トンデモない一行知識の世界 OLD - 唐沢俊一の「雑学」とは -

一部で有名な唐沢俊一の一行知識に、ツッコミを入れたり派生トリビアを書いたり。
「愚かで分別のない人と思われたいなら、唐沢俊一のトリビアを引用しなさい。」

 
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2008/5/4  0:22

疑わず信じ続けるって、そんなに簡単なことじゃない  その他の雑学本 間違い探し編

『奇人怪人偏愛記』 P.130
 キイの主張する、マスメディアの大衆操作方法は単純極まりない。それは、
商品や宣伝写真の中に、秘かに“SEX”という文字を印刷することであった。
 今考えれば単純過ぎる主張だが、とにかく、キイの慧眼に照らすと、リッツ・
クラッカーの表面には見えないほどうっすらとした文字で無数のSEXという
文字が書き込まれている。

この「キイ」とは、『メディア・セックス』という本を書いたウィルソン・ブライアン・キイのこと。

『奇人怪人偏愛記』 P.132
 こんな妄想というか強迫神経症というか、そんな説が、七〇年代には大流行
し、多くの人がマスコミのセックス戦略を信じて疑わなかった。
 これはおかしいんじゃないか、という疑いの声があがりはじめたのは、ホンの
十年くらい前のことでしかない。

『奇人怪人偏愛記』の出版は 2006 年。「ホンの十年くらい前」というのは、1996 年頃と
いうことになる。ちなみに、TBS がオウム報道でサブリミナル効果を使ったとか非難され
たり、『トンデモ本の世界』が出版されたりしたのが 1995 年。

で、まあ、2ちゃんねるのスレにもいろいろ書き込まれていた (Read More 参照) けれど、
サブリミナル効果でコーラやポップコーンの売上げが伸びたとかいう話の方ならまだしも、
クラッカーの表面、広告、お札などに SEX の文字がたくさん――という話を「多くの人が
信じて疑わなかった」のだとしてしまうのは、嘘とかデマとかの類いとなる。

この話を信じようにも、唐沢俊一が上記の本で紹介している通り、キイがあると主張して
いた “SEX” の文字は、あまりにもうっすらとし過ぎていて (?)、たいていの人にとっては
確認不能なものでしかなかった。また、遅くとも 1980 年代には、“SEX” という文字が
あったからってそれが何?――という程度には性解放は進んでいたと記憶する。

つまり、「信じて疑わなかった」人たちとは、唐沢俊一をはじめとする、と学会用語では
「ビリーバー」と呼ばれる人たちくらいだったであろう、というオチ。




http://love6.2ch.net/test/read.cgi/books/1208837414/552-

552 :無名草子さん:2008/04/27(日) 23:08:48
もう唐沢がレミングの自殺を信じていたとしても驚かないがw

553 :無名草子さん:2008/04/27(日) 23:12:51
唐沢ってトンデモさんにとって一番騙しやすいお客さんじゃないの?

568 :無名草子さん:2008/04/28(月) 02:16:56
>>553
そうじゃないかなあ。と学会用語で言えばビリーバーというか。

『奇人怪人偏愛記』では、『メディア・セックス』を書いたウィルソン・ブライアン・
キイという人を紹介しているんだけど。P.130 では、

> キイの主張する、マスメディアの大衆操作方法は単純極まりない。それは、
>商品や宣伝写真の中に、秘かに“SEX”という文字を印刷することであった。
> 今考えれば単純過ぎる主張だが、とにかく、キイの慧眼に照らすと、リッツ・
>クラッカーの表面には見えないほどうっすらとした文字で無数のSEXという文字が
>書き込まれている。

で、P.132 には、

> こんな妄想というか強迫神経症というか、そんな説が、七〇年代には大流行し、
>多くの人がマスコミのセックス戦略を信じて疑わなかった。
> これはおかしいんじゃないか、という疑いの声があがりはじめたのは、ホンの
>十年くらい前のことでしかない。

大流行といっても、ムー読者でもない多くの人は、信じるとか疑うとかいう以前に、
そんな主張の存在さえロクに知らなかったんじゃないかという気もするけど。
それとも誰もが知っているくらいに有名だったのかなあ、『メディア・セックス』って。

信じて疑わない人も多かった、というように解釈すればいいのかなとも思ったけど、
それだとその後の「疑いの声があがりはじめたのは、ホンの十年くらい前」と
つながりが悪いように思えるし。

