トンデモない一行知識の世界 OLD - 唐沢俊一の「雑学」とは -

一部で有名な唐沢俊一の一行知識に、ツッコミを入れたり派生トリビアを書いたり。
「愚かで分別のない人と思われたいなら、唐沢俊一のトリビアを引用しなさい。」

 
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2008/7/5  14:21

月にも「海」はあるけど、国連海洋法会議で話し合うことは……  その他の雑学本 間違い探し編

「トリビア名誉教授唐沢俊一のビジネス課外授業。」 『pronto pronto?』 連載 VOL.12
世界で行われた最長の会議は、国連参加国すべてによって行われた、
1973年の第三次国連海洋法会議で、決着したのがなんと10年後の1982年。
この会議の結果、海底にある資源と、月やその他の天体にある資源は
どこの国の所有にもならず、人類共通の資産である、ということが国際法で
定められた。

第三次国連海洋法会議では、深海底開発 (第 1 委員会)、 領海、公海、国際海峡、経済
水域、大陸棚など深海底以外の海域の問題 (第 2 委員会)、海洋汚染防止、科学調査、
技術移転 (第 3 委員会)、紛争解決、最終条項など (本会議) について交渉が続けられ、
1982 年に国連海洋法条約 (正式名称:海洋法に関する国際連合条約) を採択した。
発効は 1994 年 11 月。

月やその他の天体にある資源」については第三次国連海洋法会議の対象ではないし、
国連海洋法条約にも規定はない。月の資源の所有権を否定しているのは 1979 年に
採択の月協定 (正式名称:月その他の天体における国家活動を律する協定) だし、領有
権を否定しているのは宇宙条約 (正式名称:月その他の天体を含む宇宙空間の探査
及び利用における国家活動を律する原則に関する条約) で 1966 年に採択。

海底にある資源」を「人類共通の資産」としているのも少々引っかかる。深海底鉱物資源
は「人類の共同財産」とされているが、深海以外の海底にある資源は別ではないか。

http://www13.atwiki.jp/tondemo/pages/69.html
> さて、ちょっとおかしくはないだろうか。なぜ、国連海洋法会議で月の資源の話を
>するのか。第三次国連海洋法会議の結果、締結されたのは「海洋法に関する国際
>連合条約」だが、この条約の中に月や他の天体の資源についての規定は一切ない。
> 月や他の天体の資源が人類共通の財産であることを定めたのは、「月その他の天体
>における国家活動を律する協定」である。 この協定は国連海洋法会議が決着する前の
>1979年に採択されており、唐沢が言うような 「この会議の結果」というのは適切では
>ないだろう。
> それに、国連には「国連宇宙空間平和利用委員会」という機関があるので、海洋法
>会議でわざわざ月の資源について話し合う必要はないのである。


http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/kaiyo/unclos.html
>1.経緯
>(1)国連海洋法条約(正式名称:海洋法に関する国際連合条約)を巡る経過
>(イ)海洋法秩序に関する包括的な条約として、1982年に第三次国連海洋法会議に
>おいて採択され、1994年11月に発効した。
>(ロ)国連海洋法条約は、全17部320条の本文及び9の附属書並びに実施協定から
>なり、その内容は、領海、公海、大陸棚といったこれまでジュネーブ海洋法4条約に
>規定されていた分野に加え、国際航行に使用されている海峡及び排他的経済水域と
>いった新たな規定、国際海底機構及び紛争の解決のための国際海洋法裁判所といっ
>た新たな国際機関の設立を伴う規定を含む多岐にわたるものとなっている。
>(ハ)2007年7月現在、155カ国・地域が締結。


http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/bluebook/1982/s57-2040700.htm
>第3次国連海洋法会議は,包括的な新しい海の秩序を形成する目的で73年から開始
>され,第1委員会(深海底開発),第2委員会(領海,公海,国際海峡,経済水域,大陸棚
>など深海底以外の海域の問題),第3委員会(海洋汚染防止,科学調査,技術移転)及
>び本会議(紛争解決,最終条項など)の項目別に交渉が続けられてきた。


http://ja.wikipedia.org/wiki/月協定
>月その他の天体における国家活動を律する協定、通称月協定(つききょうてい)とは、
>月や惑星などの天体を探査する際の基本原則を定めた条約。月などの天体の探査に
>対する報告の義務付けや、(個人や企業も含む)土地・資源の所有権の否定などが
>定められている。1979年に採択、1984年に発効した。しかし、後述するように締約国の
>問題から、死文化していると言われている。
〈略〉
>第11条で規定。月はいずれの国家の専有にもならない。月の表面や地下、天然資源
>は、いかなる国家・機関・団体・個人にも所有されない。


http://ja.wikipedia.org/wiki/宇宙条約
>月その他の天体を含む宇宙空間の探査及び利用における国家活動を律する原則に関
>する条約(つきそのたのてんたいをふくむうちゅうくうかんのたんさおよびりようにおける
>こっかかつどうをりっするげんそくにかんするじょうやく、通称:宇宙条約)は、国際的な
>宇宙法の基礎となった条約。宇宙空間における探査と利用の自由、領有の禁止、宇宙
>平和利用の原則、国家への責任集中原則などが定められている。宇宙憲章と呼ばれ
>ることもある。1966年12月19日に採択された第21会期国際連合総会決議2222号で、
>1967年10月10日に発効した。
〈略〉
>第2条で規定。天体を含む宇宙空間に対しては、いずれの国家も領有権を主張する
>ことはできない。


http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/bluebook/1982/s57-2040700.htm
>(イ) 深海底開発問題
>「人類の共同財産」とされる深海底鉱物資源の開発制度については,最初の実質交渉
>会期である74年のカラカス会期から8か年にわたる審議の結果,開発活動を行うため
>の国際機関(「エンタープライズ」)と並んで国及び私企業にも開発への参加を認めると
>の考え方が広く受け入れられてきた。


その他参考 URL:
- http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/bluebook/1982/s57-2040700.htm
- http://moon.jaxa.jp/ja/qanda/faq/faq7/moon_treaty_full.html (月協定・全文)
- http://www.jsforum.or.jp/business/pdf/report_fy19.pdf



   
 
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