トンデモない一行知識の世界 OLD - 唐沢俊一の「雑学」とは -

一部で有名な唐沢俊一の一行知識に、ツッコミを入れたり派生トリビアを書いたり。
「愚かで分別のない人と思われたいなら、唐沢俊一のトリビアを引用しなさい。」

 
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2008/6/25  7:50

縄が短過ぎると、なかなか死ねずに窒息死となる罠  その他の雑学本 間違い探し編

『猟奇の社会史』 P.63
また比較的安全な(?)絞首刑でも、アメリカ西部で一九一〇年、従来の
立ち木に吊す方式よりはるかに進歩したハネ台式絞首刑具(首に縄を
かけられた死刑囚の立っている床の板が開き、囚人の体が落下して縄が
首の骨を折って死に至らしめる)を使用して、無法者のブラック・ジャック・
ケッチャムという男を絞首刑にしようとしたところ、縄の長さが短かったため、
ハネ台から勢いよく落ちたケッチャムの体重を支えきれず、彼の首と胴が
きれいにチョン切れてしまった、という事件もあった。

× 一九一〇年  ○ 一九〇一年
× ハネ台式絞首刑具  ○ 絞架式の絞首台
× 縄の長さが短かったため  ○ 縄が長過ぎたため
× ハネ台から勢いよく落ちた  ○ 絞首台から勢いよく落ちた

ブラック・ジャック・ケッチャム (Black Jack Ketchum) ―― "Black Jack" という名で
知られた Thomas Edward Ketchum――の死刑は、1910 年ではなく、1901 年 [1]。

絞首刑に使う台のことを「ハネ台式絞首刑具」「ハネ台」といっている資料はなかった。
台のことは絞首台、絞首刑台、死刑台などというのが通常だし、「死刑囚の立っている
床の板が開き、囚人の体が落下
」する方式は、「絞架式」というのが正式名称のようで、
判決文にも使用 [2] されている。

そして [1] の Wikipedia にあるように、「The rope was too long」だったために、この
死刑囚の首は切り落とされる (decapitated) はめになった。そもそも縄が短過ぎた場合
には、落とし床が開いても囚人の落下する距離はごく短いのだから、首が「チョン切れ
るほどの落下速度をかせげるはずもない――ということは、2ちゃんねるのスレでも指摘
されている通り (Read More 参照、資料も充実)。

ちなみに、死刑執行した Clayton の人たちは絞首刑の経験がなく、テストの間に縄が
伸びてしまったか、ケッチャムの体重を判断しかねたのが原因ともいわれている [3]。
しかし、何も首のちぎれた写真を Post Card にしなくとも……[1]。

[1] - http://en.wikipedia.org/wiki/Tom_Ketchum
> Thomas Edward Ketchum (October 31, 1863-April 26, 1901), also known as
> "Black Jack", was at first an ordinary cowboy and cattle driver who later turned
> to a life of crime. He was hanged in 1901 for attempted train robbery.
〈略〉
> Ketchum was executed by hanging in Clayton, New Mexico Territory, on April 26,
> 1901. The rope was too long, and since nobody in Clayton had any experience in
> hanging people, Ketchum was decapitated.
〈略〉
> Sepia-tone photo from a contemporary postcard showing Tom Ketchum's
> decapitated body. Caption reads "Body of Black Jack after the hanging showing
> head snapped off."


[2] - http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/333BEBD2ECCECEC449256A850030AD87.pdf
>二、太政官布告六五号は明治三年一二月二日頒布の新律綱領に定められた絞首刑
>の執行方法である絞柱式を改め、絞架式とするため、その刑具とその使用方洗を
>図解し、また、絞縄解除の時間を定めたものであるが、新律綱領および改定律令が
>明治一五年旧刑法の施行により廃止されたものと解すべきものとしても、右布告は
>これに附随して当然に失効することなく旧刑法の死刑(絞首刑)の執行方法を定めた
>ものとしてなおその効力を有し、更に旧刑法が廃止され、新刑法が施行された後も
>その死刑の執行方法を定めたものとして有効に存続していたものと解すべきことは、
>その間同布告を廃止する旨の何らの法令も発せられず、また、これに代わるべき法令
>の制定もなかつたことによつても明白である。


[3] - http://www.badhombres.com/outlaws/black-jack-ketchum.htm
> Finally the sheriff took two blows with a hatchet before the rope was cut,
> then my uncle fell to the ground, he had been beheaded. It was the first time
> anyone was ever hung in Clayton, so many mistakes were probably made like
> he rope was probably stretched while testing and they probably misjudged
> Tom's weight.


