トンデモない一行知識の世界 OLD - 唐沢俊一の「雑学」とは -

一部で有名な唐沢俊一の一行知識に、ツッコミを入れたり派生トリビアを書いたり。
「愚かで分別のない人と思われたいなら、唐沢俊一のトリビアを引用しなさい。」

 
旧 URL は、http://diary.aol.com/yzuc9ww/747.html
文字列の一括置換をかけた都合上、旧ブログのコメント欄および2ちゃんねるのスレからの引用の中の URL も全部新 URL に置き換わっていますことを、あらかじめご了承ください
http://tondemonai2.blog114.fc2.com/ で続きの Blog をやっています
   
 

2008/10/31  12:07

本当は野生でも生きていけるホワイトタイガー  その他の雑学本 間違い探し編

「裏モノ日記」 2003年 03月 24日 (月曜日)
http://www.tobunken.com/diary/diary20030324000000.html
現在の動物園は、見世物としてだけではなく、種を保存するという役割が
ある。ホワイトタイガーのようなアルビノはもともと劣性遺伝子の蓄積なの
だから、免疫力が弱く、寿命も短い。カムフラージュのための体色が役に
立たないのだから、そもそも野生に置いたらロクに獲物もつかまえられず、
生存競争からは脱落せざるを得ないだろう。

http://s03.megalodon.jp/2008-1030-0333-33/www.tobunken.com/diary/diary20030324000000.html

ホワイトタイガーはアルビノではなく、ベンガルトラの白変種。

先天的にメラニンが欠乏する遺伝子疾患であるアルビノとは異なり、白変種の遺伝情報
は正常で、メラニンに関わる遺伝情報の欠損はない。虎のアルビノの虹彩が青い色で、
体表に縞模様もないのに対し、ホワイトタイガーの目の色は普通の虎と変わらないし、
縞模様だってある。アルビノとは違って、メラニンの欠乏による白ではないのだ。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%e7%94%bb%e5%83%8f:Singapore_Zoo_Tigers_cropped.jpg
http://ja.wikipedia.org/wiki/%e7%94%bb%e5%83%8f:Panthera_tigris_tigris.jpg

メラニンの欠乏により、アルビノの個体は視覚に障害をもつものが多く、紫外線による
皮膚損傷や皮膚ガンを起こしやすい。唐沢俊一のいう「劣性遺伝子の蓄積なのだから
免疫力が弱く」というのは、首をひねる表現。アルビノは突然変異で発現することがある
という問題もあるし。

カムフラージュのための体色が役に立たないのだから 〈略〉生存競争からは脱落せざ
るを得ないだろう
」というのも、少し変。確かに白い色は目立ちやすく、雪や氷の地を背景
にするとき以外は生存競争に不利にはたらくことも多いだろうが、ホワイトタイガーもホワ
イトライオンも野生での生息が確認されている動物なのに。

まあ要するに、唐沢俊一の脳内では、ホワイトタイガーはアルビノで虚弱、「野生に置い
たらロクに獲物もつかまえら
」ないので、動物園などの中で保護されないと生きていけな
い動物なのだろうということなのはわかる。どれも事実誤認だが。

http://ja.wikipedia.org/wiki/トラ
>ホワイトタイガーはアルビノとは異なり、基亜種の白化型である。ホワイトタイガーは、
>普通のトラでは黄色になる部分の毛が白く、かつ黒縞の色が薄い。元々本種は北方
>の寒冷地で誕生した(トラの北方起源説)とされ、保護色として体毛が白くなる遺伝子
>を持っていることは、特に驚くべきことではない。


http://ja.wikipedia.org/wiki/アルビノ
>アルビノ(albino 羅"albus;白い + ino" 英:albinism)とは、メラニンの生合成に係わる
>遺伝情報の欠損により先天的にメラニンが欠乏する遺伝子疾患、ならびにその症状
>を伴う個体のことである。
〈略〉
>劣性遺伝や突然変異によって発現する。広く動物全般に見られ、シロウサギやシロ
>ヘビが有名である。ほとんどの場合、視覚的な障害を伴い、日光(特に紫外線)による
>皮膚の損傷や皮膚がんのリスクが非常に高い。また外部から発見されやすく、自然界
>での生存は極めてまれである。
〈略〉
>ホワイトタイガー - ベンガルトラの白変種。黒い縞模様を持つ個体はアルビノではな
>い。青い虹彩と消失した縞模様の個体はアルビノである。誤解を避けるため、英語で
>はチンチラタイガーと呼ばれることもある。


http://ja.wikipedia.org/wiki/白変種
>白変種(はくへんしゅ)とは、正常な遺伝情報により、体毛・羽毛・皮膚等が白化した
>動物の個体をいう。メラニンに係わる遺伝情報の欠損により白化したアルビノとは異
>なる。代表的な白変種としては、南アフリカで野生での生存が確認されているホワイト
>ライオンや、インドのホワイトタイガーが有名である。
>従来、白変種は突然変異によって誕生した希少種と考えられてきた。〈略〉しかし白い
>動物の個体そのものは、〈略〉全ての脊椎動物に広く存在が確認されており、そのため
>現在では、白変種に関わる遺伝情報は、生物にとって正常かつ基本的なものと考え
>られるようになった。また、ホッキョクグマ・ホッキョクギツネ・ハクチョウ等、生息環境
>の影響から白変種が集団の中心となっているものもある。