この本は 2006 年刊だから、10 年前というと『トンデモ本の逆襲』あたりかな。
確かにその前は、わざわざ疑いの声をあげる本も少なかったかもしれないけれど、
その前は、多くの人がこの話を知っていて、信じて疑わなかったと言われると
どうしても違和感が。単に自分が信じて疑わなかっただけでは。

569 :無名草子さん:2008/04/28(月) 02:28:59
メディアセックスが有名だったのは確かだと思う。
俺も半分信じてる時期があった。

570 :無名草子さん:2008/04/28(月) 03:07:20
>>569
「半分信じてる」と「信じて疑わなかった」では大分違うでしょ。
宇宙人の乗り物としての UFO や幽霊などでもそうだけど、
疑似科学否定本(と学会の本、『奇妙な論理』、その他何でもいいけど)とかを見て、
ああ変なこと言っていると気がついたり、それをアンチョコにして初めてちゃんと
おかしな点を説明できるようになったり、というのはあると思う。(自分基準の話で)。

じゃあ、その前は、疑いもせず信じていたのか?と聞かれると、何か違うと思う。
どちらともいえないと思っていたか、どちらでも別にいいやと思っていた、という方が
近いんじゃないかと。

まあ、唐沢のいう「多くの人がマスコミのセックス戦略を信じて疑わなかった。」は
(俺は多少は疑いの目で見ていたが)世間の人間はバカばかりと言いたいがゆえの
言葉とも解釈できるけど。


571 :無名草子さん:2008/04/28(月) 03:58:15
映画でコーラとかポップコーン買わせる奴は事実と思ってたころあったなあ。
一こまだけメッセージ入れる奴。

572 :無名草子さん:2008/04/28(月) 05:03:12
サブリミナル効果ね。
あれは「刑事コロンボ」のネタに使われたりして、けっこう知られていた。

「メディアセックス」うは、かなりキワモノ的だったような?
資料写真が、かなりいかがわしい感じだったよ。
ほらここに「SEX」の文字が!ここにも!ここにも!こんなにいっぱい!
って写真の一部を囲って提示する手法がほとんど心霊写真のノリw
コーラ瓶が女性のボディラインを模している、ってのもこれが元ネタだったかな?

573 :無名草子さん:2008/04/28(月) 07:11:02
「サルまん」でも、隠し要素としてSEXを取り入れるとヒットする、なんてのがあったな。

今調べたら、「サルまん」て1989年の作品だった。
あの時点でもパロディというか、「んなあほな」的なトーンでの紹介だった。
アレを真に受けていた人は、当時でもそんなにいなかったのでは。


574 :無名草子さん:2008/04/28(月) 07:36:52
なんでもかんでも「SEX」「SEX」と書けば売れると言うトンデモ理論だった。
リッツクラッカーなんか表面にびっしり書かれていることになっていた。
ホントかよと、笑った記憶アリ。

575 :無名草子さん:2008/04/28(月) 08:25:43
たぶん70年代末だと思うけど聞いた事があるよ、おそらく11pmあたりで
「SEXという単語を隠しワードとして入れると...」
でも、その時点でそれはギャグの一つだと思っていた。

あれをマジに受け止めていた人っているの?



2008/5/12  6:55


>吉本隆明先生は……オウムびいきで、オカルト傾倒
>で、娘のばななを絶賛する親バカ気味な人というの
>が、廃刊前の『噂の真相』のおかげで真っ先に浮か
>ぶようになってしまいました。

吉本隆明先生のオウム擁護の理屈は明らかに変でしたからね。
浅田彰さんがその点で吉本隆明先生を批判していましたが、むしろ吉本先生よりオウムに深くかかわっていたはずの中沢新一先生の方は擁護するような発言をしており、後に『噂の真相』の鼎談で中森明夫さんにその点をつっこまれたりしていました。

そうそう栗本先生の『パンツをはいたサル』にこんな記述がありまして

》余談になるが、京都大学の森毅教授が、興味深い話をしておら
》れたので紹介しておこう。
》「あるときサル学者たちが集まって、類人猿と人間とでは雑種が
》できそうだ。チンパンジーで実験したいけど、できたコドモの
》戸籍はどうしよう、なんて話をしていると、隅のほうにいた
》今西錦司先生が身をのりだしてきて、“おい、ゴリラはおれに
》やらせろよ!!”」
》長年、霊長類の研究にたずさわってきた泰斗、今西錦司先生
》ならではの名言である。
(光文社『パンツをはいたサル』P112~P113)

