トンデモない一行知識の世界 OLD - 唐沢俊一の「雑学」とは -

一部で有名な唐沢俊一の一行知識に、ツッコミを入れたり派生トリビアを書いたり。
「愚かで分別のない人と思われたいなら、唐沢俊一のトリビアを引用しなさい。」

 
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2008/4/26  11:11

『赤と黒』にもセミの声  『トンデモ一行知識の逆襲』間違い探し編

『トンデモ一行知識の逆襲』 P.187 欄外
・ヨーロッパでセミが生息しているのは南仏とギリシャだけ。

平凡社の大百科事典によるとセミは北緯五十度位まで生息可能」[1] であり、"Cicadetta
montana
" はヨーロッパ北部を除いて広く分布している [2]。イタリアの北部でセミの鳴き声
を聞いた人もいて [3]、http://www.naturamediterraneo.com/cicala/ にはイタリアのセミ
の写真と声もある。http://en.wikipedia.org/wiki/Cicada には「about 100 in the
Palaearctic and exactly one species in England,
」とあるから、イギリスにもいるだろう。

ヨーロッパには地中海沿岸部を除いてセミはいない、ギリシャのイソップが書いた寓話は
アリとセミの話だったが、ヨーロッパの人にセミはなじみがないのでキリギリスに変えた
――というのはよく聞く話である。生息はしていても、「日本のセミのような元気な大音量で
はありません
」[3] という話もあるし、一部の人を除いて昆虫に関心が薄く (『ファーブル
昆虫記』なども日本ほど受けたわけではないそうだ)、日本人とは違い虫の声は雑音にしか
聞こえないこともあって、セミがいても存在はあまり認識されなかったのではないだろうか。

それにしても、このガセビアでは、イタリアすら無視して「南仏とギリシャ」に限定している
のが少々不思議な気がする。推測するに、イソップのいたギリシャ、マルセル・パニョルの
小説の舞台の南仏については、さすがにセミがいないとは書けなかったが、地中海沿岸部
で温暖な気候でも、イタリアやスペイン [4] については無視してよいと思ったか、そもそも
念頭になかったのだろう。

[1] - http://www.geocities.jp/champs_pierre/cigales1.html
>平凡社の大百科事典によるとセミは北緯五十度位まで生息可能らしい。とすると、
>フランスではパリの北あたりということになる。ところが、鹿島氏も言うようにパリで
>セミの鳴き声を聞くことはできないと思ったほうがよいだろう。だから、フランス文学で
>セミもしくはセミの鳴き声に遭遇した時の感動はひとしおだ。しかもそれがマルセル・
>パニョルのような南仏人の南仏を舞台にした作品ではなく、一般的な作家の作品・・・
>何も勿体ぶることもあるまい・・・スタンダールの『赤と黒』だったとしたら・・・
〈略〉
>このプロヴァンス地方ではセミは「売り物」となっているのだ。この四十四度線は日本で
>はセミの北限と言われているが、フランスではむしろセミの名所と言ってもいいくらいだ。
>マルセル・パニョルの自伝を映画化した『父の栄光』(邦題『マルセルの夏』)を見た方
>は、マルセル少年がセミ採りに興ずるシーンを覚えておられるだろう(注7)。

[2] - http://web.kyoto-inet.or.jp/people/tiakio/cicada/central.html
> トップセルは言う、「わたしはヘルヴェティア〔=スイス〕、ドイツ、イングランドをすべてを
>経巡り、1本の針を探すようにセミを探しまわったにもかかわらず、いまだ一匹も見つけ
>られないのである」。
> 彼は、自分の国の南部、ニューハンプシャーのNew Forestという国立公園(現在)に、
>Cicadetta montana という正真正銘のセミが生息していることを知らなかった。はたし
>て、ヨーロッパ中央にセミは生息しないのか?
> 最近、わたしたちは驚くべき書を手に入れた。"Die Zikaden Mitteleuropas / The
>Auchenorrhyncha of Central Europe : Fulgoromorpha, Cacadomorpha excl.
>Cicadellidae", W.E. Holzinger, I. Kammerlander, H. Nickel, Brill, Leiden-Boston, 2003 
>この書の中から、セミにもバッタ類にも似ていて、しかもヨーロッパ全域に分布しているも
>のを抜き出してみたい。
> が、その前に、ヨーロッパ北部を除いてひろく分布している(分布図は右上図)
>"Cicadetta montana"〔ドイツ語名 Berkzikade〕の姿を心に焼きつけておこう。


[3] - http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1212618332
>イタリア北部にもいます。アルプスの南側でセミの声を聞いたことがあります。けど、
>日本のセミのような元気な大音量ではありませんでした。多分、気候の関係で(気温
>が一番の問題だとは思います)地中海沿岸部以外では棲息し難いのでしょう。「アリと
>セミ」なら、「セミ」って何じゃい?の人々には受け入れがたい。それで「キリギリス」に
>した、というのには頷けます。〈略〉
>イタリアのセミ↓。♪をクリックしたらセミの声が聞こえます。
http://www.naturamediterraneo.com/cicala/

[4] - http://wadaphoto.jp/kikou/siro1.htm
>スペインの白い村
>フランスのコートダジュールにあった魔除けの蝉飾りも見える。


http://love6.2ch.net/test/read.cgi/books/1208837414/416-
>416 :無名草子さん:2008/04/25(金) 06:33:08
>「トンデモ一行知識の逆襲」P.179
>>ヨーロッパでセミが生息しているのは南仏とギリシャだけ。

>ヨーロッパ全体に広く生息しているらしい。
>ttp://www2.arnes.si/~ljprirodm3/cikade.html
>ttp://web.kyoto-inet.or.jp/people/tiakio/cicada/central.html
>ウィキにも
>>about 100 in the Palaearctic and exactly one species in England,
>とある。
http://en.wikipedia.org/wiki/Cicada

461 :無名草子さん:2008/04/26(土) 10:06:02
>>416
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1212618332
>イタリア北部にもいます。アルプスの南側でセミの声を聞いたことがあります。けど、
>日本のセミのような元気な大音量ではありませんでした。多分、気候の関係で(気温
>が一番の問題だとは思います)地中海沿岸部以外では棲息し難いのでしょう。「アリと
>セミ」なら、「セミ」って何じゃい?の人々には受け入れがたい。それで「キリギリス」に
>した、というのには頷けます。〈略〉
>イタリアのセミ↓。♪をクリックしたらセミの声が聞こえます。
http://www.naturamediterraneo.com/cicala/

てのもあった。

唐沢ガセビアで不思議なのは、「南仏とギリシャだけ」と限定していて、イタリア南部にすら
セミがいないような書き方だけど……まあ、これは、「アリとセミ」の寓話を書いたイソップ
のいるギリシャ、マルセル・パニョルのいる南仏についてはセミがいないとは書けなかったが、
イタリアあたりについてはスルーしちゃったということなのかなあ。

http://www.geocities.jp/champs_pierre/cigales1.html



   
 
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