トンデモない一行知識の世界 OLD - 唐沢俊一の「雑学」とは -

一部で有名な唐沢俊一の一行知識に、ツッコミを入れたり派生トリビアを書いたり。
「愚かで分別のない人と思われたいなら、唐沢俊一のトリビアを引用しなさい。」

 
旧 URL は、http://diary.aol.com/yzuc9ww/434.html
文字列の一括置換をかけた都合上、旧ブログのコメント欄および2ちゃんねるのスレからの引用の中の URL も全部新 URL に置き換わっていますことを、あらかじめご了承ください
http://tondemonai2.blog114.fc2.com/ で続きの Blog をやっています
   
 

2008/5/17  1:46

麻酔と睡魔との戦い  その他の雑学本 パクリ探し編

『唐沢先生の雑学授業』 P.42 ~ P.44
一八〇〇年頃、亜酸化窒素がいわゆる“笑いガス”として発見されたが、
発見からしばらくは何にこれを使えばいいかわからず、みんなで笑いガス
を吸ってアハハと笑い合う、「笑気ガスパーティ」をやって遊んでいた。
〈略〉
これに出席していたアメリカ人歯科医のホレス・ウェルズという人が、
あるときこのパーティで笑気ガスを吸っていた男が足を怪我しても痛がる
様子がないことに気づき、このガスを歯の治療に応用したらどうかと思い
ついた……。
〈略〉
この治療が評判になって、彼の病院は痛くない歯医者として患者が殺到
するようになった。
〈略〉
これで満足しておけばよかったのだが、ウェルズはこれで麻酔にとりつか
れてしまい、いろいろ研究をすすめるうちに、自分自身が麻酔薬中毒に
かかってしまった。
〈略〉
これで精神に異常を来したウェルズはとうとう自殺してしまうが、さすが
麻酔治療の元祖というか、その方法というのが、自分に麻酔をかけた上で
血管を切るというものだった。

おぐりが話している設定の、単なる相づちの部分などは略している。

2ちゃんねるのスレでパクリ元と目されている (Read More 参照) のは、これ↓

http://why.mods.jp/contents/science.htm#9
> 19世紀当時、エーテルや笑気ガスを吸って楽しむ、なにやら危ない「笑気ガスパー
>ティ」が流行していた。これに出席していたアメリカ人歯科医のホレス・ウェルズは、
>笑気ガスを吸っていた男性が足を怪我しても痛がる様子がないのに気付いた。そこで
>このガスを歯の治療に応用したのである。
> この治療が評判になって彼のところには患者が殺到するようになる。麻酔時代の
>幕開けである。
> それからウェルズは様々な麻酔の研究をするようになるが、あるときクロロホルム
>中毒にかかってしまう。クロロホルムといえば推理モノでおなじみの、即効性の高い
>麻酔だが、毒性があり発がん性もある。そのため現在では特別な用途をのぞき医療
>では使われていない。
> そしてウェルズはクロロホルム中毒が原因で自殺してしまうのだが、その方法が
>麻酔をかけた上血管を切るという、なんとも皮肉なものだった。


上記のページは Webarhive に 2004 年 8 月 26 日時点のものが存在するのに対し、
『唐沢先生の雑学授業』の初版は、2005 年 9 月 25 日。

表現が一致しているのは、「アメリカ人歯科医のホレス・ウェルズ」、「笑気ガスを吸って
いた男性が足を怪我しても痛がる様子がない
」、「このガスを歯の治療に応用」、「この
治療が評判になって
」、「患者が殺到するように」、「麻酔をかけた上」、「血管を切る」。

内容としては、パクリ元と思われるページに書かれていて、『唐沢先生の雑学授業』に
載っていない情報はある (クロロホルムについてなど) けれど、その逆はあまりなくて、
亜酸化窒素」に「精神に異常」くらい。