その他参考 URL:
- http://www.geocities.jp/kyoketu/59054.html
- http://www.axis-cafe.net/weblog/t-ohya/archives/000069.html
- http://www.akashi.co.jp/menue/books/1720/hanging.htm
- http://www.legendsofamerica.com/HC-BlackJackKetchum2.html
- http://www.claytonnewmexico.net/blackjack.html
- http://www.ff.iij4u.or.jp/%7Eyeelen/system/howto/hanging.htm
- http://www.ff.iij4u.or.jp/%7Eyeelen/system/howto/rope.htm
- http://ura.sakuraweb.com/ura/gomon_06_03.htm





http://love6.2ch.net/test/read.cgi/books/1212823815/821-

821 :無名草子さん:2008/06/24(火) 08:00:29
『猟奇の社会史』ミリオン出版 2006 P63

>また比較的安全な(?)絞首刑でも、アメリカ西部で一九一〇年、従来の立ち木に吊す方式よりはるかに進歩した
>はね台式絞首刑具(首に縄をかけられた死刑囚の立っている床の板が開き、囚人の体が落下して縄が首の骨を折って
>死に至らしめる)を使用して、無法者のブラック・ジャック・ケッチャムという男を絞首刑にしようとしたところ、
>縄の長さが短かったため、ハネ台から勢いよく落ちたケッチャムの体重を支えきれず、彼の首と胴がきれいにチョン
>切れてしまった、という事件もあった。

「首が胴からチョン切れた」だろうという問題はおいといて。
「縄の長さが短かったため」とはどういう意味なのだろうか。一番短い場合、ハネ台に立ったとき、ロープに弛みのない長さで、
ハネ台が開いたときの落下距離はゼロである。これで首がチョン切れるはずがなく、明らかに「縄が長過ぎたため」の間違いである。

823 :無名草子さん:2008/06/24(火) 09:04:47
>はね台式絞首刑具

ググってもヒットしないんだけど。普通の名称は何なんだろ。
地下絞架式の絞首台とか?

http://www.geocities.jp/kyoketu/59054.html
http://www.axis-cafe.net/weblog/t-ohya/archives/000069.html

824 :無名草子さん:2008/06/24(火) 09:55:44
ブラック・ジャック・ケッチャムの処刑は一九〇一年

“Tom Ketchum”
http://en.wikipedia.org/wiki/Tom_Ketchum
>Thomas Edward Ketchum (October 31, 1863?April 26, 1901), also
>known as "Black Jack", was at first an ordinary cowboy and cattle
>driver who later turned to a life of crime. He was hanged in 1901 for
>attempted train robbery.

『死刑百科事典』絞首刑の項
http://www.akashi.co.jp/menue/books/1720/hanging.htm
>最もうまくいった場合では、綱の結び目が脊椎頸部の骨をいくつか折り、
脊椎頸部が脊柱内に陥没すれば犠牲者は即死する。だが不手際な処刑の
>例では、頭部がもぎ取れる。実際、1901年のニューメキシコ州における
>ブラック・ジャック・ケッチャム(Black Jack Ketchum)の場合では、
>立会人の前列まで血が飛び散った。

↓処刑の模様
http://www.legendsofamerica.com/HC-BlackJackKetchum2.html

825 :824:2008/06/24(火) 10:09:04
↓ここも参考
http://www.claytonnewmexico.net/blackjack.html

826 :無名草子さん:2008/06/24(火) 10:16:12
Thomas E. "Black Jack" Ketchum - October 31, 1863 - April 26, 1901
by Justine Ritter
http://www.badhombres.com/outlaws/black-jack-ketchum.htm

>Finally the sheriff took two blows with a hatchet before the rope was cut,
>then my uncle fell to the ground, he had been beheaded. It was the first time
>anyone was ever hung in Clayton, so many mistakes were probably made like
>the rope was probably stretched while testing and they probably misjudged
>Tom's weight.

