トンデモない一行知識の世界 OLD - 唐沢俊一の「雑学」とは -

一部で有名な唐沢俊一の一行知識に、ツッコミを入れたり派生トリビアを書いたり。
「愚かで分別のない人と思われたいなら、唐沢俊一のトリビアを引用しなさい。」

 
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2008/5/17  23:37

青酸カリーというメニューのある食べ物屋もあるそうだが……  その他の雑学本 間違い探し編

『裏モノの神様』 チョコのはなし P.57
青酸カレー事件というのが話題になったが、青酸カリの仕込み場所の二大
定番がこのカレーとチョコレートだという。理由は、青酸カリという薬品には
かなり強烈な刺激臭 (よくアーモンドの匂いに例えられる) があり、普通の
食べ物に混ぜ込んでも、すぐに匂いでばれてしまうからだという。カレーは
その刺激臭を香辛料でごまかすことができるのでよく利用されるのだ。
一方、チョコの方は、アーモンドが中に入っているのが普通なので……。

チョコの方は、アーモンドが中に入っているのが普通」といわれても、チョコが全て
アーモンドチョコのわけはないし、「青酸な殺人現場?」にも書いたけど、青酸カリの
アーモンドの匂い」は、チョコに入っているような煎ったアーモンドの匂いではなく、
収穫前のアーモンドの実の甘酸っぱい匂いをさすことは、常識となっている。

さらに、そのアーモンドの匂いは胃酸と反応したときに出る匂いであって、青酸カリ
が単独または食べ物と混じったときに、そのような香りを発するわけではない。

この「ウラのウラ」のコラムが変なのは、単にそうした知識が唐沢俊一に欠けていると
いうことのみが理由ではなく、青酸カリの匂いをチョコレートに入っているアーモンドの
匂いと同一視する一方で、「強烈な刺激臭」とも書いてしまう辻褄の合わなさもある
と思う。アーモンドチョコのアーモンドの匂いは、刺激臭とは普通いわない。

また、カレーについては、「話題になった」という事件が和歌山カレー事件のことならば、
混入されていた毒物はヒ素 (亜ヒ酸)。初期に青酸カリと発表されたけど、割と早い段階
で訂正されている――というのは「青酸な殺人現場?」のコメント欄にも書いた通り。
(ちなみに、和歌山カレー事件には、冤罪救済支援の運動あり)。

カレーに青酸カリの事件が多発していて「仕込み場所の二大定番」のひとつというのが
適切な状況ならば、1 件くらい減っても「定番」のままだろうけど、カレーやチョコレートに
青酸カリという組み合わせはよく使われるものなのか、そもそも青酸カリという毒物が、
現実に犯罪に多用されているものなのかというのも疑問である。

フィクションの世界では、青酸カリは非常によく使われる毒物であるが、実際の事件を
前振りにしているからには、フィクションの世界の定番を語るつもりは、唐沢俊一には
なかったものと解釈する。

しかし、現実の世界の青酸カリは、フィクションで扱われるそれとは違い、ごく少量で
劇的な効果をうむ便利な毒物ではない。致死量の 0.2g というのを、マスコミはよく
「耳かき 1 杯分」と表現するが、7mm径の錠剤 1 錠の重さが 0.15g とすれば、これは
少し大げさな言い方。フグ毒の数百分の一という言い方も可能 [1]。

長期間空気中に置いておくと毒性を失う [2] ため保管は簡単ではないし、味は非常に
苦くてカレーに混ぜても誤摩化せないだろうともいわれるし [1]、飲み物に混ぜても、
それが酸を多く含むものなら揮発するし [2]、糖分がシアン化物と化合すると毒作用は
現れない [3] というのが本当ならばチョコ等に混ぜるのは効果が今ひとつとなるしで、
毒物としてそんなに使い勝手のよいものではなさそう。

なお、青酸といえば真っ先に思い出される事件のひとつが青酸コーラ無差別殺人事件
であるが、この事件で使用されたのは青酸ナトリウム [4]。(「かい人 21 面相の毒入り
チョコの方は、青酸ソーダ (青酸ナトリウム)、青酸カリのどちらかよくわからなかったが、
確か青酸ソーダといわれていたような)。

