トンデモない一行知識の世界 OLD - 唐沢俊一の「雑学」とは -

一部で有名な唐沢俊一の一行知識に、ツッコミを入れたり派生トリビアを書いたり。
「愚かで分別のない人と思われたいなら、唐沢俊一のトリビアを引用しなさい。」

 
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2008/3/10  23:44

サナトリウムは避暑地じゃない  その他の雑学本 間違い探し編

『近くへ行きたい』 P.25
トーマス・マンの小説を読むと、主人公がしょっちゅう避暑にいくのに
呆れる。 『魔の山』も『ベニスに死す』も、避暑地の話である。

『魔の山』の主人公は避暑にいったのではなく結核の療養にいったのであって、
行き先も避暑地ではなくスイス高原のサナトリウムで、題名のいう「魔の山」。


『魔の山』の主人公の行き先は避暑地ではなく、スイス高原のサナトリウムで、
題名のいう「魔の山」。主人公のカストルプは、避暑にいったのではなく、結核に
かかっていた従兄弟のヨーアヒムを見舞いにいった。そこで感じた身体の不調を
診察してもらったことから、自分も (当時は) 不治の病である結核だったとわかり、
従兄弟と同じ場所で長い療養生活に入ることになる。

ベニスは避暑地だが、『ヴェニスに死す』の主人公であるアッシェンバッハは、
避暑にいったのではなく、執筆に疲れ、ふと旅情をかきたてられて旅にでた。

http://www.amazon.co.jp/dp/4003243366
>平凡無垢な青年ハンス・カストルプははからずもスイス高原のサナトリウムで
>療養生活を送ることとになった。日常世界から隔離され病気と死が支配する
>ことの「魔の山」で、カストルプはそれぞれの時代精神や思想を体現する数々の
>特異な人物に出会い、精神的成長を遂げてゆく。


http://ja.wikipedia.org/wiki/ヴェニスに死す
>著名な作家グスタフ・フォン・アッシェンバハは、執筆に疲れて英国式庭園を
>散策した帰り、異国風の男の姿を見て旅への憧憬をかきたてられる。


その他参考 URL:
- http://www.isis.ne.jp/mnn/senya/senya0316.html
- http://www.geocities.jp/takken_gyouseishoshi/contents/books.html#2

2ちゃんでの元の書き込みは Read More を参照。

追記: コメント欄でのツッコミをもとに『魔の山』についてを訂正しました。

追記 2: 唐沢俊一は、『魔の山』のことを、美食小説として楽しむのもアリと言っている。
『トンデモ一行知識の世界』 P.84
たとえば夏目漱石の『こころ』を怪談ばなしとして、太宰治の『斜陽』を優雅な
生活スタイルの手本として、トーマス・マンの『魔の山』を美食小説として、
いわば作者の意図せぬところでの作品的結実を勝手に楽しんで読むことも、
小説の読み方として大いにアリ、なのではないだろうか。


http://love6.2ch.net/test/read.cgi/books/1205055419/83

83 :無名草子さん:2008/03/10(月) 07:53:04
『近くへ行きたい』講談社 2003 P25

>トーマス・マンの小説を読むと、主人公がしょっちゅう避暑にいくのに呆れる。
>『魔の山』も『ベニスに死す』も、避暑地の話である。

マンの小説を読んで主人公がしょっちゅう避暑にいくのに呆れるのは、唐沢俊一只一人ではあるまいか。
いや、読んじゃいないんだろう。ベニスは避暑地だが、『ヴェニスに死す』の主人公、アッシェンバッハは
避暑にいったわけではない。『魔の山』の舞台になるダボスは「サナトリウム」なんである。
大体、マンの小説から始まって、何処の近くに行きたいのかと思ったら、

マンの小説の主人公は矢鱈に避暑に行く → ドイツの夏はさほど暑くない
→ 日本の夏はクソ暑い → スタミナ食を食いに幡ヶ谷の「チャイナハウス」にいく。

「チャイナハウス」は唐沢行きつけの店。ゲテモノ料理屋の宣伝の片棒を担がされた
マンこそいい面の皮だが、「チャイナハウス」は唐沢の法則どおり潰れた。



2008/3/12  3:07

投稿者:トンデモない一行知識
http://tondemonai2.web.fc2.com/

訂正しておきました (_ _);。Amazon の紹介にある「はからずも」も
これでわかりやすくなったらいいな、と。

それと、日記でのリンク、ありがとうございました。(_ _)


ところで不治の病と言えば、『奇人怪人偏愛記』の中の、どんなに
医学が進んでも決してなくならないであろう不治の病は、風邪と水虫
だというネタ。あれを友人の医師から直接聞いたことであるとして
書き、まるで初耳であるかのようにあいづちをうつ演出には、感動の
あまりフリーズしました。

2008/3/11  7:35


厳密に言いますと、主人公、ハンス・カストルプは、最も親しい親族、いとこのヨーアヒム・ツィームセンを見舞いに、サナトリウム「ベルクホーフ」を訪れ、そこで体の不調を訴えて、自らも結核であることを知るのです。ペニシリンが発明される以前、結核は不治の病で、サナトリウムに入るのは事実上の“死の宣告”に等しく、「主人公がしょっちゅう避暑にいくのに呆れる」という次元の話では、全然ありません。

   
 
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