トンデモない一行知識の世界 OLD - 唐沢俊一の「雑学」とは -

一部で有名な唐沢俊一の一行知識に、ツッコミを入れたり派生トリビアを書いたり。
「愚かで分別のない人と思われたいなら、唐沢俊一のトリビアを引用しなさい。」

 
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2008/2/24  2:22

トーマス・ゴールドは元々は天文学者だけど  その他の雑学本 間違い探し編

『唐沢俊一の雑学王・2』 P.206
 しかしその後研究が進み、最近は「石油無機起源説」を唱える科学者も
出てきた。 その論者の一人、トーマス・ゴールドによると、石油は地殻の
深いところに棲息する微生物が、地底にある炭化水素を石油に変成させて
できるのだという。

『無機』といいながら『微生物』などと、根本的にこの問題が全く理解できていない」とか
あんたの偏差値じゃあ、雑学なんて無理」とかの辛辣なご意見は、藤岡真先生による
http://www.fujiokashin.com/criticism.html 「唐沢俊一の雑学王・2(2008/02/23)」で
見ていただくとして。

微生物が、地底にある炭化水素を石油に変成」させるのなら、「石油無機起源説」には
確かになりそうもないような。というか、トーマス・ゴールドは、炭化水素を石油に変える
のは微生物だとは言っていない。星間物質として豊富な炭化水素を、石油の起源とは
しているけど。

最近は『石油無機起源説』を唱える科学者も出てきた」もちょっと変。 説自体は 19世紀
から言われていたとのことだし、トーマス・ゴールドの『未知なる地底高熱生物圏』の翻訳は
2000 年の出版だが、その 12 年前に彼は『地球深層ガス』 (Power from the Earth) で
石油無機起源説を唱えている。 最近は「石油無機起源説」が注目されている――とでも
書くべきだったと思う。

http://www.bitway.ne.jp/bunshun/ronten/ocn/sample/enquete/050728.html
>それに対して無機起源説は、もともと地球深部に大量に存在する炭化水素が、地殻の
>断裂を通じて地表に向けて上昇し、油田を形成したという。これは19世紀末から存在
>していた説だが、 実際、堆積盆地ではなく、その下にある基盤岩の内部から油田が
>発見される例が少なからずある。


http://www.ne.jp/asahi/kibono/sumika/kibo/kinkyo0403.htm
>トーマス・ゴールド『地球深層ガス』(脇田宏 監訳 日経サイエンス1988)を読んだので、
>まとめのメモを書いておく。原題は『Power from the Earth』(1987)である。石炭・石油・
>天然ガスの起源を論じた本である。


で、トーマス・ゴールドは「石油無機起源説の提唱者でもあり、地下生物圏の発見はその
検証過程に於いて偶然発見
」なんだけど、唐沢俊一は、『未知なる地底高熱生物圏』という
本の題名や内容の聞きかじりなどから、石油無機起源説とは地下にいる微生物が石油を
つくるという説だと、脳内変換してしまったのではないかと推測。

http://www.amazon.co.jp/dp/4272440284 内のレビュー
> 著者は著名な天文学者だが、石油無機起源説の提唱者でもあり、地下生物圏の
>発見は その検証過程に於いて偶然発見されたものだった。だが、発見された当時、
>地下深くまで 生物が存在するという事はにわかには受け入れられず、誰も取り合わ
>ない。しかし地下から 次々と新事実が発見されるに至り、地下生物圏は今や常識と
>なりつつある。


http://www.horagai.com/www/book/read/rd2001c.htm
> 石油無機起源説は1870年代からあったというが、細菌の痕跡と思われる有機物が
>含まれて いたり、光学活性(偏光)を示したりすることから、「欧米で有力な見解」は
>生物起源説一辺倒になっている。
> 著者は地下に地表とは別の生物圏を想定することで、この難点を一挙に解決する。
>地下の生物圏など、空想の産物に思えるが、そうではない。近年、メタンや硫化水素
>のような高エネルギーガスを餌にする好熱性細菌や100度を越える環境で繁殖する
>超好熱性細菌、古細菌が発見されているが、地下数キロのところから、そうした生物が
>続々と 発見されているのである。
> 著者は地下5~10kmに地底高熱生物圏があり、その下に星間物質起源の炭化水素
>が埋蔵されていると考えている。



2008/2/24  10:58

投稿者:トンデモない一行知識
http://tondemonai2.web.fc2.com/

まあ『未知なる地底高熱生物圏』から混同云々は、自分に引き寄せて
書いたことなんで、唐沢弁護というより自己弁護になりますが (汗)
……石油無機起源説のトーマス・ゴールドマンの書いた本だと前面に
出して紹介され、かつ、ああそういえば海底火山の近くには好熱性で
嫌気性の微生物が生息しているといわれているんだよなあと中途半端
に思い起こしてしまうと……。

本文に引用した Amazon のレビューと「ほら貝」サイトの記述には、
だからひたすら感謝です。これらがなかったら、面白い大ネタに対す
る唐沢スルーの法則を予想しつつ、何だかよくわからないままだった
かなあと思うので。

で、「ほら貝」サイトさんには久しぶりに飛んだのですが、検索でも
ヒットしやすいし、昔から有名なところだし、唐沢もここを見るだけ
でも勘違い防止になったはずなのになあと思います。
http://www.horagai.com/www/book/read/rd2001c.htm

2008/2/24  7:14

投稿者:藤岡真
http://www.fujiokashin.com/

「地底高熱生物圏」という言葉から、微生物による石油の生成(唐沢いわく“変成”)と考えたなら、いかなるメカニズムでそうしたことが成り立つのと考えるのが普通の思考回路だと思います。雑学であるから、そうした面白い事実を紹介してやりゃあいいんだというなら、それでもいいでしょう。しかし、それを「石油無機起源説」だというのだから、化学と言うものが全く分かっていないことになる。無知な人間に知識を紹介してもらってもしょうがない。それが結論です。

   
 
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