トンデモない一行知識の世界 OLD　- 唐沢俊一の「雑学」とは -

『トンデモ一行知識の世界』 P.69 ～ P.70

　昔、某国立大学のサル研究所で、「人間とサルのセックスは可能か」と
いうテーマが問題になったことがあった。そのとき、いろいろロンギがかわ
されたが結論が出ず、
「ならひとつ、我われでサルとやってみようじゃないか」
　という話が出たそうである。科学者というのは偉い。
「それは有意義な研究だ」
　と学問的熱意に燃えて（ほかの熱意に燃えていたのかもしれないが）、
我も我もと名乗り出た。
　で、それぞれに
「ではキミはチンパンジーと」
「あなたはオランウータンと」
　と割り振りを決めていたところ、それを聞きつけた、日本サル学の権威と
言われる八十いくつの老教授がやってきて
「ゴリラはワシによこせ！」
　と主張したそうであります。いい話だなあ。
　だが、結局この実験は、大学から許可がおりず、中止になったそうだ。

かなり以前にコメント欄で情報をいただいていたのに、申し訳ないことになかなか反映
させることができなかった件。

「某国立大学のサル研究所」というのは京都大学霊長類研究所のつもり、「日本サル学
の権威と言われる八十いくつの老教授」は「日本の霊長類研究の創始者」で知られる
今西錦司のつもりだと思われるけど……それにしても、「サル研究所」「日本サル学の
権威」といった表現は、どうにかならなかったものか。

似たような話が数学者であり京都大学名誉教授でもある森毅の語ったエピソードとして、
伝えられている。ただし、「人間とサルのセックスは可能か」ではなく、「類人猿と人間と
では雑種ができそうだ」「できたコドモの戸籍はどうしよう、なんて話」であり、老教授の
セリフも「ゴリラはワシによこせ！」ではなく「おい、ゴリラはおれにやらせろよ！！」。
年配だから「ワシに」とするのも信憑性低くしてるし。小林よしのりじゃあるまいし。

チンパンジーだオランウータンだと「割り振りを決めていた」とか、「大学から許可がおり
ず」――つまりは研究者同士の他愛のない雑談ではなく真面目に実践するつもりという
設定――とかは、唐沢俊一による下手な創作ということで片づけてよいだろう。

http://tondemonai2.web.fc2.com/406.html#comment
＞投稿者：古賀
＞ http://fueiku.cocolog-nifty.com/kura/
〈略〉
＞そうそう栗本先生の『パンツをはいたサル』にこんな記述がありまして
＞
＞》余談になるが、京都大学の森毅教授が、興味深い話をしておら
＞》れたので紹介しておこう。
＞》「あるときサル学者たちが集まって、類人猿と人間とでは雑種が
＞》できそうだ。チンパンジーで実験したいけど、できたコドモの
＞》戸籍はどうしよう、なんて話をしていると、隅のほうにいた
＞》今西錦司先生が身をのりだしてきて、“おい、ゴリラはおれに
＞》やらせろよ！！”」
＞》長年、霊長類の研究にたずさわってきた泰斗、今西錦司先生
＞》ならではの名言である。
＞（光文社『パンツをはいたサル』Ｐ１１２～Ｐ１１３）
＞
＞たぶんこれが『トンデモ一行知識の世界』P６９の「ゴリラはわしによこせ！」と言った
＞老教授の話の元ネタではないかと。森毅先生の著書にのっている可能性もありますが。

http://ja.wikipedia.org/wiki/今西錦司
＞今西 錦司（いまにし きんじ、1902年1月6日 - 1992年6月15日）は、日本の生態学者、
＞文化人類学者。京都大学名誉教授、岐阜大学名誉教授。日本の霊長類研究の創始
＞者として知られる。

http://mobile.seisyun.net/cgi/read.cgi/academy4/academy4_philo_1137509019
＞06 名前：銀魂９巻 [2006/02/02(木) 23:26:03 ]
＞今西錦司（棲み分け進化論の方）
＞
＞誰がゴリラストーカーだ！　失敬だぞ君!!
＞
＞Ｐ・Ｓ　数学者・森毅の話で、
＞　　　　「ある時、サル学者達が集まって類人猿と人間で雑種が出来そうだ、
＞　　　　　出来た子の戸籍をどうするという話をしていると、隅にいた今西
＞　　　　　錦司先生が『おい!!　ゴリラは俺にヤラせろよ!』」（実話）　　　　

ただし、「おい、ゴリラはおれにやらせろよ！！」のエピソードは本当か、それ以前に
森毅自身が本当にそう語ったのかは確認できなかった。