他の雑学本 間違い探し編

『キッチュワールド案内』 P.64
 旅行会社に勤めた経験のある人に聞いたのだが、とにかく、いま、海外
旅行の添乗員で一番疲れるのが、四十代くらいの女性たちのツアーである
らしい。
〈略〉
中でも、一番要求の厳しいのは食事なのだそうだ。とにかく、日本では食べ
られないもの、日本の知人友人に珍しがられるもの、というのを厳しく注文
つけられるという。二十年くらい前までは、北京ダックを饗しても“アヒルの
皮だなんて、気持ち悪い”という女性が多かったのにである。


『キッチュワールド案内』 P.66
 かの地で街の露店をぶらつくと、イナゴやゲンゴロウ、竹の中に寄生する
イモムシ、親指大のカエル、タガメ、ガのサナギなどが、いずれも塩味で
炒められて、皿に山盛りになっている。こういうものを“あら、珍しい”と口に
する観光客は、女性の方が多いそうである。好奇心というものが少女の
成立条件のひとつだが、それは昨今は食の方面に大きく向けられている
らしい。

上の 2 つはどちらも、『キッチュワールド案内』の「女性とその味覚――ゲテもの論」より。

『キッチュワールド案内』の初版は 2002 年で、前書きによると早川書房『SFマガジン』
に 1999 年から 2001 年まで「連載した原稿を元に、適宜他の雑誌に掲載されたものも
合わせ、大きく改稿してまとめたもの
」とのこと。

その「二十年くらい前」といえば 1980 年前後。北京ダックは高級料理として知られてい
たし、それが共通認識 (唐沢語ではパブリックドメイン?) にまだなっていない時代であっ
ても、「“アヒルの皮だなんて、気持ち悪い”という女性が多かった」とは考えにくい。
皮しか食べないのかと珍しがられたり、それが高級料理とは釈然としないと思われたり
したというのならまだありそうだが、ローストした鳥の皮に対し「気持ち悪い」と反応する
のは、よほど鳥の皮が嫌いな人くらいなものだろう。

http://www.shokuzaishiire.com/isyokudougen/080827.html
>40年ほど前になるだろうか。その昔、日本では北京ダックは皮だけ食べて、残りの肉
>や内臓は捨ててしまうといわれ、それが宮廷料理独特のムダを好む贅沢さに思われ
>ていた。


http://ja.wikipedia.org/wiki/北京ダック
>パリパリに焼いたアヒルの皮だけを削ぎ切りにし、小麦粉の皮に包んで食べる料理で
>ある。コース料理の場合は、残った肉の部位は肉料理に加工して食べる。骨からは
>スープを作る。通常は皮、肉、骨の三点セットだが、水かきは辛子和えし、肝臓は素
>揚げにして食べる事もある。無駄なくアヒルの全ての部位を楽しむ事が出来る料理で
>ある。


気持ち悪い」は「アヒル」にかかるのかとも考えたが、アヒルの方も「こんなものを食べる
のか」という感想を引き出しそうなものではないし。北京ダックは鴨料理というイメージも
強いけど、鴨ととらえればそれこそ鴨鍋ともいうくらいで食材的には無問題。

http://japanese.northeast.cn/system/2008/09/02/000078115.shtml
>言い伝えによると、北京ダックの名の由来となった、当時、貴重な品種とされた北京カモ
>は、今では世界でも最も優質の食用カモとなっている。


http://www.discas.net/netdvd/goodsDetail.do?pT=0&titleID=0088011987
>アヒルとは野生のマガモが人間に飼われていくうち、種類にもよりますが、体が大きく
>重くなり、襲われることが少なくなってきたので、翼が小さくなって数メートルほどしか
>飛ぶことが出来なくなりました。でも鴨は飛びます。アヒルとマガモの交配種が、合鴨
>です。合鴨は飛ぶことが出来ます。


まあ「旅行会社に勤めた経験のある人に聞いた」というのが本当だと仮定すれば、その
元添乗員の人にとって「“アヒルの皮だなんて、気持ち悪い”」とまでいうお客さんがいた
というのが相当意外なこと (そうでなければツアーに組み込むのも慎重になったはず) で
印象深く、そのため後々まで語りぐさにしていたのではないかと思うのだが、唐沢俊一
は、そういう女性は「多かった」とする。おそらく、その後の文章の「イナゴやゲンゴロウ、
竹の中に寄生するイモムシ、親指大のカエル、タガメ、ガのサナギなど
」を平気で食べる
最近の女性というのと対比させるために (タイはもっと前から人気の旅行先ではなかっ
たっけというのはおいといて)。

http://ja.wikipedia.org/wiki/昆虫食
>市場で売られる食用昆虫。イナゴ、竹虫、蛹、コオロギ、サソリ、ゲンゴロウ、タガメ。
>(タイ、バンコク市内)


それにしても、旅行先で「日本の知人友人に珍しがられるもの」、話のタネになりそうな
料理を求める人は確かに多いだろうけど、そういう人たちが皆、いわゆるゲテモノに走る
かといえば違うだろう。唐沢俊一は、珍しい料理すなわちゲテモノ料理 (主に昆虫食?)
と短絡的に思っていて、北京ダックも昔はゲテモノ扱いということにしたとも考えられる。
単に、少ない持ちネタをやりくりして、強引につなぎあわせたらこうなったというだけの
話かもしれないけど。

その他参考 URL:
- http://japanese.northeast.cn/system/2008/09/02/000078115.shtml
- http://tenant.depart.livedoor.com/t/a4475117/item783324.html

関連ガセビア (同じ「ゲテもの論」の中):
血糖値を上げてもイラつきは静まりません



http://love6.2ch.net/test/read.cgi/books/1226193561/169-

169 :無名草子さん:2008/11/10(月) 13:37:32
『キッチュワールド案内』 ゲテもの論 P.64

>二十年くらい前までは、北京ダックを饗しても“アヒルの皮だなんて、気持ち悪い”
>という女性が多かったのにである(註:2002年発行)。

 同じくP.66 バンコクではイナゴ、ゲンゴロウ、イモムシ、カエル、タガメ、ガのサナギなどが
饗されるとして、

>こういうものを“あら、珍しい”と口にする観光客は、女性の方が多いそうである。好奇心というものが
>少女の成立条件のひとつだが、それは昨今は食の方面に大きく向けられているらしい。

20年前北京ダックも気持ち悪がって食べられなかった日本の女性のこの豹変振りはなぜ?

238 :無名草子さん:2008/11/11(火) 01:20:07
>>169
いくら何でも、2002年 - 20年 = 1982 年の時点で、北京ダックを
ゲテモノとして嫌う女性が多かったとは思えないけどなあ。
とにかくトリの皮は嫌いだという人はいたかもしれないけど、
そうだとしたら、ゲテモノがどうこうじゃなくて、好き嫌いの範囲だし。

239 :無名草子さん:2008/11/11(火) 07:23:07
>>238
いないよそんな人。
80年代なら「高級な料理」のイメージしかない。



   
 
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