トンデモない一行知識の世界 OLD - 唐沢俊一の「雑学」とは -

一部で有名な唐沢俊一の一行知識に、ツッコミを入れたり派生トリビアを書いたり。
「愚かで分別のない人と思われたいなら、唐沢俊一のトリビアを引用しなさい。」

 
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2008/10/26  10:20

蝶がはばたけば桶屋が儲かる春秋の筆法  その他の雑学本 間違い探し編

『古今東西トンデモ事件簿』ラジオライフ 12月号 P.148
春秋の筆法(小さいことを大きいことの原因とする論法)でいえば、ヤマトが
作られねば日本のアニメブームはなく、したがって現在の日本のアニメ文化
もなく、東宝映画『海底軍艦』がなければ『宇宙戦艦ヤマト』もなく、押川春浪
が小説『海底軍艦』を書かなければ映画『海底軍艦』もなく、そして巡洋艦
畝傍の失踪事件がなければ、春浪も小説『海底軍艦』の着想を得なかった
かもしれない。
日本のアニメブームは、いまから122年も前の海軍巡洋艦の謎の失踪に
よってもたらされたもの、ということすらできるのである。

2ちゃんねるのスレへの書き込み (下の方に引用) では、「『春秋の筆法』の意味が違う。
唐沢くん辞書ぐらい引きなさい
」と指摘されているけど……。

上に引用の唐沢俊一の文章は、辞書上の春秋の筆法の意味である「厳しい批判の態
」や「間接的な原因を直接的な原因として表現する論法」、「論理に飛躍があるように
見えるが、一面の真理をついているような論法
」に該当しないだけでなく、唐沢俊一自身
のいう「小さいことを大きいことの原因とする論法」ですらないように思う。

唐沢俊一の書いていることは以下のようなことだ。

 巡洋艦畝傍の失踪事件→押川春浪の小説『海底軍艦』→東宝映画『海底軍艦』→
 『宇宙戦艦ヤマト』→日本のアニメブーム→日本のアニメ文化

そもそも「巡洋艦畝傍の失踪事件」を「小さいこと」で片づけてよいのか、失踪事件や
小説『海底軍艦』は「小さいこと」で、それに比べて「大きいこと」が『宇宙戦艦ヤマト』や
日本のアニメブーム」としてしまってよいのか――という問題がある。

この唐沢俊一の論法は、ものごとの大小とか間接的な原因がどうこうというものでなく、
「風が吹けば桶屋が儲かる」の論法だろう。「小さいことを大きいことの原因」となって
いるのは、複雑系でいうバタフライ効果 (蝶の羽ばたきが地球の裏側で竜巻を起こす)
からきているものと推測。

つまり、唐沢俊一の辞書では「春秋の筆法」も「風が吹けば桶屋が儲かる」も「バタフライ
効果」も、「小さいことを大きいことの原因」という意味ですべて同じと仮定すれば、一応
の説明はつく。

http://dic.yahoo.co.jp/dsearch?enc=UTF-8&p=春秋の筆法&dtype=0&stype=1&dname=0ss
>春秋(しゅんじゅう)の筆法(ひつぽう)
>[1] 孔子の筆になるという「春秋」のような厳しい批判の態度。
>[2] 〔補説〕 「春秋」が些事をとりあげて、大局への関係を説く論法であることから
>間接的な原因を直接的な原因として表現する論法。また、論理に飛躍があるように
>見えるが、一面の真理をついているような論法。


http://dic.yahoo.co.jp/dsearch?enc=UTF-8&p=風が吹けば桶屋が儲かる&dtype=0&dname=0na&stype=1
>風(かぜ)が吹けば桶屋(おけや)が儲(もう)かる
>意外なところに影響が出ること、また、あてにならない期待をすることのたとえ。風が
>吹くと土ぼこりがたって目に入り盲人が増える。盲人は三味線で生計を立てようとする
>から、三味線の胴を張る猫の皮の需要が増える。猫が減るとねずみが増え、ねずみ
>が桶をかじるから桶屋がもうかって喜ぶということ。大風が吹けば桶屋が喜ぶ。


http://www.bk1.jp/product/02062044
>著者が経済現象に切り込む角度は書名にあるバタフライ(蝶)が示している。大陸の
>どこかでの小さな蝶の羽ばたきが地球の裏側での竜巻を起こす、という例の複雑系の
>議論の象徴になっている蝶である。


で、唐沢俊一の風が吹けば桶屋が儲かる論法の内容については、「ヤマトが作られねば
日本のアニメブームはなく
」あたりですでに説得力があまりないような。ヤマトを過小評価
するつもりはないんだけど、当時の SF 系の人材や作品の豊富さに思いをはせると……
ということで。ガンダムもあったしね。

http://love6.2ch.net/test/read.cgi/books/1224589375/418
>418 :無名草子さん:2008/10/26(日) 07:35:10
>『古今東西トンデモ事件簿』ラジオライフ 12月号 P.148

>>春秋の筆法(小さいことを大きいことの原因とする論法)でいえば、
>>ヤマトが作られねば日本のアニメブームはなく、したがって現在の
>>日本のアニメ文化もなく、東宝映画『海底軍艦』がなければ『宇宙戦艦
>>ヤマト』もなく、押波春浪が小説『海底軍艦』を書かなければ映画
>>『海底軍艦』もなく、そして巡洋艦畝傍の失踪事件がなければ、
>>春浪も小説『海底軍艦』の着想を得なかったかもしれない。
>>日本のアニメブームは、いまから122年も前の海軍巡洋艦の謎の失踪
>>によってもたらされたもの、ということすらできるのである。

