トンデモない一行知識の世界 OLD - 唐沢俊一の「雑学」とは -

一部で有名な唐沢俊一の一行知識に、ツッコミを入れたり派生トリビアを書いたり。
「愚かで分別のない人と思われたいなら、唐沢俊一のトリビアを引用しなさい。」

 
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2008/3/23  0:20

「猿の惑星」の猿は皆英語を話していたけど  『トンデモ一行知識の世界』間違い探し編

『トンデモ一行知識の世界』 P.206 欄外
・イギリスの動物学者の著した『猿語辞典』によると、若いオス猿のメスに
 向かっての求愛の声は“オオズーセイ”。

『猿語辞典』って、猿は言語をもたない (サインとして交わす動物的音声記号はあっても)
[1] のでは。猿は毛づくろいなどでコミュニケーションをとっている [2] んじゃなかったっけ。
人間は直立歩行するようになって口腔、喉頭、咽頭の筋肉を発達させて、様々な発音が
できるようになった [3] というけど、猿はどうだろう、“オオズーセイ”とか発音できるのか?

『猿語辞典』が何かの冗談本というならまだしも、「イギリスの動物学者の著した」としか
書いてないしなあ……と思ったら、リチャード・バートン卿 (Sir Richard Burton) が、ペット
の猿を観察したり話しかけたりした成果をまとめた Simian Dictionary というものがあった
という話を見つけた [4]。ただし、これには約 60 語のリストがあったとのことだけど、残念
ながら焼失してしまい情報が残っていないようなので、『猿語辞典』がこれのことならば、
“オオズーセイ” はガセの可能性が高い。

たとえ本当だったとしても、唐沢俊一のこの一行知識だけ単独で見ても、面白くも何とも
ないという問題もあるが。

[1] http://www.classics.jp/RCS/NL05/NL05Imam.pdf
>動物が音声を交わして,それをサインとして行動しているのを見て,動物にも言語が
>あると言う人がいますけれども,動物の交わしている音声は,動物的音声記号であって,
>絶対に言語ではないと私は思います。幸いなことに,動物学者もそう言っております。
>一つの例は,犬山のモンキーセンターの京都大学の研究グループ。〈略〉日本猿は
>26の音声記号を識別する,人間が識別する限りですから,絶対まちがいないとは
>言えませんけれども,少なくとも26の音声記号を使っている。気の早いジャーナリスト
>たちが,「日本猿の言語」と言い出したのですが,さすがに研究者たちは慎重でござい
>ますから,それが人間の言語と同じものであるかどうかは調べなければならないという
>ことで,調べることにしました。どうやって調べるのかというと,〈略〉はらんだ雌猿を
>群れから離して,そして子供が生まれるのを待つ。仔猿が誕生したそのときに,いくつ
>ぐらいの音声記号を母猿と仔猿とで交わすのか見ていたら,生まれて日ならずして
>26の音声記号を識別したということです。ですからこれは本能的記号です。


[2] http://www.amazon.co.jp/dp/4791756681
>ことばの起源―猿の毛づくろい、人のゴシップ (単行本)
>猿の集団が大きくなって「毛づくろい」ができなくなったとき、それに代わるコミュニ
>ケーション手段として生まれたのが人間の「ゴシップ=言語」だった―生物学、脳生理
>学、人類学、心理学などの最新成果を踏まえ、ことばの進化の歴史を根底から覆す。


[3] http://www.tcct.zaq.ne.jp/nitta/kenko/009homosapiens.html
>人類は直立二足歩行により喉の構造が変化し、飲食物と呼吸が同じところを通る
>ようになってしまった。陸生ほ乳類で唯一、まかり間違えば食べ物で窒息死したり、
>誤嚥性肺炎になってしまう構造である。それが人類と類人猿(チンパンジー、ゴリラ
>など)との非常に重要な相違点でもある。
>飲食物と呼吸の経路切替のため、口腔(舌、唇、あご)、喉頭、咽頭の各筋肉を
>高度に制御する必要が生じ、脳神経や筋肉が極度に発達した。その発達した脳と、
>口から自由に呼気を出せるようになった喉構造の変化とが相まって、怪我の功名、
>複雑多様な発音ができる準備が整った。


[4] http://www.kirchersociety.org/blog/2007/01/10/the-simian-dictionary-of-sir-richard-burton/
>Sir Richard Burton, eccentric 19th century explorer, scholar, and Hero of the
>Athanasius Kircher Society, spoke 29 languages and 12 dialects:
〈略〉
>But it was Burton’s work in compiling a dictionary of monkey language that has
>earned the admiration of artist Walton Ford:
>>“His language studies continued unabated and his interest in the science of
>>the spoken word led him to conduct an interesting experiment with some pet
>>monkeys. Curious as to whether primates used some form of speech to
>>communicate, he gathered together forty monkeys of various ages and species
>>and installed them in his house in an attempt to compile a vocabulary of monkey
>>language. He learned to imitate their sounds, repeating them over and over. And
>>he believed they understood some of them. 〈略〉 He had a list of about sixty
>>words before the experiment was concluded, but unfortunately the results were
>>lost in a fire in 1860 in which almost all his early papers perished.”



   
 
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