たぶんこれが『トンデモ一行知識の世界』P69の「ゴリラはわしによこせ!」と言った老教授の話の元ネタではないかと。森毅先生の著書にのっている可能性もありますが。

2008/5/12  4:15

投稿者:トンデモない一行知識
http://tondemonai2.web.fc2.com/

吉本隆明先生は……オウムびいきで、オカルト傾倒で、娘のばななを
絶賛する親バカ気味な人というのが、廃刊前の『噂の真相』のおかげ
で真っ先に浮かぶようになってしまいました。まあ、オカルトでも、
萌えポイント (というのか?) が違うので、今後も読まずに終わるで
しょう多分。

栗本先生の「地球は一個の巨大な調和水槽である」に「あれ?」と
思ってググってみたら、あれは密閉していなくとも OK なのですね。
何か、ガラス球に魚が一匹と水草少々が密封されていたようなのが
あった記憶があるのですが。まあ、光と熱を考えたら、開放系には
変わりないですね。

しかし、そこから人間の精神も同じとか、やっぱりガス抜きが大事
(←ちょっと違う) とかいわれても。ただ、同じオカルトなら (←オイ)
栗本慎一郎先生の方が、自分的にはなじみやすいような気がします。

ところで、『カエアンのパンツ』なら、性的語彙を研究し尽くし、
ナニかと引き立つようにしたり、めくるめくよなヒラヒラだったり、
とにかくスゴいものだったんでしたっけ。

2008/5/11  9:17


>ご紹介いただいたリンク先を見て、この人もニューアカ
>だったかと岸田秀の『性的唯幻論序説』を引っ張り出し
>てパラパラめくってみたのですけど、これはかなり読み
>やすい文章なような。

栗本先生の思想は「すべては幻想だ」という岸田先生の思想の変型バージョンみたいなところがありますね。やたらと幻想という言葉を好むのは岸田先生の影響でしょう。もともとは吉本隆明先生が「共同幻想」という言葉を使ったのが元らしいですが。

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B2%B8%E7%94%B0%E7%A7%80

2008/5/11  9:14


>栗本慎一郎先生の場合は、逆襲に引用されている文章を
>見るに、唐沢俊一的な意味での悪文じゃないかと怖じ気
>づいていたりするのですが

ある種の悪文でしょうね。ただ私は唐沢さんよりはマシじゃないかと思ってます(笑)。

>「廃熱や廃棄物をまきちらして特別な財を作り、祝祭の
>興奮の中でそれを破壊することが、エントロピーを捨て
>ることと同義だ」とか書かれているのですか、もしかして。

↓たぶんこのへん

》このままでは、地球上の生物は増大するエントロピーに窒息
》させられ、一切合財が死滅しなければならなかっただろう。
》ところが、それでも地球は、なんとかやってきた。たとえば、
》人間が作り出した産業廃棄物について言えば、一部は土の中
》のバクテリアや化学反応によって分解され、エントロピーの
》低い物質に還元され、植物に利用される。分解のさいに出た
》熱は水に含まれ、川にはいって、やがて海に至る。その海水
》が蒸発して水蒸気となって大気圏を上昇し、それによって熱
》は地球の外に捨てられる。つまり、地球は外からエネルギー
》をもらい、それをふたたび地球の外に放出するという、開放
》されたエネルギーの体系なのである。生産に伴って生じる
》「汚れ」も、最後には熱という形で地球外に捨てられている
》わけである。この章の前の方で、「地球は一個の巨大な調和
》水槽である」と言ったのも、実はこのことである。私は、
》これとまったく同じことが、人間の精神についても言える
》と考えている。だから必然的に過剰を蕩尽し、そのことに
》よって精神の平衡を取りもどすのである。この行為は、い
》わば人間社会と人間の精神にたまったエントロピーを、外に
》捨てることだと考えている。
(光文社『パンツをはいたサル』P92)

>うーん、となると、面白そうは面白そうですね。それを
>ワイドスクリーンバロックとは呼びたくないような気は
>しますがw

たぶんベイリーが書けば面白くなりますよ。「カエアンのパンツ」(笑)

2008/5/11  0:00

投稿者:トンデモない一行知識
http://tondemonai2.web.fc2.com/

ご紹介いただいたリンク先を見て、この人もニューアカだったかと
岸田秀の『性的唯幻論序説』を引っ張り出してパラパラめくってみた
のですけど、これはかなり読みやすい文章なような。

栗本慎一郎先生の場合は、逆襲に引用されている文章を見るに、唐沢
俊一的な意味での悪文じゃないかと怖じ気づいていたりするのですが
「廃熱や廃棄物をまきちらして特別な財を作り、祝祭の興奮の中で
それを破壊することが、エントロピーを捨てることと同義だ」とか
書かれているのですか、もしかして。

