トンデモない一行知識の世界 OLD - 唐沢俊一の「雑学」とは -

一部で有名な唐沢俊一の一行知識に、ツッコミを入れたり派生トリビアを書いたり。
「愚かで分別のない人と思われたいなら、唐沢俊一のトリビアを引用しなさい。」

 
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2008/9/23  16:03

ニガヨモギが材料のベルモットを多くしたマティーニはスウィート  『トンデモ一行知識の逆襲』間違い探し編

『トンデモ一行知識の逆襲』 P.105
 こういう、酒に植物の葉やエキスをしみださせる方法は、外国では
リキュールとして、やはり薬用にいろいろ造られている。ベルモットなどは
もともとニガヨモギをワインに漬けて造った酒だが、最初は風邪の薬として
発売された。マティーニに使用するのになくてはならない存在になったのは
後のことだ。

ベルモットが、最初は薬として発売されたとする資料は見つからなかった。薬にすると
しても「風邪の薬」というのはまずないだろう。ニガヨモギの薬効からして、可能性が
あるとすれば胃の薬。

http://ja.wikipedia.org/wiki/ニガヨモギ
>葉、枝を健胃薬、駆虫薬としてもちいる。干したものを袋に詰め衣類の防虫剤として
>使う。リキュール、ハーブ酒などに香り付けなどの目的でつかわれる。


http://www.ne.jp/asahi/bar/stolas/cinzano.htm
>飲み方としては食前酒として飲んだり、あるいは胃の調子が悪い時に少量飲むなど
>するのも良いでしょう。もちろん、カクテルとして飲むのもお勧めです。


まあ、リキュールの原型は酒に薬草を漬けたり溶かしたりしたもの――とされているので、
それを「最初は風邪の薬として発売」に変形してしまっただけという気もする。

http://ja.wikipedia.org/wiki/リキュール
>医者であったヒポクラテスがワインに薬草を溶かし込んだ薬酒を作ったことがその起源
>とされている[1]。これは、当時人々が酸味が強く飲みづらかったワインに蜂蜜などを
>混ぜて飲んでいたことにヒントを得て作られたといわれている。しかし、現在のリキュール
>は蒸留酒をベースとしたものが一般的であり、ワインをベースとしたものはリキュール
>とは呼ばないので、この薬酒を「リキュール」の起源とすることはできない。


で、他に気になったのは、ベルモットはリキュールといえるかどうかということ。上に引用
した文章にも「ワインをベースとしたものはリキュールとは呼ばない」とあるが、蒸留酒を
ベースにしていない酒をリキュールと呼ぶのは、かなり違和感がある。

では、ベルモットは何と呼ぶかというと、下記に引用するように「フレーバードワイン」と
いうことが多いようだ (アロマタイズド・ワインということもあり)。あくまでワイン。

http://ja.wikipedia.org/wiki/ベルモット
>ベルモットまたはヴェルムト (Vermut、Vermouth) とは、白ワインを主体とし、ニガヨモギ
>[1]などの香草やスパイスを配合して作られるフレーバードワインである。
〈略〉
>カテゴリ: ワイン


http://www.recipe.nestle.co.jp/from1/cook/word/ta/doraiberummot.htm
>ドライベルモットとは、辛口のベルモットのことで、「フレンチベルモット」とも呼ばれます。
>ベルモットは、ニガヨモギを主成分にして、白ワインにさらに数多くの薬草、香草類で
>風味をつけたフレーバード・ワインのことです。ドライベルモットは食前酒やカクテルに
>使います。


まあ Wikipedia のリキュールの項目では、蒸留酒をベースと主張する一方で、リキュール
の一覧にベルモットも含ませているくらいだから、ベルモットをリキュールだといったからと
いって、完全に間違いとはいえないかもしれないが……。しかしニガヨモギならアブサンが
あるし、梅酒と同様に果実を使って冷浸法 (冷浸漬法) で造る酒ならキュラソーとかいくら
でもあるのに、わざわざベルモットをここであげる理由は不明。マティーニの蘊蓄を語りた
かったというならわかるんだけど、マティーニについて突っ込んで語っているわけでもない。

その他参考 URL:
- http://www.pluto.dti.ne.jp/%7Ewada/flea57.htm
- http://blog.goo.ne.jp/kan_blog/e/639bc7a49eda6a9f0638b4a5bf24a96d




2008/9/25  2:45

投稿者:トンデモない一行知識
http://tondemonai2.web.fc2.com/

はじめまして。楽しく読んでいただけていたら、うれしいです。

>はじめは解熱剤、利尿剤としてつくられたという話と混同

をを、と思って、かしゃかしゃとグーグルを使ってみました。w
このあたりの話ですかしら。

http://www.ma.ccnw.ne.jp/cocktail/brand/brand1.html
>ジンの発祥は大航海時代にまでさかのぼります。当時、オランダは
>世界に進出し、多数のオランダ人が海外に渡り、そして帰ってきま
>した。しかしながら、帰ってきた多くの人が海外で病気を抱えて帰
>国しました。1660年、ライデン大学の医学・薬学博士シルヴィウス
>は、そうした人々の薬としてジュニパー・ベリー(杜松子)浸した
>薬をつくりました。今もオランダで飲まれているジュニーヴァの起
>源はここにあります。これが後にイギリスに渡り、ジンとなったの
>です。

で、杜松子の薬効はというと……

http://www.e-yakusou.com/sou/sou299.htm
>ネズ (ヒノキ科ビャクシン属:常緑低木:樹高 ~17メートル:
>花期 ~4月)
>薬効 かぜ 尿道炎 むくみ(浮腫・水腫) 小便不利
>分布生育場所科名:ヒノキ科/属名:ビャクシン属
>和名:杜松/別名:ネズミサシ/トショウ/生薬名:杜松実(としょう
>じつ)/杜松子(としょうし)/学名:Juniperus rigida

さらにこちらにも、ジンの始まりで薬として使われたとありますね。
おっしゃる通り、利尿剤で解熱剤として。

>17世紀に、オランダの医師が、熱病の患者を救おうとして、利尿
>剤(りにょうざい)の杜松実(としょうじつ)をアルコールで薬酒
>をつくり 、これが、お酒のジンの始まりになりました。

杜松実の薬効を考えると、「風邪の薬」にもできたかも、ですね。


実は、アップした後で、ワインを風邪薬にする民間療法もあったかな
と考えたのですが、それには別にニガヨモギ必要ないし……と思って
いたのです。

マティーニつながりで、ジンから風邪薬がきたとすると、納得できま
す。ありがとうございました。

2008/9/25  1:59

投稿者:はりはり亭

はじめまして。いつも面白く読ませてもらっています。
思うんですが、これってマティーニのもう一つの材料であるジンが、はじめは解熱剤、利尿剤としてつくられたという話と混同してるんじゃないでしょうか。割と知られた話だと思うんですが。

   
 
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