827 :無名草子さん:2008/06/24(火) 10:37:09
「縛り首」
http://www.ff.iij4u.or.jp/~yeelen/system/howto/hanging.htm

「体重と絞首縄の対応表」
http://www.ff.iij4u.or.jp/~yeelen/system/howto/rope.htm
>縄が短いとゆっくり窒息することになるが、逆に長すぎると首が千切れてしまうので注意が必要。

829 :無名草子さん:2008/06/24(火) 11:05:07
「絞首刑(吊し首)」
http://ura.sakuraweb.com/ura/gomon_06_03.htm

>多くのイギリス人刑吏が、自分こそ発案者だと主張した「ロング・ドロップ」は、19世紀にアイルランド人が考案
>したと言われている。
>1,後ろ手に縛られた受刑者は、落とし板の上にのせられる。
>2,受刑者はくるぶしに足枷をはめられ、頭には頭巾をかぶせられる。(国によって色は違う、白、黒、ベージュなど)
>3,長さを自由に調節できる縄は、結び目が下あごの左側にくるように首にかけられる。
4,刑吏が、レバーか紐の切断(現代ではスイッチ操作)によって落とし板のロックをはずすと、受刑者は落下する。

>「ロング・ドロップ」に使用される縄の長さは、受刑者の身長と体重によって決定される。
>縄の長さが短いと脊椎は折れず、受刑者は「吊り下ろし」と同じでゆっくりと窒息死することになる。
>逆に縄が長いと、衝撃で首が切断される。
>ちなみに、体重「61.2キロ」の受刑者に対応する縄の長さは「2.23メートル」と言われている。

>56人の受刑者に対する検証を行った、ロンドンの検死官「ベンリー・バーチャス」によれば、絞首による真の死因は
>頚椎破壊と脊髄損傷であると言う。
>「ロング・ドロップ」によってもたらされる障害は、即座の失神であり、意識が戻ることはなかった。
>それに対して心臓の方は、30分後も動いている(単なる機械的動き)ことがあったと言う。
>よってイギリスでは、医師が死亡を確認してから1時間遺体をぶら下げて置くように指示された。

831 :829:2008/06/24(火) 11:22:40
>>821

連投スマンね。

まず、処刑の年代が間違い。
一九一〇年ではなく、一九〇一年。

「縄の長さが短かったため」「彼の首と胴がきれいにチョン切れてしまった」も間違い。
縄が短いと脊椎は折れずゆっくりと窒息死、縄が長いと衝撃で首が切断される。

「ロング・ドロップ」の日本語の呼称は確認できず。
そもそも、これに対応する日本語の呼称が存在するものかどうか・・・

836 :無名草子さん:2008/06/24(火) 15:05:52
>はね台式絞首刑具

「はね台」なんて、パチンコ以外に何かあるか?



2008/6/25  23:25

投稿者:トンデモない一行知識
http://tondemonai2.web.fc2.com/

>マスメディアの発達する前の絵葉書のは報道的側面も

( ・∀・)つ〃∩ へぇ~

しかし、何というか……これらの絵葉書を見ていると、阪神大震災の
ときの、群がるワイドショーのレポーターとか、被災地で記念写真を
撮っていたとかいう人たちのことが、妙に思い出されたり。

どちらも当時はかなり顰蹙を買っていましたが、人のやることは昔も
今も――という話かもしれませんl。

http://www.himoji.jp/database/db06/postcard.html
>絵葉書写真は震災の惨状を伝える重要な情報源として地方から救援
>に来た人々が地方へ持ち帰り、東京や横浜の震災の姿が全国へ伝わ
>る情報伝達の役割を果たしました。
〈略〉
>したがって、地図に落としてもレイヤーは異なるもののほとんどが
>重なってしまいます。
>それがまた、なんと江戸以来、あるいは帝都東京の名所とされたと
>ころと重なることです。
>名所 (などころ) を写す絵葉書写真が大衆の購買欲をそそる商品であ
>るためにはこれは必要条件ですが、問題は災害のイメージもこうし
>たものを通して作られ、固定化されるという点です。

2008/6/25  10:08

投稿者:WOO

>しかし、何も首のちぎれた写真を Post Card にしな
くとも……

関東大震災の惨状を撮影した絵葉書もあったみたいで
すが、何故そんな絵葉書が作られたか?
マスメディアの発達する前の絵葉書のは報道的側面も
あったようで。

http://ambitious.lib.hokudai.ac.jp/hoppodb/photo/
doc/0B026280000000.html
http://page13.auctions.yahoo.co.jp/jp/auction/
r47218280
http://www.himoji.jp/database/db06/postcard.html

関東大震災の絵葉書では「両国附近の累々たる死体」
なんてのも!
http://page11.auctions.yahoo.co.jp/jp/show/
qanda?aID=n51098937

2008/6/25  7:30

投稿者:トンデモない一行知識
http://tondemonai2.web.fc2.com/

修正しておきました。ありがとうございました。

2008/6/25  6:23

投稿者:藤岡真

すみません。「はね台」は最初にレスをつけたときに写し間違えました。「ハネ台」で統一して下さい。

   
 
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