関連ガセビア
アオダイショウ以外の白ヘビもいるよ


追記 : 「劣性遺伝子の蓄積なのだから、免疫力が弱く、寿命も短い」について。
コメント欄での話を受けて、試しにまとめてみた。

1. 当然ながら、劣性遺伝子は、劣った形質の遺伝子であることを意味しない。語感から、
  ときどきそのように勘違いされるようだけど。優性は発現しやすく劣性は発現しにくいと
  いうだけの話。誤解されにくくするため、顕性・潜性と呼ぶようにしようという動きもある。

2. 優性であるか劣性であるかに関係なく、多くの遺伝子は、生存に有利か不利かには、
  あまり関係しない。例 : 耳あかが乾いているか湿っているか (前者が劣性)。

3. 生存に不利な遺伝子は、劣性遺伝子として伝えられていることが多い。生存に不利な
  優性遺伝子は、その発現しやすさのために、自然選択で取り除かれやすいので。

4. 近親交配の場合は、どちらの親も共通の劣性遺伝子を持っている可能性が高いため、
  近親交配以外ではめったに発現しないような、劣性遺伝子の形質が発現する確率も
  高くなる。その形質が生存に不利なものだった場合は、先天性の病気や障害という形
  であらわれる。

で、唐沢俊一のいう「劣性遺伝子の蓄積なのだから、免疫力が弱く、寿命も短い」は、
1. と 2. を無視し、 3. や 4. にばかり着目した結果の表現ではないかと。

「"劣性遺伝子の蓄積"」と二重引用符つきでググった結果は、唐沢関係以外でのヒットは
3 件ほど。「蓄積」という表現が間違いかどうかは保留にするとして、どれも近親交配絡み
での使用だった。

http://ja.wikipedia.org/wiki/遺伝形式
>ある形質が常染色体上の遺伝子にコードされているとき、その形質が実際の身体的
>特徴として発現するためには、1対の遺伝子の一方に形質がコードされていれば発現
>する場合と(優性)、双方にコードされていなければ発現しない場合(劣性)がある


http://ja.wikipedia.org/wiki/優性遺伝
>優性遺伝とは、遺伝による形質の発現の種類の一つ。「優性」という言葉が誤解を
>招きやすいことから、近年では顕性遺伝という呼び方もある。


http://ja.wikipedia.org/wiki/劣性遺伝
>往々にして劣性という語感から「劣った性質」と見なされるが、そのような意味はなく、
>単に表現型として表れやすいかどうかを意味するものである。また、園芸植物などでは
>往々にして劣勢形質の方が喜ばれる形質である。


http://ja.wikipedia.org/wiki/近親交配
>近親交配の特徴は、両親の血縁が近いため、その両者が共通の劣性遺伝子を持って
>いる可能性が高くなることである。ここで言う優性劣性とは、形質の優劣の意味ではなく、
>遺伝学の用語である。〈略〉両親から同一の遺伝子をもらった場合のみにその形質が
>現れるのを劣性の遺伝子、どちらか片親からその遺伝子をもらっただけで形質に現れる
>遺伝子を優性の遺伝子という。
〈略〉
>遺伝子の中には(耳垢のように)生存に無関係のものが多いが、有利さをもたらすもの
>や不利さをもたらすものもある。それらはそれぞれ優性の場合もあれば劣性の場合も
>ある。集団内で見れば、生存に不利な遺伝子のうち、優性のものは高い頻度で発現
>する。そのような遺伝子を受け継いだ個体は生存と繁殖上不利であるから自然選択に
>よって取り除かれる。一方劣性の不利な遺伝子は、その発現のしにくさゆえに取り除
>かれにくい。そのため、現生生物のほとんどの種では生存上不利な遺伝子は、突然
>変異を除けば、おおむね劣性遺伝子として伝えられている。またそのような遺伝子を
>持つ系統は、持たない系統に比べて繁殖上やや不利であるため(子孫にはある程度
>の割合で発現する者が現れるので)、集団全体から見れば劣性の不利な遺伝子の
>割合も少数派になるのが普通である。
>個体について言えば、一般的な交配(血縁関係の遠い個体との交配)ではそのような
>少数派の劣性遺伝子を両親とも偶然に持っていることは少ない。〈略〉しかし近親交配
>の場合には、両親が同じ劣性遺伝子を持つ可能性が高いため、その劣性遺伝子が子
>に伝わって発現する可能性が高まる。端的に言えば先天性の病気や障害が起きやすく
>なるのである。


