トンデモない一行知識の世界 OLD - 唐沢俊一の「雑学」とは -

一部で有名な唐沢俊一の一行知識に、ツッコミを入れたり派生トリビアを書いたり。
「愚かで分別のない人と思われたいなら、唐沢俊一のトリビアを引用しなさい。」

 
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2008/3/20  11:07

いったんはふられたけど結婚していますが何か?  その他の雑学本 間違い探し編

『唐沢先生の雑学教室』 P.186
唐●ベルリオーズもやっぱり変人、というかいささか精神異常のケがある。
パリに来ていたイギリスの劇団の芝居にに(ママ)たまたま出かけて、
そこの花形女優に一目惚れしていわゆる“追っかけ”になる。
お●あらま、純情じゃないですか!
唐●そんなレベルじゃない。ストーカーみたいになって連日連夜劇場に
通っては奇声を発し、毎日々々ラブレターを送り続け、彼女だけのために
演奏会まで開いたりした。
お●うわー、ちょっと迷惑かも。それって最後にうまくいったんですか?
唐●いや、さすがに怖くなったのかその女優には完全に愛想をつかされた
らしい。

『幻想交響曲』のルイ・エクトル・ベルリオーズ(Louis Hector Berlioz) は確かに、
オフィーリアやジュリエットを演じるイギリスの劇団の女優、ハリエット・スミスソン
に入れあげ、劇場に通いつめたり、相手が恐れをなすほどの情熱にあふれた (?)
ラブレターを送ったりはしたようだが、「奇声を発し」たりしたかどうかは不明。
たとえ本当だとしても、ではアイドルの追っかけは皆「精神異常のケ」があると
いうのかという感じで話のインパクトは弱い。

彼女だけのために演奏会」もたぶんガセ。ハリエット・スミスソンへの片思いが
ベルリオーズに『幻想交響曲』を作らせたが、その初演とローマ大賞の受賞の
1930 年には、ベルリオーズの恋愛の相手はマリー・モークに変わっていて、婚約
までしている。(元は友人の恋人だそうだし、彼女が彼を裏切り他の相手と結婚した
ことに怒り、マリーと母、結婚相手の 3 人を殺そうと、女装用のメイド服まで用意した
という話だから、ハリエットにふられたから妥協して――というわけではないだろう)。

ハリエットが聞きにきた 1932 年の演奏会というのがあるが、「彼女だけのため
ではなかった。そのときのハリエットは落ちぶれていて、破産寸前の劇団の団長。
ベルリオーズに「完全に愛想をつか」すどころか、ここで演奏された「幻想交響曲」と
「生への回帰、メロローグ」(「レリオ」) に涙を流すほど感動したハリエットは、翌年
にベルリオーズと結婚した。


http://park19.wakwak.com/%7Esachi/tensai/tensai-be-1.htm
>パリのオペラ座で「ハムレット」を観たベルリオーズは、オフィーリア役の女優ハリ
>エット・スミスソンに熱をあげ、あの手この手で彼女の気を引こうとするが、なにしろ
>相手は人気女優。
>貧乏音大生などに振り向くはずもなかった。そこで彼は、この想いをハリエットに
>伝える最後の手段を考えた。若い芸術家が恋に絶望して阿片を飲み、幻想的な
>夢を見るというストーリーの曲を作って、彼女の前で演奏してやろうと思ったのだ。
>それが、ベルリオーズの代表作「幻想交響曲」である。交響曲の新境地を切り
>開いた傑作は、彼の情熱的な恋心から生まれたのだ。
>  もっとも、作曲しているうちに女優に対する熱は冷め、恋のお相手は冒頭に
>登場したマリー・モーク嬢に変わりやがて婚約→裏切り→殺人計画という軌跡を
>たどることになる。さらに後日談をつけ加えると、数年後に例の女優ハリエットと
>再会したベルリオーズは、彼女と結婚。でも夫婦の愛はすぐに冷め、妻が他界
>すると愛人と再婚。その彼女も8年後に急死。


http://www.japanphil-21.com/kikidokoro/lelio/lelio.html
> 劇場へ通いつめ、頻繁に手紙を出し、彼女が馬車に乗り込むのを見張り・・・
>だが、相手は高名な女優。出会うチャンスは無し。 「こんなに愛しているのだ
>から、彼女が自分を好きにならない筈がない」 彼は思いを募らせ、しまいには
>彼女に対して憎悪の念を抱くようになります。その恨みを晴らすべく、恋人が
>最後は醜い悪魔の姿になるという、「幻想交響曲」を作りました。すると、激しい
>片思いの情熱は憑きものがおちたように冷めたのでした。

