トンデモない一行知識の世界 OLD - 唐沢俊一の「雑学」とは -

一部で有名な唐沢俊一の一行知識に、ツッコミを入れたり派生トリビアを書いたり。
「愚かで分別のない人と思われたいなら、唐沢俊一のトリビアを引用しなさい。」

 
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2008/10/4  22:44

月刊『現代』の座談会は『性の人類学シンポジウム』だった!  その他の雑学本 間違い探し編

『裏モノの神様』 P.31
神●『性の人類学シンポジウム』などというものの記録を読んだことがある
かな。
唐●いえ、まだ。
神●あれは大笑いできるぞ。たとえば南アフリカの、グイ族の、性行為中に
交わす「愛の記録」という発表がある。
唐●どんな会話なんです。
神●まず女が「アエッ、オッ、いまアンタはアタシにとてもよくしてくれたこと
だわ」と言う。すると男が「アエー、それは大変いいことである。おまえは
感じてよかったのか」と訊く。すると女は答えて「アンタはよろしくなかったか。
自分は大変満足したことである。アンタのチンポはひどくすてきである」と言う
のじゃそうな。

×『性の人類学シンポジウム』などというもの ○「性の人類学」という座談会
×「愛の記録」という発表がある。 ○会話を菅原和孝氏が再現している。
×いまアンタはアタシにとてもよくしてくれたことだわ
○いまあんたはわたしにとてもよくしてくれたわ
×それは大変いいことである。 ○そりゃステキだ。
×アンタはよろしくなかったか。 ○あんたはよくなかったの?
×自分は大変満足したことである。 ○わたし、ものすごくよかった。
×アンタのチンポはひどくすてきである ○あんたのチンポはひどくステキね

学者によるピロートークの収集方法も不明」で引用した『笑うクスリ指』 の一節と、ほぼ
同じだが微妙に異なっている会話文である。『性の人類学シンポジウム』の「愛の記録」
というものが実在しているとしても、少なくとも片方は文章を改竄して使用したものだとは
わかっていた (結局両方とも改竄していたわけだが)。しかも上記の『裏モノの神様』の方は、
それが面白いとでも思ったのだろうか、なぜかステレオタイプの怪しげな中国人のノリ。

で、元ネタが何なのかわからないまま、2ちゃんねるのスレで話題になってから (Read
More
参照) ずっと放置していたわけだが……。

元の文章は、ブッシュマンの研究で有名な菅原和孝が、月刊誌『現代』の特集記事
「性の人類学」という座談会で発言したものだった。これが 1996 年刊の『性と出会う―
人類学者の見る、聞く、語る
』 (講談社)に収録されているのだ。

『ブッシュマンとして生きる』 P.138
> 日常会話の分析に一区切りつけて、生活誌の語りを収録することに力点を移した
>一九九四年に、グイの「性」への私の探求は大きな転換をむかえた。〈略〉
> 一二月初旬に帰国してすぐに、私は、月刊誌『現代』の特集記事として企画された
>「性の人類学」という座談会に参加した。席上で私は、フィールドで集めてきたホヤ
>ホヤの語りの資料に基づいて、グイの婚外の性(ザーク)について赤裸々に語った。


『性と出会う―人類学者の見る、聞く、語る』 P.38 ~ P.39
>菅原 激しい性行為を指す言い回しとして「男が女を食いつくす」という表現が南部
>アフリカのカラハリ砂漠に済むグイ、いわゆるブッシュマンの社会では用いられます。
>体位は男性上位と側位の二種類ありまして、最初は女が仰向けに寝て応戦し、
>疲れると横向きの側位に変えるらしい。ある男の人にいわせると「(女が)うつぶせに
>尻を突き出したりはしない」。私が「使うのはペニスだけか」と聞くと、「金玉は入れない
>よォ」(笑)。その彼が、行為中の愛の会話を教えてくれました。
> 女「アエッ、オッ、いまあんたはわたしにとてもよくしてくれたわ」
> 男「アエー、そりゃステキだ。おまえは感じてよかったのか」
> 女「あんたはよくなかったの? わたし、ものすごくよかった。あんたのチンポはひどく
>   ステキね」


なお、「アエッ、オッ」や「アエー」などは、菅原和孝は『ブッシュマンとして生きる』の中でも
会話文の中に含ませている。以下の方針により「間投詞をそのままの発音で記載した
ものだろう。

『ブッシュマンとして生きる』 P.iv (なぜこの本を書くのか)
>会話や語りの資料をたくさん用いるが、原語の雰囲気を少しでも伝えるために、間投
>詞をそのままの発音で記載した。