その他参考 URL:
- http://ep.blog12.fc2.com/blog-date-200602.html
- http://ja.wikipedia.org/wiki/リキッド・スネーク



http://love6.2ch.net/test/read.cgi/books/1224589375/146-

146 :無名草子さん:2008/10/23(木) 11:46:06
裏モノ日記
http://www.tobunken.com/diary/diary20030324000000.html

>ホワイトタイガーのようなアルビノはもともと劣性遺伝子の蓄積なのだから、免疫力が
>弱く、寿命も短い。カムフラージュのための体色が役に立たないのだから、そもそも
>野生に置いたらロクに獲物もつかまえられず、生存競争からは脱落せざるを得ないだろう。


ホワイトタイガーはアルビノではない。「劣性遺伝子」の意味が分かっていない。理科系ネタは馬鹿には
書けないと、何度言わせるのだ。

147 :無名草子さん:2008/10/23(木) 11:48:31
>「劣性遺伝子」の意味が分かっていない
メタルギア並みだなw

148 :無名草子さん:2008/10/23(木) 11:52:37
道理でリキッド・スネーク並みに叩いても叩いても全然死なないしぶとさ。

149 :無名草子さん:2008/10/23(木) 11:53:18
え!? ホワイトタイガーやホワイトライオンがアルビノだと思っているんだ。
あれだって進化の結果白くなった、亜種だというのは普通に有名な話だろ。

「劣性遺伝子の蓄積」ってのもすごいね。

薬学部だから、てっきり理系頭の人かと思っていた。マジで。

150 :無名草子さん:2008/10/23(木) 11:59:27
唐沢って昔からこうだったのか?

理系の伊藤氏とか、こんなヤツにバカ呼ばわりされりゃ、そりゃ屈辱の極み
だよな…


151 :無名草子さん:2008/10/23(木) 12:01:11
いや、文系から見ても唐沢は・・・・・



2008/10/31  13:19

投稿者:トンデモない一行知識
http://tondemonai2.web.fc2.com/

>唐沢は「劣性遺伝子」を「劣等形質を遺伝させる遺伝子」だと思い
>込んでいるようです。

ああ、これもあっての、「劣性遺伝子の蓄積なのだから、免疫力が弱
く、寿命も短い」なのでしょうね。「蓄積」という表現が変というの
も、おっしゃる通り。

ここいらへの突っ込みも、追記を検討します。ちょっと難しそうです
けど。 Wikipedia の「近親交配」の項とか読んで思ったのですが、
発現しにくいせいで生存競争に不利でも取り除かれにくい劣性遺伝子
――という話もあったので。もちろん、直毛か縮れ毛かのような、
生存競争に関係なさそうな例を考えればわかる通り、劣性だから「劣
等形質を遺伝させる遺伝子」なんてことはないし、近親交配などのこ
とが念頭にあったとしても、「蓄積」はないだろうと思いますが。

http://ja.wikipedia.org/wiki/%e8%bf%91%e8%a6%aa%e4%ba%a4%
e9%85%8d
>集団内で見れば、生存に不利な遺伝子のうち、優性のものは高い頻
>度で発現する。そのような遺伝子を受け継いだ個体は生存と繁殖上
>不利であるから自然選択によって取り除かれる。一方劣性の不利な
>遺伝子は、その発現のしにくさゆえに取り除かれにくい。そのた
>め、現生生物のほとんどの種では生存上不利な遺伝子は、突然変異
>を除けば、おおむね劣性遺伝子として伝えられている。またそのよ
>うな遺伝子を持つ系統は、持たない系統に比べて繁殖上やや不利で
>あるため(子孫にはある程度の割合で発現する者が現れるので)、
>集団全体から見れば劣性の不利な遺伝子の割合も少数派になるのが
>普通である。
>個体について言えば、一般的な交配(血縁関係の遠い個体との交
>配)ではそのような少数派の劣性遺伝子を両親とも偶然に持ってい
>ることは少ない。親の一方から少数派の遺伝子を受け継いでも、も
>う一方からそれを打ち消すような優性の遺伝子を受け継ぐ可能性が
>あり、結果としてその形質が子供に現れる可能性は低まる。しかし
>近親交配の場合には、両親が同じ劣性遺伝子を持つ可能性が高いた
>め、その劣性遺伝子が子に伝わって発現する可能性が高まる。端的
>に言えば先天性の病気や障害が起きやすくなるのである。

2008/10/31  12:28


 この文章が酷いのは「劣性遺伝子」という言葉の意味が全く分かっていないということです。唐沢は「劣性遺伝子」を「劣等形質を遺伝させる遺伝子」だと思い込んでいるようです。「劣性遺伝子」は次世代で発現し難い遺伝子のことですから、「蓄積」なんかするわけがないんですがね。

   
 
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