なお、ウェルズが 1845 年に麻酔の公開実験に失敗したことは、ウェルズについて語る
サイトで言及される率が高いのだが、 http://why.mods.jp/contents/science.htm#9
『唐沢先生の雑学授業』は、これについての記述がないということも共通している。

http://ja.wikipedia.org/wiki/麻酔
>翌1845年、彼はマサチューセッツ総合病院で公開デモを行ったが、失敗を犯し、患者に
>大きな痛みを感じさせた。この失敗のために彼はすべての支援を失った。


http://ar.geocities.com/doxmli/mad/mad018.html
>こうして、翌年とはいっても初の臨床試験から1ヶ月という異例の短時間で公開実験
>行ったわけだが、結果は散々。緊張や準備不足で、麻酔をかけた患者が抜歯の痛み
>に暴れだしてしまう。
>こうして麻酔の父どころか、ヤマ師として信用を失ったウェルズは田舎に引っ込むこと
>になるが、それでも笑気ガスの麻酔を信じていた。そんな最中、ウェルズは誤って一人
>の患者を麻酔で死なせてしまう。
>こうして歯科医としてもやっていけなくったウェルズは、その後も職を転々としながらも
>麻酔の研究を続行。笑気ガスの代わりにクロロホルムを用いた麻酔を研究するのだが、
>自分自身で人体実験をし続けた為に、精神に異常をきたしてしまう。その為、通行人に
>硫酸をかけて逮捕され、刑務所に入ったこともあった。


http://www.shin-toku.com/renewal/10column/column10.html
>ここで最初に公開麻酔を行ったのは、モートンの師にあたる歯科医ホレス・ウェルズで、
>1845年に笑気ガスを使って抜歯を試みます。事前の実験では成功したのですが、本番
>の患者がとても太っていたので、笑気ガスの調整がうまくいかず、途中で麻酔から覚め
>てしまい失敗に終わります。
〈略〉
>その後この3人は全身麻酔の創始者の座をめぐって自分をアピールするため、壮絶な
>戦いを繰り広げますが、麻酔薬の過剰な吸入が原因と思われる精神異常をきたし、富も
>得られないまま、全員が悲惨な死を遂げています。




http://www.23ch.info/test/read.cgi/books/1208355813/466

466 :無名草子さん:2008/05/13(火) 10:41:11
「唐沢先生の雑学授業」P.42~44
>一八〇〇年頃、亜酸化窒素がいわゆる“笑いガス”として発見されたが、
>発見からしばらくは何にこれを使えばいいかわからず、みんなで笑いガスを吸ってアハハと笑い合う、
>「笑気ガスパーティ」をやって遊んでいた。
>これに出席していたアメリカ人歯科医のホレス・ウェルズという人が、
>あるときこのパーティで笑気ガスを吸っていた男が足を怪我しても痛がる様子がないことに気づき、
>このガスを歯の治療に応用したらどうかと思いついた……。
>この治療が評判になって、彼の病院は痛くない歯医者として患者が殺到するようになった。
(中略)
>これで満足しておけばよかったのだが、ウェルズはこれで麻酔にとりつかれてしまい、
>いろいろ研究をすすめるうちに、自分自身が麻酔薬中毒にかかってしまった。
>これで精神に異常を来したウェルズはとうとう自殺してしまうが、さすが麻酔治療の元祖というか、
>その方法というのが、自分に麻酔をかけた上で血管を切るというものだった。

長いので、唐沢発言のみをピックアップ、および一部略。
結論から言えば、ここの記述は下のサイトからのパクリ。
ttp://why.mods.jp/contents/science.htm#9
まず、唐沢発言はパクリ元に載っている情報以外の情報が無い。記述も似通っているのは見てのとおり。
そして、パクリ元には大事なことが書かれていない。
ウェルズが麻酔薬中毒になったのは公開実験で失敗してしまい、地位を失ったため、という肝心要のことが書かれていない。
>こうして、翌年とはいっても初の臨床試験から1ヶ月という異例の短時間で公開実験行ったわけだが、結果は散々。
>緊張や準備不足で、麻酔をかけた患者が抜歯の痛みに暴れだしてしまう。
ttp://ar.geocities.com/doxmli/mad/mad018.html
>事前の実験では成功したのですが、本番の患者がとても太っていたので、笑気ガスの調整がうまくいかず、
>途中で麻酔から覚めてしまい失敗に終わります。
ttp://www.shin-toku.com/renewal/10column/column10.html
あと、麻酔薬中毒になって硫酸を売春婦にかけた、というおいしいネタもパクリ元には書かれていない。
ttp://en.wikipedia.org/wiki/Horace_Wells




   
 
HOME

 

 

inserted by FC2 system