[1] - http://www.bekkoame.ne.jp/%7Eagatha/ZSEISANK.html
[2] - http://ja.wikipedia.org/wiki/シアン化カリウム
[3] - http://www.kyoto-u.com/lounge/discuss/html/200410/04100096.html
[4] - http://ja.wikipedia.org/wiki/青酸コーラ無差別殺人事件


追記 : コメント欄で、青酸ソーダ=青酸ナトリウムとの指摘を受けながら、修正漏れ
していたのを、遅ればせながら訂正。


http://love6.2ch.net/test/read.cgi/books/1210096847/201-

201 :無名草子さん:2008/05/10(土) 23:08:48
『裏モノの神様』チョコの話 P57

>青酸カリの仕込み場所の二大定番がこのカレーとチョコレートだという。
>理由は、青酸カリという薬品にはかなり強烈な刺激臭(よくアーモンドの匂いに例えられる)があり、
>普通の食べ物に混ぜ込んでも、すぐに匂いでばれてしまうからだという。
>カレーはその刺激臭を香辛料でごまかすことができるのでよく利用されるのだ。
>一方、チョコの方は、アーモンドが中に入っているのが普通なので……。

 嘘ばっかし。
 青酸カリにはアーモンド臭なんてありません。
 胃酸と反応したときに発生する青酸ガスに刺激臭があるのです。
 したがって「青酸カリの仕込み場所の二大定番」ということがそもそも大嘘(「仕込み場所」ってのもなあ…)。
 カレーにぶち込まなくてもいいし、そもそも、アーモンドチョコレートに仕込んだだけで分からなくなるような匂いが
 刺激臭ってのをおかしいと思わないのかね。なんで、知りもしないことを、調べもしないで書くのだろう、コイツは。

203 :無名草子さん:2008/05/10(土) 23:15:35
201続き。
「アーモンドの匂い」と言っても「アーモンドチョコレート」に入っているアーモンドの「甘くて香ばしい香り」ではない。
そもそも食用にしているのはアーモンドの実から、果肉を取り去った種子(殻を取ったもの)。チョコレートに入っているのは
これをさらにローストしたものだ。アーモンドの果肉には甘酸っぱい刺激臭があり、これが青酸ガスの匂いに似ている。



2008/5/18  13:54

投稿者:トンデモない一行知識
http://tondemonai2.web.fc2.com/

>青酸ナトリウム=青酸ソーダです。

いつもありがとうございます。ご指摘の通り、
青酸ナトリウム=青酸ソーダで、=シアン化ナトリウムですね。

http://ja.wikipedia.org/wiki/シアン化ナトリウム
>シアン化ナトリウム(シアンかナトリウム、sodium cyanide)は
>青酸ソーダ、青化ソーダとも呼ばれ、知名度は青酸カリに譲るが
>工業的には最も主要なシアン化アルカリである。

>別名 青酸ナトリウム、青化ソーダ

# ……やっぱり基礎教養というものがないと、何かとダメだなあ。


で、金平糖さんのおっしゃる通り、食べ物というより飲み物に混ぜる
ことが多いんじゃないかというのがググった印象でした。
チョコレートとカレーというのは、グリコ森永事件とか和歌山毒入り
カレー事件とかの印象と、漫画の世界での定番からきた説じゃないか
と推測しています。レディコミ系のミステリーとかから。

2008/5/18  8:19

投稿者:藤岡真

 ナトリウムを英語ではSodiumといいます。つまり「ソーダ」はナトリウム化合物のことで、
 青酸ナトリウム=青酸ソーダです。
 炭酸水素ナトリウムを用いた発泡性の飲料を、ソーダ(ソーダ水)と称するので、ソーダという言葉からは、発泡性の液体を連想しがちですが。

2008/5/18  2:20

投稿者:金平糖

日本で青酸カリを使った毒殺では主に
薬と偽って飲ませる
紅茶、牛乳、コーラ、サイダー、栄養剤に混ぜて飲ませる
大体こんな感じになってます

少なくともカレーやチョコレートに青酸カリを混入した毒殺は聞いたことがないです

少なくともカレーに混ぜるのは無茶です
鍋に混入しても本人が食べるのは、お玉ですくった分だけ
完食しない可能性も考えれば、鍋には驚くほどの量を混ぜる必要がある
大量殺人を狙って大量の毒を混入する場合でなければカレーに混ぜるのはありえない

   
 
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