>まず「春秋の筆法」の意味が違う。唐沢くん辞書ぐらい引きなさい。
>非常に分かりにくい因果関係だが
>畝傍失踪→小説『海底軍艦』→映画『海底軍艦』→『宇宙戦艦ヤマト』→アニメブーム
>と言いたいようだ。そもそも戦艦大和が建造されなければ『宇宙戦艦大和』はないのだが、
>そこは考えなくていいのか。


その他参考 URL (『海島冒険奇譚 海底軍艦』):
- http://www.aozora.gr.jp/cards/000077/card1323.html


追記 : コメント欄に指摘があったけれど、2ちゃんねるの書き込みにもあった「戦艦大和が
建造されなければ『宇宙戦艦大和』はない
」も、言及を忘れるのはよくないポイントだった
ですね、すみません。

唐沢俊一検証blogの「『ラジオライフ』12月号に『唐沢俊一の古今東西トンデモ事件簿』
は何事も無く掲載されていた。
」で指摘されている、「ヤマトのデザインが轟天号の影響
を受けている、というのが疑問である
」という問題もありますね。

追記 : コメント欄の指摘を受けて、押波春浪を押川春浪に訂正。



2008/10/27  23:10

投稿者:トンデモない一行知識
http://tondemonai2.web.fc2.com/

訂正しました。ご指摘ありがとうございました。

2008/10/27  0:12

投稿者:puccho

 ROMってたいのですが、どなたも指摘がないようなので。
「押波春浪」じゃなくて「押川春浪」なんですが、これは元の文章から間違ってたんでしょうか?

2008/10/26  21:49

投稿者:トンデモない一行知識
http://tondemonai2.web.fc2.com/

以下、リンクと引用が未整理で申し訳ないんですが、公式 (?) には
「戦艦大和がベース」、平田晋策『新戦艦高千穂』→梶原一騎原作
『新戦艦大和』→『宇宙戦艦ヤマト』の流れを指摘する声もある――
という感じでしょうか。

http://blogs.yahoo.co.jp/just1bit/53618952.html
からの孫引き↓

>西崎「まず、『戦艦が空を飛ぶ』という発想を思いつきました。当
>時、『少年倶楽部』という雑誌に『宇宙戦艦ヤマト』の原型となる
>『空飛ぶ戦艦』というのがありました。最初の発想とそれが合体し
>て『宇宙戦艦ヤマト』になった。(以下略)」

>ところで、なぜ旧日本軍の戦艦大和がベースになったんでしょう?
>戦艦長門ではダメだったんですか?
>西崎「太平洋戦争を経験した我々の世代にとって、ヤマトは悲劇の
>戦艦でしたからね。(以下略)」

で、この↑のブログには、『空飛ぶ戦艦』ってよくわからないけど、
ジュール・ヴェルヌの作品に「空飛ぶ戦艦」?とか書いてあって、
「実は『新戦艦高千穂』だったりして?」とも。

http://ja.wikipedia.org/wiki/%e6%96%b0%e6%88%a6%e8%89%
a6%e5%a4%a7%e5%92%8c
>艦長の沖田とその息子2人が新戦艦大和でキラー博士と戦うという物
>語。アニメ『宇宙戦艦ヤマト』の10年以上前に「戦艦大和が空を飛
>ぶ」アイデアを出した先駆的作品である。新戦艦大和は潜水も可能
>となっている。
>梶原一騎側は『宇宙戦艦ヤマト』を『新戦艦大和』の模倣だとみな
>していた。『宇宙戦艦ヤマト』の中心スタッフで漫画版を描いた松
>本零士を脅した[1]、梶原一騎周辺が息巻いたなどと言われていたが
>[2]、松本零士本人によると[3]、梶原一騎側からはこの件について特
>に何も言わなかったという。松本は戦艦が空を飛ぶというアイデア
>自体、第二次世界大戦前から海野十三の小説を初めとして、昔から
>存在していると説明している。梶原のものも、戦前に人気を博した
>少年小作家・平田晋策の『新戦艦高千穂』がヒントとなったと指摘
>されている。[4]

新戦艦高千穂
http://www.iiclo.or.jp/100books/1868/htm/frame077.htm

2008/10/26  21:36

投稿者:foobar

>「宇宙戦艦ヤマト」の原型は、「戦艦高千穂」ではないのですか?

それは梶原一騎の「新戦艦大和」の方でしょ。もしかして「宇宙戦艦ヤマトは新戦艦大和のパクリだ派」の人ですか?

2008/10/26  21:11

投稿者:個人投資家

「宇宙戦艦ヤマト」の原型は、「戦艦高千穂」ではないのですか?

 デザイン上の原型は、轟天号より成田亨氏デザインの「MJ号」だと思いますが。
(艦橋といい、主砲列といい、後方エンジン部分といい)

2008/10/26  19:15

投稿者:トンデモない一行知識
http://tondemonai2.web.fc2.com/

「追記」に記述を追加しました。
唐沢俊一検証blogさんへのリンクもペタと。

改めて読むと、唐沢俊一は、

>東宝映画『海底軍艦』がなければ『宇宙戦艦ヤマト』もなく、

と何だか言い切っていますね。うーん。
「戦艦大和の建設」と違って、『海底軍艦』の方は……。
作品自体には興味をそそられるものがあるし、ヤマトと関連づけて
紹介することにより光をあてるのはよいことと思うのですが、もっと
マシな紹介のしかたがあったのではないでしょうか……。

2008/10/26  12:47


 2ちゃんの指摘にもあるように、「宇宙戦艦ヤマト」は「海底軍艦轟天」じゃなくて「戦艦大和」がオリジナルでしょう。だとすれば

戦艦大和→『宇宙戦艦ヤマト』→日本のアニメブーム→日本のアニメ文化であり、全然「小さいこと」じゃないですよね。

   
 
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