2008/6/22 12:47
で、人間の脳がうまいって、脳内で寄生虫がそう囁いたの? その他の雑学本 間違い探し編
唐沢俊一「知らなきゃ良かった!」 (MouRa)
第一回「ただいま寄生虫!」
http://moura.jp/liter/karasawa/001/index.html#001
「味の方を優先させる線虫の一派」というのが、どこからきたものかは不明。寄生虫が
脳に入り込む理由を、味がうまいからと推定するにいたった経緯がさっぱりわからない。
広東住血線虫は、本来の宿主であるネズミに寄生すると、胃や小腸から中枢神経系
に達し、脳内を移動しながら発育して、幼若成虫になった時点で「頭蓋や脊柱管から
出る静脈に侵入して心臓に達し、結局肺動脈で成熟する」。唐沢俊一のいう「脳などに
入り込んでしまったら、もう外へは出られない」というのは単なる妄想。何も頭蓋骨を
破壊して直接外界に出なければいけないわけではないのだ。
非固有宿主である人間や家畜が感染したときは、広東住血線虫は脳内で幼若成虫に
まで発育するが、脳内で死滅する。宿主の方は「この中枢神経系内寄生期に、好酸球
性髄膜脳炎を発症」する。
http://idsc.nih.go.jp/idwr/kansen/k04/k04_25.html
> ネズミが中間宿主や待機宿主を摂取すると、L3は胃や小腸で脱鞘し、感染後2~3
>日の間に血行性に、あるいは筋肉から末梢神経に沿って中枢神経系に達する6)。
>この幼虫は脳内を移行しながら2回脱皮して第5期幼虫となり、さらに発育して幼若成
>虫となってくも膜下腔に出る。幼若成虫は感染後26~29日に頭蓋や脊柱管から出る
>静脈に侵入して心臓に達し、結局肺動脈で成熟する。L1がネズミの糞便に現れるの
>は感染後40~42日である4)。非固有宿主であるヒトや 家畜が感染すると、虫体は
>同様な体内移行を行い、幼若成虫にまで発育するが、早晩脳内で死滅する。しかし、
>非固有宿主ではこの中枢神経系内寄生期に、好酸球性髄膜脳炎を発症する。
唐沢俊一のコラムには、こうも書かれている。
まあ、どうしても「寄生虫たちのグルメの対象」というオチをいいたいから、前述の「味の
方を優先させる」というトンデモをもってきたのかもしれないけど、エキノコックスは別に
脳にだけにいつくわけではない。
http://idsc.nih.go.jp/idwr/kansen/k01_g3/k01_48/k01_48.html
>ヒトが虫卵を口から摂取すると幼虫が虫卵から出て腸壁に侵入し、血流あるいはリン
>パ流に乗って身体各所に運ばれて定着・増殖する。
http://idsc.nih.go.jp/idwr/kansen/k01_g3/k01_48/48_fig2.gif の図を見ると、肝臓にも
肺にも、いつくことがわかる。
「ギニア虫もよいけどサナダ虫を無視しないでください」のコメント欄も参照のこと。
第一回「ただいま寄生虫!」
http://moura.jp/liter/karasawa/001/index.html#001
この広東住血線虫が脳に登るのはよくわからない。脳などに入り込んで
しまったら、もう外へは出られないのだから、繁殖には不利な筈なのだ。
……ようは、繁殖本能より、味の方を優先させる線虫の一派がいるらしい。
「味の方を優先させる線虫の一派」というのが、どこからきたものかは不明。寄生虫が
脳に入り込む理由を、味がうまいからと推定するにいたった経緯がさっぱりわからない。
広東住血線虫は、本来の宿主であるネズミに寄生すると、胃や小腸から中枢神経系
に達し、脳内を移動しながら発育して、幼若成虫になった時点で「頭蓋や脊柱管から
出る静脈に侵入して心臓に達し、結局肺動脈で成熟する」。唐沢俊一のいう「脳などに
入り込んでしまったら、もう外へは出られない」というのは単なる妄想。何も頭蓋骨を
破壊して直接外界に出なければいけないわけではないのだ。
非固有宿主である人間や家畜が感染したときは、広東住血線虫は脳内で幼若成虫に
まで発育するが、脳内で死滅する。宿主の方は「この中枢神経系内寄生期に、好酸球
性髄膜脳炎を発症」する。
http://idsc.nih.go.jp/idwr/kansen/k04/k04_25.html
> ネズミが中間宿主や待機宿主を摂取すると、L3は胃や小腸で脱鞘し、感染後2~3
>日の間に血行性に、あるいは筋肉から末梢神経に沿って中枢神経系に達する6)。
>この幼虫は脳内を移行しながら2回脱皮して第5期幼虫となり、さらに発育して幼若成
>虫となってくも膜下腔に出る。幼若成虫は感染後26~29日に頭蓋や脊柱管から出る
>静脈に侵入して心臓に達し、結局肺動脈で成熟する。L1がネズミの糞便に現れるの
>は感染後40~42日である4)。非固有宿主であるヒトや 家畜が感染すると、虫体は
>同様な体内移行を行い、幼若成虫にまで発育するが、早晩脳内で死滅する。しかし、
>非固有宿主ではこの中枢神経系内寄生期に、好酸球性髄膜脳炎を発症する。
唐沢俊一のコラムには、こうも書かれている。
人間もグルメでよく命を落とすが、グルメな寄生虫には人間の脳ミソは大変
な珍味であるらしい。キタキツネを宿主とすることで有名なエキノコックスも、
人間の脳が大好きで、頭の中にいつくと、栄養豊富な脳ミソを食い散らかして
どんどん成長し、最初は体長1ミリ程度だったものが、数年後には直径20
センチほどのボール状に肥大する。〈略〉海外旅行、国内旅行などでグルメな
旅を堪能するプランが人気だが、自分が寄生虫たちのグルメの対象になって
いることを、どうかお忘れなく。
まあ、どうしても「寄生虫たちのグルメの対象」というオチをいいたいから、前述の「味の
方を優先させる」というトンデモをもってきたのかもしれないけど、エキノコックスは別に
脳にだけにいつくわけではない。
http://idsc.nih.go.jp/idwr/kansen/k01_g3/k01_48/k01_48.html
>ヒトが虫卵を口から摂取すると幼虫が虫卵から出て腸壁に侵入し、血流あるいはリン
>パ流に乗って身体各所に運ばれて定着・増殖する。
http://idsc.nih.go.jp/idwr/kansen/k01_g3/k01_48/48_fig2.gif の図を見ると、肝臓にも
肺にも、いつくことがわかる。
「ギニア虫もよいけどサナダ虫を無視しないでください」のコメント欄も参照のこと。