トンデモない一行知識の世界 OLD - 唐沢俊一の「雑学」とは -

一部で有名な唐沢俊一の一行知識に、ツッコミを入れたり派生トリビアを書いたり。
「愚かで分別のない人と思われたいなら、唐沢俊一のトリビアを引用しなさい。」

 
旧 URL は、http://diary.aol.com/yzuc9ww/646.html
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2008/8/30  9:51

男のつわりに賛否両論 (嘘)  『トンデモ一行知識の逆襲』間違い探し編

『トンデモ一行知識の逆襲』 P.79 ~ P.80
 ところで、この、妻の陣痛を夫が真似してうなるというのは、この家のオリ
ジナルではない。南方には、今でも夫が妻の出産のとき、その格好やうめき
声を真似る風習のある地方がある。
 これを文化人類学では“クバーデ”(擬産) という。もともと、妊娠は男女の
協力なしにはできないものだが、産みの苦しみは女性だけに与えられるもの
だ。しかし、夫婦というのはどんな苦しみも分かち合わねばならない。そこで、
男性がお産の真似をして、そのぶん、女性の苦痛を減らしてあげるという、
一種のまじないとしてこういう奇妙な習慣が定着した。さきほどの話の千駄ヶ
谷の若主人は、無意識に同じことをやっていたわけだ。
 南方の民族はさらに進んで、周りの人々も夫の方に、出産がすんだあと、
いやあ、大変だったね、とか、大きい赤ちゃんで苦しかったろう、とか、あたかも
実際に夫も出産したかのように声をかけるという。

http://www.tobunken.com/diary/diary20020916225454.html
 ちと必要あってネットで“クバーデ”を検索したのだが、一件も出てこない。
“擬産”で引いても8件のみで、解説にはなっていないものばかり。民俗学
とか文化人類学が下火だと言われているが、こういうところで如実に出るな、
と思う。米山俊直がクバーデは“同情”の発露だ、と言っていた。同情は快感
回路に直結する。イラク状況に必要以上に心的移入して嘆きまくるのも、
人間の盾なんという無意味な行為に熱くなるのもクバーデの一種だな。

×クバーデ ○クーヴァード または クーバード

「クバーデ」でググると、現在では 5 件のみ。しかし、「民俗学とか文化人類学が下火
と嘆く前に、couvade を「クーヴァード」「クーバード」などで検索したならば、2002 年の
時点でも、それなりの数がヒットしたのではないかと思われる。また、「擬産」よりも
「擬娩」の方が数が多い。

http://ja.wikipedia.org/wiki/男のつわり
>未開社会では、妻が妊娠すると男が産褥(出産用の寝床)につく真似をする風習を
>ともなう地域があり、couvade(擬産)と呼称される。
>医学的には、男性が妊婦のマタニティ・ブルーと同じような症状、すなわち嗜好の
>変化、吐き気、めまい、頭痛、食欲不振、体重の変化、感情の変化、睡眠時間の
>変化などを総称してクーヴァード症候群(couvade syndrome)と呼ぶことがある。


http://jp.encarta.msn.com/encyclopedia_761558171/content.html
>擬娩
>妻の妊娠中または出産直後に、夫が身体的・精神的な不調をうったえて、日常活動
>を放棄し、ねこんでしまったり、妊婦や産婦と同じような待遇を要求したりする慣習を
>いう。妊産婦と同様にタブーをまもり、陣痛をうったえ、出産のまねをすることもある。


それと、お産の真似や、「女性の苦痛を減らしてあげる」にやたら重点をおいて説明する
だけなら、まあそういう解釈もあるかという範疇におさまるかと思うけど (個人的には、男
のつわりの方に興味をそそられるし、悪霊に対するおとり説の方が説得力ありそうに
思えたけどおいといて)、唐沢俊一が日記に書いている「同情は快感回路に直結する。
イラク状況に必要以上に心的移入して嘆きまくるのも、人間の盾なんという無意味な
行為に熱くなるのもクバーデの一種だな。
」とまでイってしまうと、トンデモに大きく一歩を
踏み出しているような……。どうしてそういう話になるのかは謎。

http://hatopia.blog10.fc2.com/blog-entry-302.html
>南米では、擬娩のときには、近所の人がお見舞いに来るのは擬娩状態の父親に
>対してであって、母親は隠れてこっそり出産したそうです。こんなところから「悪霊の
>目をそらす」と解釈されるのでしょう。


http://www.babycom.gr.jp/birth/min/min8.html
>擬産という通過儀礼
〈略〉
> カリブの民族、アカワイオや、ほかの未文化の民族には、父親にもちょっとした通過
>儀礼があった。たとえば、アカワイオ族では、産後9日間(へその緒がとれるまで)、
>産婦ばかりでなく、夫もまた、禁止事項がたくさんある。夫は仕事をせず、1日中火を
>焚き続ける。ナイフや斧、銃を使うのも禁止。森へ入ってもいけない。食事にも禁止が
>ある。子どもが病弱な場合には、9日間という期間はさらに延ばされる。
〈略〉
> 日本でも、昔は各地にこうした産の禁忌があった。こうした禁忌は、お産が不浄であ
>るため、お産をした妻の夫も不浄だと考えられていたから、とされているけれど、実は
>これも通過儀礼だったのだろう。


その他参考 URL:
- http://med-legend.com/mt/archives/2006/06/post_886.html
- http://hatopia.blog10.fc2.com/blog-entry-380.html




   
 
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