それにしても、唐沢俊一が何を考えて、「『性の人類学シンポジウム』などというもの」の
『愛の記録』という発表」などというものを創作したのかは、依然謎のままである。別に
謎のままでも、いっこうに差し支えないような気はするが。

→次エントリー「で、どの時代のヨーロッパ人にとって『革命的』だったって?」に続く




http://www.23ch.info/test/read.cgi/books/1212823815/

22 :無名草子さん:2008/06/08(日) 21:02:58
以前引用されたのだが、
『笑うクスリ指』 南方SEX文化 P149

> たとえば南アフリカのグイ族のセックスの際の会話は、こういうものだそうだ。
>「アェッ、アェッ、オッ、いまあんたがした行為はあたしをとてもよく感じさせてくれたわ」
>「アェー、それは結構である。おまえは感じてよかったのか」
>「あんたはよくなかったろうか。あたしはすごく感じたことだ。あんたは大きくて素敵である」
>これだけでも、当時のヨーロッパ社会にとっては革命的だったろう。

同じネタが『裏モノの神様』P31にも載っている。

>まず女が、「アェッ、オッ、いまアンタはアタシにとてもよくしてくれたことだわ」と言う。
>すると男は、「アエー、それは大変いいことである。おまえは感じてよかったのか」と訊く。
>すると女は答えて「アンタはよろしくなかったか。自分は大変満足したことである。
>アンタのチンポはひどくすてきである」というのじゃそうな。

同じことなのだろうが、部分的には微妙に違う。引用だとしても自分なりに改竄した「無断引用」であることは確か。
十中八九、唐沢の創作だろう。


30 :無名草子さん:2008/06/09(月) 00:02:46
>>22
唐沢俊一によると、

>『性の人類学シンポジウム』などというものの記録

>たとえば南アフリカの、グイ族の、性行為中に交わす「愛の記録」という発表がある。

だそうだけど、これじゃあ引用元を明記しているといえないような。
「"性の人類学シンポジウム"」とダブルクォートつきで検索すると、何もヒットしないし。

この章に表紙の写真がある、『世界の性生活』からの引用とか?
(この本の著者の清水正二郎は、後の胡桃沢耕史だとか書いてある)。

33 :無名草子さん:2008/06/09(月) 00:16:23
>>30

清水正二郎の著書は多いからなあ。
↓こんなのもある。
http://page5.auctions.yahoo.co.jp/jp/auction/e79061215

清水正二郎名義の本は、古書即売会でもよく見かけるから、
唐沢のネタ元になってる可能性は高い。

35 :33:2008/06/09(月) 00:26:13
同じ本が出品されていた。
こちらは、まだ進行中。
http://page4.auctions.yahoo.co.jp/jp/auction/d81335948

なんか図版だけ見ると、フックスの『風俗の歴史』のパクリっぽくも見えるけど。


37 :35:2008/06/09(月) 00:43:58
もろ『アフリカの性典』なんてのもあるようで。
http://page2.auctions.yahoo.co.jp/jp/show/qanda?aID=b82350921

『日本の古本屋』の古書検索で、著者名「清水正二郎」で検索すると
上記『アフリカの性典』含め、かなりの本がヒットする。
http://www.kosho.or.jp/servlet/top




2008/10/5  1:23

投稿者:トンデモない一行知識
http://tondemonai2.web.fc2.com/

ありがとうございます (_ _) タッチの差になりましたが「モロパクリ
=盗作」については、
http://tondemonai2.web.fc2.com/691.html
の方で言及しました。

グイの人たちの会話部分を小汚く改竄している件については、ギャグ
のセンスが明後日の方向にズレていることと、『虫やのよろこび』の
件と同様、学者先生をバカに書くのに異様に執着する唐沢俊一の性質
のせい――と推測はしているのですが、それにしても何を考えている
のやら、です。

『虫やのよろこび』も『性と出会う―人類学者の見る、聞く、語る』
も、普通に引用して使えば誰にも文句はいわれない、しかも面白い
ネタが満載なのです。それらを活用することもなく、何でこんなつま
らない文章だけ発表して終わりにするのか……。損得勘定のみを考え
ても、理解に苦しむ所業としか思えません。

2008/10/4  23:21


 お疲れ様。
 ついに、オリジナルを見つけましたね。これまた、引用の要件を全く満たしていないので「モロパクリ=盗作」と判明いたしました。盗んだネタを使いまわすたあ、いい度胸です。

   
 
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