トンデモない一行知識の世界 OLD　- 唐沢俊一の「雑学」とは -

『キッチュワールド案内』 P.38

人間は本能の壊れた動物である、とは心理学者の岸田秀の言葉だが、
しかし、動物本能が壊れた代わりに、人間には別の本能が備わったの
ではないか、と思うことがよくある。例えば記録本能、などというものは
人間だけのものではないか。

「例えば記録本能、などというもの」といわれても、「記録本能」という言葉自体、ググっても
この唐沢の文章を引用した過去ログしかヒットしない。(「"記録本能"」とダブルクォートつき
で検索すると他の文書も表示されるが、それらは「記録。本能」などが含まれているため)。

「本能」という言葉を拡大解釈気味に使う人は少なくないが、さすがに唐沢俊一以外には、
学習を必要とする「記録」という行為を、生まれつき備わっている「本能」とは結びつけは
しなかったということだろう。

で、２ちゃんねるの書き込み (Read More 参照) でも指摘されている通り、なぜこの文章の
書き出しに岸田秀の言葉を引いているのかわからない。岸田秀は「人間は本能の壊れた
動物である」ため本能の代わりに幻想――「自我」や「国家」、「文化」もすべて幻想――に
頼って生きているとする「唯幻論」を唱えた。

続く文章で岸田秀の唯幻論を必ずしも肯定しなくともよいが、「別の本能が備わった」、
しかも、その一例が「記録本能」という珍説を言い出すのでは、全然話がつながらない。

「本能に組み込まれている、ならアリかなあ」でもふれたけれど、そもそも唐沢俊一語での
「本能」は、ニューエイジでいう「種の記憶」のようなものに近くて、トンデモ本に書いてある
ようなこと以外の話を前振りに使っても、おさまりが悪くてチグハグになるだけと思う。

参考 URL:
- http://blog.livedoor.jp/botany/archives/50334865.html




http://www.23ch.info/test/read.cgi/books/1205573097/

876 ：無名草子さん：2008/03/22(土) 06:41:46
『キッチュワールド案内』Ｐ38

＞人間は本能の壊れた動物である、とは心理学者の岸田秀の言葉だが、しかし、動物本能が壊れた代わりに、
＞人間には別の本能が備わったのではないか、と思うことがよくある。例えば記録本能、などというものは
＞人間だけのものではないか。

岸田秀の言葉を引くのは勝手だが、「別の本能」てのはなんいこっちゃだね。その伝でいけば人間特有の思考は
全部「別の本能」になっちまうじゃないか。「名誉欲」とかさ。そもそも、人間は本能が壊れた欠陥品だと
岸田は主張しているわけではない。岸田は「人間は本能の壊れた動物であり、その人間が生きるために「幻想」が
必要だ」とする「唯幻論」を唱えているのだ。本能の替わりに幻想の世界を築いて種の保存をしてきた。
「自我」や「国家」、「文化」もすべて幻想だとするのが「唯幻論」。
このユニークな思想の前半部を訳もわからず引用して、幼稚な自己の理論を開陳する唐沢って、ホントに
“偏差値”が低いね。