> 1832年11月、彼は新作(レリオ)を発表するため再びパリへ戻り、演奏会開催
>のために奔走しました。同じ頃、ハリエット率いるイギリス劇団もパリに滞在して
>いました。
> かつての花形女優はいまや落ちぶれた劇団の不幸な団長として破産寸前の
>状態にありました。そんな時に音楽会へなんて、普通なら行く筈もないのですが、
>周囲の計らいと思惑によって、ハリエットはベルリオーズの自作演奏会に姿を
>見せます。 彼女はそれまでエクトル・ベルリオーズの名前を聞いた事はありま
>せんでした。ましてやその日の曲目に出てくる女主人公が自分自身だなどとは
>夢にも思っていません。 彼女は指揮者の背後にいる主催者に気付きます。
>「ああ、あの人はあの時の青年・・・でも私の事は忘れていてほしい・・・」
> 演奏会前半は「幻想交響曲」。彼女は物語の奇抜さに驚き、深い印象を受け
>ました。
> 後半は新作「生への回帰、メロローグ」。(この時はまだ「レリオ」という題は
>ありませんでした。)語りの台詞が
>「ああ、わが心の求め続けるジュリエットよ、オフィーリアよ。どうしてめぐり合え
>ないのか!・・・」
> 彼女は確信しました。
>「どうしよう。これは私のことなのだ。あの人がずっと私を愛していてくれたなん
>て・・・」ジュリエットもオフィーリアも、彼女の当たり役だったのです。
> レリオ初演、1832年12月9日。この愛の告白劇はハリエットが涙を流すほどの
>強い衝撃を彼女に与えました。 後日、二人は初めて引き合わされ、1833年に
>結婚。翌年には長男ルイが生まれました。「レリオ、あるいは生への回帰」は
>息子ルイに捧げられています。


- http://ja.wikipedia.org/wiki/ハリエット・スミスソン

- http://ja.wikipedia.org/wiki/エクトル・ベルリオーズ



2008/3/22  13:07

投稿者:トンデモない一行知識
http://tondemonai2.web.fc2.com/

「むろん彼女が相手にするはずもなく」などと、さらりと流せばよい
ものを、何で「完全に愛想をつかされた」と書いてしまうのかという
のはありますね。

ベルリオーズの面白いところは、失恋をもとに曲を作るのはよいが、
服毒自殺をはかった音楽家の薬によるバッドトリップ (?) で恋人は
化け物みたいな姿になったり、曲を書き上げた頃には他の女性との
熱烈恋愛にうつったりの方で、劇場通いつめのストーカー行為では
ないような気もするんですが。何だか思い込みが激しい割に持続性に
欠けるところがあったせいで、犯罪者にはならずに済んだみたいな。

元婚約者マリー・モークの殺害計画も、途中で気が変わってやめた、
というオチですし。

2008/3/21  12:53

投稿者:藤岡真
http://www.fujiokashin.com/

 唐沢はおぐりの「やっぱり。押しの一手だけじゃダメなんですよねー」を受けて

>ベルリオーズの代表作『幻想交響曲』はその狂った恋の産物だったんだな。

と書いているから、『幻想交響曲』誕生のエピソードの中途半端な情報をサイトからパクってきたんでしょね。

例えば

>シェイクスピア劇の大女優ハリエット・スミスソンに恋した。むろん彼女が相手にするはずもなく、その片思いが昂じて「幻想交響曲」を書かせることになった。

なんて文章。
http://www.sym.jp/i/data/Fra_Comp/Berlioz_fantastic.html

   
 
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