うーん、となると、面白そうは面白そうですね。それをワイドスク
リーンバロックとは呼びたくないような気はしますがw

2008/5/10  23:33


× デビュー作の「パンツをはいたサル」
○ 初期の著作の「パンツをはいたサル」

2008/5/10  19:24


>もしかして『パンツを脱いだサル』というのは、『カエアン
>の聖衣』のようなワイドスクリーンバロックなのか[*]、

デビュー作の「パンツをはいたサル」は「人間はパンツに支配されている!」という内容ですからまあ「カエアンの聖衣」のような話だと言えないこともないです。
ただ栗本慎一郎先生がパンツという時は法とか習俗とか道徳とか貨幣とかそういう人間を縛る制度のことを指しているので、パンツそのもののこと(だけ)じゃありませんが。

>でも、栗本慎一郎先生の本って、『トンデモ本の逆襲』でも
>紹介されているんですが、そこに引用されている文章をなが
>めるかぎりでは、是非読みたいと思うようなものではない
>ような……。

栗本慎一郎先生はあの本を書いた前後からめっきり言うことがおかしくなりましたので(笑)。

初期の頃も浅田彰さんに科学的に杜撰なところを突っ込まれたりもしていましたが
(「廃熱や廃棄物をまきちらして特別な財を作り、祝祭の興奮の中でそれを破壊することが、エントロピーを捨てることと同義だ、などという唖然とするような議論が、経済人類学と称する看板のもとで通用している現在」 ちくま文庫『逃走論』P264。ただし同じ本の中で栗本先生のことをほめている箇所もあります)、それでも社会科学の枠内で語っている限りはそんなにボロが出ないかなという感じでした。
まあいわゆるニューアカの書き手の中では一番文章がわかりやすかったのが人気の一つだったかなと。「鉄の処女」という現代思想の解説書も書いてました。

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%8B%E3%83%A5%E3%83%BC%E3%82%A2%E3%82%AB%E3%83%87%E3%83%9F%E3%82%BA%E3%83%A0

2008/5/5  12:06

投稿者:トンデモない一行知識
http://tondemonai2.web.fc2.com/

リンクのご紹介、ありがとうございます。面白かったです、特に
http://d.hatena.ne.jp/tach/20050424/1114335019

もしかして『パンツを脱いだサル』というのは、『カエアンの聖衣』
のようなワイドスクリーンバロックなのか[*]、文章も読みやすくて
面白いというなら、これは読んでみるべきかと一瞬 wktk しました。

[*] リンク先の人はそんなことは言っていません。

でも、栗本慎一郎先生の本って、『トンデモ本の逆襲』でも紹介され
ているんですが、そこに引用されている文章をながめるかぎりでは、
是非読みたいと思うようなものではないような……。

んで、栗本慎一郎先生の主張してるのは、『メディア・セックス』に
書いてあるという、ビートルズはサブリミナルでユダヤの陰謀すか。

……やっぱり買って手元に置くべきかしら『メディア・セックス』。

2008/5/5  9:24


確か経済人類学者の栗本慎一郎さんが80年代後半から90年代前半あたりにキイを鵜呑みにするような発言をしていました。

http://d.hatena.ne.jp/tach/20050424/1114335019

http://blogs.dion.ne.jp/fujun/archives/1235029.html

http://www.wafu.ne.jp/~windtown/books/b050610.html

↑2005年出版の著作「パンツを脱いだサル」でもキイを引用したりしているようです。

2008/5/4  12:48

投稿者:トンデモない一行知識
http://tondemonai2.web.fc2.com/

あはは。

個人的には、『ムー』によく載っていたような話でしかなかったの
ですが、私の考えていた以上に一般にも有名だったのですね、"SEX"
という文字が、あそこにもここにもというお話は。

しかし、これを真に受けた or ダメモトで入れてみるかなどと、広告を
作る側の人たちにも、あんまり思ってもらえなかったと。

もう少し時代が後だったら、「コンピュータで画像処理したら SEX の
文字が!?」とか、もう少しもっともらしい見せ方もできたかもしれま
せんが、手書きで文字を書き込んでましたからねえ確か。それも何か
たどたどしい感じの。


ところで、コカコーラの瓶のデザインが女性のシルエットから――と
いうのも、この本が元ネタだったのでしょうか。このネタだけ単独
で、子ども向けの雑学本で見た記憶があるんですけど。

   
 
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